勝敗がついた戦争において、敗者はどのように終わりを迎えるべきか
ヒトラー最後の12日間 2004年 独・伊・オーストリア
監督 オリバーヒルシュビーゲル
主演 ブルーノ・ガンツ 他
勝敗がついた戦争において、敗者はどのように終わりを迎えるかを、ベルリンが陥落してヒトラーが自殺した(とされる)までの12日間を再現的に描いた作品です。誰の目にもドイツの敗戦は既に決定的であり、残る軍備も殆どない状態でヒトラーは首都ベルリンの死守を少年兵や民兵にまで命じます。側近達に既に存在しない予備軍が救援に来るはずだと怒鳴り散らし、いよいよ進退窮まる状態になって婚約者のエバブラウンとともに自殺します。あれほどドイツ帝国を愛し、ゲルマン民族を誇りに思っていたはずなのに、それらが滅んでしまうことと自分が死ぬことはヒトラーにとっては同じレベルの出来事として描かれます。
日本の敗戦においても恥や意地ではなく国家の再生を考えて国民の犠牲を少しでも少なくすることを優先する人々と降伏など考えず民族が絶滅しても最後の一人まで戦うのが良いとする人々の確執が起こりました。冷静に考えればどちらが本当の愛国者であるかは明らかなのですが戦中では軟弱、裏切り者という批難に耐えて前者を主張し続ける事は難しいものです。首都が陥落するまで戦い抜いたドイツは前者を主張する多数の良識を持ちながらナチスとヒトラーが後者であり続けたことが映画からも分かります。後半に紹介する「日本のいちばん長い日」では、終戦をめぐる両者の争いが克明に描かれています。これらの映画は敗戦国だからこそ作れた映画であると思いますが、このテーマは現代の国家においても、例えばイラク戦争や北朝鮮などにおいても、またもっと卑近な例では会社や組織のあり方においても我々自身の問題としてとらえなおすことができるのではないでしょうか。
日本のいちばん長い日 1967年 日本(東宝)
監督 岡本喜八
主演 三船敏郎他
原作は大宅惣一から実は半藤一利であったと最近訂正され、書籍も再販されました。それを読んでから見たのですが、映画が原作の内容をよく映像化していて改めて感動しました。それぞれの俳優陣の熱の入った演技は勿論ですが、天皇に対する特別な感情はやはり日本映画、日本の監督でないと描ききれないのだろうと思います。キリスト教におけるエホバ、イスラムにおけるアッラーに近い「厳粛で絶対的な存在」としての天皇の存在を理解していないと日本軍の発想、精神的なよりどころは外国人にはわからないでしょう。
敗戦を受け入れられない青年将校達、冷静に天皇の意を受容し青年将校たちに斬殺される師団長、軍の意向を背負いながらも最後は内閣の議決を受け入れて己の責任を自死をもってあがなう陸軍大臣、皆が真剣に生きていて、どの生き方をした人に対しても現代から笑える者はいないはずです。自分があの時代に生きていたら冷静に次代の日本のためを考えて行動できたか自信がありません。しかし戦後生まれの私としては、あそこで戦争を終わらせてくれて本当によかったと当時を真剣に生きたすべての父母の時代の人たちに感謝したいです。
「戦前の日本は悪でした」などという戦後日本支配のための嘘の教育は受けなくて良いから、現代の高校、大学生たちはこの映画か原作を鑑賞して当時の日本人たちがいかに日本の将来を考え、真剣に生きてきたかを学ぶべきだろうと思います。
ヒトラー最後の12日間 2004年 独・伊・オーストリア
監督 オリバーヒルシュビーゲル
主演 ブルーノ・ガンツ 他
勝敗がついた戦争において、敗者はどのように終わりを迎えるかを、ベルリンが陥落してヒトラーが自殺した(とされる)までの12日間を再現的に描いた作品です。誰の目にもドイツの敗戦は既に決定的であり、残る軍備も殆どない状態でヒトラーは首都ベルリンの死守を少年兵や民兵にまで命じます。側近達に既に存在しない予備軍が救援に来るはずだと怒鳴り散らし、いよいよ進退窮まる状態になって婚約者のエバブラウンとともに自殺します。あれほどドイツ帝国を愛し、ゲルマン民族を誇りに思っていたはずなのに、それらが滅んでしまうことと自分が死ぬことはヒトラーにとっては同じレベルの出来事として描かれます。
日本の敗戦においても恥や意地ではなく国家の再生を考えて国民の犠牲を少しでも少なくすることを優先する人々と降伏など考えず民族が絶滅しても最後の一人まで戦うのが良いとする人々の確執が起こりました。冷静に考えればどちらが本当の愛国者であるかは明らかなのですが戦中では軟弱、裏切り者という批難に耐えて前者を主張し続ける事は難しいものです。首都が陥落するまで戦い抜いたドイツは前者を主張する多数の良識を持ちながらナチスとヒトラーが後者であり続けたことが映画からも分かります。後半に紹介する「日本のいちばん長い日」では、終戦をめぐる両者の争いが克明に描かれています。これらの映画は敗戦国だからこそ作れた映画であると思いますが、このテーマは現代の国家においても、例えばイラク戦争や北朝鮮などにおいても、またもっと卑近な例では会社や組織のあり方においても我々自身の問題としてとらえなおすことができるのではないでしょうか。
日本のいちばん長い日 1967年 日本(東宝)
監督 岡本喜八
主演 三船敏郎他
原作は大宅惣一から実は半藤一利であったと最近訂正され、書籍も再販されました。それを読んでから見たのですが、映画が原作の内容をよく映像化していて改めて感動しました。それぞれの俳優陣の熱の入った演技は勿論ですが、天皇に対する特別な感情はやはり日本映画、日本の監督でないと描ききれないのだろうと思います。キリスト教におけるエホバ、イスラムにおけるアッラーに近い「厳粛で絶対的な存在」としての天皇の存在を理解していないと日本軍の発想、精神的なよりどころは外国人にはわからないでしょう。
敗戦を受け入れられない青年将校達、冷静に天皇の意を受容し青年将校たちに斬殺される師団長、軍の意向を背負いながらも最後は内閣の議決を受け入れて己の責任を自死をもってあがなう陸軍大臣、皆が真剣に生きていて、どの生き方をした人に対しても現代から笑える者はいないはずです。自分があの時代に生きていたら冷静に次代の日本のためを考えて行動できたか自信がありません。しかし戦後生まれの私としては、あそこで戦争を終わらせてくれて本当によかったと当時を真剣に生きたすべての父母の時代の人たちに感謝したいです。
「戦前の日本は悪でした」などという戦後日本支配のための嘘の教育は受けなくて良いから、現代の高校、大学生たちはこの映画か原作を鑑賞して当時の日本人たちがいかに日本の将来を考え、真剣に生きてきたかを学ぶべきだろうと思います。