rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

通常兵力で勝てないものは核でも勝てない

2022-12-13 17:23:01 | 社会

1) 米国の誤った成功体験?

 

前回2022年10月26日に米国防省が新しい核(使用)戦略を策定し、今までの核先制不使用、核戦争を拡大阻止のための反撃能力としての核という基本ポリシーを変更し、米国と同盟国の危機的状況においては、相手が核以外の戦力であっても(戦術)核使用があり得る、としたこと。日本の外務省が翌日にはそのポリシーを外務大臣談話の形で正式に賛同したことを明らかにしました。これを受けて、予備役の訓練が終わって50万の大軍で冬季攻勢をかける準備をしていたロシアのプーチン大統領は「(通常戦力で圧倒的に優勢なロシア軍がウクライナ軍に間違いなく勝利する事に対して)米国が核の先制使用をほのめかして牽制しており、核戦争の危機が高まっている。」と警告を発したのでした。

 

しかし、通常兵力で勝てない軍が「戦術核」を使えば、当然相手も「戦術核」を同等に用いてくるので結局弱い方が負ける事は小学生でも分かります。ナイフと銃で喧嘩をして、銃が勝てるのは相手がナイフしか持っていない場合のみで、相手も銃で対抗すれば力が強い方が結局勝つのは当たり前です。米国は第二次大戦で核を持たず、しかも負けそうであった日本に「核」を用いて圧倒的勝利を得ました。「核使用」について、民間人への無差別殺戮であったにも関わらず、現在でも公には「正しい行いであった」として批難されることはありません。日本においても米国が核を用いたのは「日本が悪かったから」という事になっており、米国を正式に批難することは許されていません。

これが米国における核使用の誤った成功体験になっていると思われます。米国の威信を保つためには、「専制核使用をすれば、相手国は核使用をせず、通常兵力も撤退して米国の国益が保たれる」と「オバカとしか思えない知能」で今回の核戦略変更を行ったとしか思われません。「どこの馬鹿がこんな変更をしたのか」と米軍の退役将軍が嘆いたのも理解できます。

 

2) Great Resetによる地球の破壊が目的?

 

ウクライナ戦争におけるウクライナ軍の使い方を見ていると、とても戦略としてロシア軍に勝とうとしている(戦争の出口・目標を設けてそれに近い所でできるだけ有利に終止符を打つ)とは思えません。単にウクライナの若者を死なせ、国土を荒廃させ、欧州の経済と暮らしを疲弊させるのが目的としか思えない状況が続いています。とすれば「核戦争に持ち込んで双方で核を打ち合ってユーラシア大陸全体が荒廃してGreat resetになれば良い」というのが戦争の最終目的ならばそれに向けて正に突き進んでいると言えます。かねて準備の豪華な地下施設に避難すれば良い世界経済フォーラム系の人達(DS)はそれで良いのでしょう。

 

3) ロシア軍の現状戦略

 

プーチンも薄々「核戦争になってロシアを含む欧州全体を荒廃させるのが目的」なのは判っている様子。だからと言って通常兵力で勝てそうな状態を見逃す必要もない。そもそもミンスク合意は時間稼ぎとか言われて今更平和的解決を模索することもできないでしょう。ミンスクII前はドンバス側軍勢が圧倒的にキエフ政府に勝ちそうだったので慌てて独仏が仲介に入ってロシアが和平を呑んだのですから、ドンバス側にプーチンは負い目があります。

ウクライナ軍の前線にまんべんなく砲爆撃を連日ロシア軍は行っている。     前線自体はこの1か月動いていない(11月始めの前線の図)

結果今行っているのは「Bakhmut賭殺場」とも言えるロシアが撤退してウクライナ軍が泥地に進駐して塹壕戦になっているBakhmutを圧倒的砲火力で毎日攻撃して200-300名/日のウクライナ兵を殺す作戦です。キエフからは作戦もなく毎日500名単位の新兵(ポーランドなどの傭兵含む)がBakhmutの塹壕陣地に送られて、ほぼ第一次大戦の塹壕戦の様に500名近くのウクライナ兵が負傷や戦死(負傷しても人手が足らず後方輸送されない)しているそうです。西側からの高価な兵器は故障しても修理できません。第一次大戦と異なるのは、ロシア軍は塹壕戦をしていないのでほぼ無傷なこと。ドローンで平地の塹壕を偵察して一方的に砲撃してウクライナ軍を殺戮しているのです。ウクライナ軍も安全な場所に大きく撤退すれば良いのですが、西側報道がウクライナ軍快進撃と報道するので撤退できません。戦線は膠着して一切動いていない状況で、11月一月で24,000人近くのウクライナ兵(NATO軍6-7大隊)が犠牲になったと言われます。ロシアは冬季攻勢をかけなくてもキエフ側に「もう出す兵隊がいない」という状況に陥るのを待っています。

Bakhmutの塹壕の様子  第一次大戦の塹壕(右)とそっくりで寒さは半端ない

4) 今後の展望

 

ロシアはこのまま戦線を膠着させたまま動かない可能性があります。ウクライナ軍も現状継続でどんどん消耗しますし、欧州の経済、市民生活も疲弊してゆきます。かといっていくら先制核攻撃をするとしてもキエフに迫るロシア軍に対して、ウクライナ国内で使用するなら効果があるかも知れませんが、いきなりロシア領内に使えば本格的に戦略核による米国本土への核の応酬がはじまってしまいます。さすがにこれはできないでしょう。

西側の高価な武器は一度壊れるともう治せないというWSJの記事(金をどぶに捨てている様なもの)

 

コロナ騒ぎやワクチン強制が欧州においてなし崩し的に消滅していった様に、欧州の人達は日本人ほど馬鹿正直に体制に従い続ける事はしないものです。DSが何を画策しようと、結局思い通りにゆかずに新たな歴史が作られてきた(その度に新しいDS的支配者が変わっていった)と言えます。コロナ・ウクライナ問題、そして白けた温暖化問題も次第に背に腹は代えられない(欧米の)普通の人達の行いによって変わって行かざるを得ないのではないかと思います。中国・インド・トルコや東南アジア、アフリカ、中東などの圧倒的多数の人達はコロナ・ウクライナ・温暖化に惑わされない生活になりつつある。日本を含む西側の情報統制下にある我々だけがずっとおかしな生活を強いられ続けているようです。自棄になったDSが核のボタンを押してしまう様な事がないことを祈るしかないのかもしれません。


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9 コメント

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Unknown (ローレライ)
2022-12-14 11:14:36
ヒンズークシ山脈の穴熊,タリバンに学ばないNATOウクライナ側だから核を使う機会も逃して,自然解散しそうだ。
タリバンのオマル司令官はバンカーバスターで戦死したがNATOに覚悟のある司令官はいないだろう!
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ノストラダムスの予言詩通りに (ローレライ)
2022-12-14 15:51:27
ノストラダムスの予言詩通りにロシアやイランが西ヨーロッパを蹂躙するまでNATO幹部たちは敗北がわからないのは日本帝国と同じ事!
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アメリカに敗戦賠償金を払い続ける日本! (ローレライ)
2022-12-17 06:37:39
アメリカに敗戦賠償金を防衛費の名目で敗戦後払い続ける日本は中國中代の宗王朝みたいな立場を続けてアメリカの世界理解を歪める原因だととなっている!
今回も岸田がアメリカへのみかじめ料を国民に増税で付加させる屈辱外交の道を広げた!
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棄て銭 (rakitarou)
2022-12-17 07:14:37
売る事ができない米国債、古くなった兵器、秘密だらけの防衛システム装備品などは属国としての上納金だろうと思います。
しかし最終的にアメリカの一般市民と日本人のどちらが幸福かを考えると圧倒的に日本の社会の方が安定して戦争もなく医療も充実していると思えます。まじめに働く人間から金を巻き上げる連中が「幸福」で「良い死に様」に終わる事はないだろうと考えています。
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イライラ戦争 (宗純)
2022-12-17 17:05:29
今朝の毎日新聞「土記」伊藤智永専門編集委員が担当するコラムですが、
「ウクライナ即時停戦案」のタイトル自体が画期的。今までの欧米や日本の政府やメディアの論調は「ウクライナ即時撤退」と一時違いで大違い。一方的にロシア軍バッシングとウクライナ支援しかしていない今までとは大違いなのですから驚いた。

しかも、
>侵攻される1年前から、ゼレンスキー氏が「クリミア奪還」「ロシアの武力侵攻に対抗」「ミンスク合意Ⅱ(ウクライナ東部紛争の和平合意)完全破棄」と繰り返し表明していた強硬姿勢は、今やよく知られている。米国流の自由と民主主義の価値観を絶対視するバイデン氏(現大統領)らが、数年越しでテコ入れしてきた背景も明らかになっている。<
とまで書いている。
「歴史的にロシア領のクリミヤはロシアに譲る。」
と書いているのですから大変化ですよ。

そもそも国力に大きな違いがあるのでウクライナやイラクは勝てないが、当時のソ連やアメリアや欧州や中国など世界中がイラク(フセイン大統領)を応援したので8年も続いたイライラ戦争に一部似ているのが今回のウクライナ紛争。

メルケルが時間稼ぎだったと白状したミンスク合意だが、それでも矢張りミンスク合意しか解決法はないのですから、
毎日新聞土記
ウクライナ即時停戦案=伊藤智永しか方法がないことになります。第二次世界大戦以来2回目のレンドリース法は単なる戦争ケインズ政策であり、しかも今回は11月8日のアメリカの中間選挙対策でも危なすぎて、、終わらすしか方法がありません
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テレビでは支援、支援 (rakitarou)
2022-12-18 10:05:17
今日のサンモニでは相変わらずウクライナへの支援を続けなければならない。ウクライナは国際秩序維持のため戦っているのだから、とDS一極支配を続けるために庶民は窮乏に耐えてでも支援という名の搾取に甘んじろと言うプロパガンダが繰り返されていました。
善人顔の出演者が真顔で訴えている事に呆れるやら感心するやらですが、当分全体の方向性は変わらない様に思います。
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ウクライナ即時停戦案の是非について、 (宗純)
2022-12-18 11:06:00
第二次世界大戦でマレー半島(シンガポール)を陥落させインドネシアなど欧米植民地をほぼ占領した日本陸軍は「停戦」を考えていたらしい。もし停戦交渉が成功すれば、日本本土は無傷で残ったのです。山本五十六の不気味な予言の通りで日本には半年程度しか継戦能力が無かったのですから、ヒロヒト天皇の「有利な条件での停戦」しか選択肢が無かったのです。
ところが、
停戦に反対したのが海軍で、ミッドウェー海戦に突き進み日本敗戦を決定付ける最悪の結果になる。まさに亡国の国賊

今回のウクライナ紛争ですが欧米やゼレンスキーが主張しているのは即時停戦ではなくて、一字違いで大違いの「即時撤退」なのですよ。最近になってから一部で「停戦交渉」が言い出されただけ。
本来なら国連こそが「即時停戦」を強く勧告するべきだがアメリカNATOに牛耳られていてロシア軍「即時撤退」しか言わないから、イライラ戦争が続いているのですが、

そもそもウクライナのように負けている方が停戦交渉を主張するのは、今停戦しないと、全面的に負けるので、それを防ぐ目的なのです。
朝鮮戦争ではアメリカのアイゼンハワーは中国への核攻撃の恫喝で停戦交渉に成功している。当時の韓国軍は今のウクライナ軍と同じように崩壊状態だったのですから、停戦での現状維持が最善策だった。
最近ではアゼルバイジャンに奇襲され大敗したのに即座に停戦に応じた理由は、アルメニア本国やナゴルノ・カラバフが危なくなったから。イスラエル軍の進撃を恐れて早期に停戦した中東戦争の例もあります

アメリカNATOゼレンスキーが、今まで停戦交渉を一切言わないのは首都キエフ近郊を占領したのに、その後何故か進撃を停止して動かなくなったから。もしロシア軍の進撃が続いていたらアルメニアの様に即座に停戦に応じたでしょう。そもそもロシア軍とウクライナ正規軍との開戦が起きていない。へルソンなど地元の無抵抗の状態で占領地を拡大しただけで、その後動きを止めてしまった。真面目に戦っているのは地元ドンバス軍とチェチェン軍だけなのですから、これでは停戦にはならず必ずイライラ戦争になります
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ノルマンディー4(ノルマンディー・フォーマット) (宗純)
2022-12-20 11:27:38
ドイツの元首相メルケルが、崩壊状態のウクライナ軍再建の「時間稼ぎだった」と白状したミンスク合意だが、2014年9月であり、これは不気味で恐ろしいドンバス上空でのマレーシア航空機撃墜事件の2カ月後なのです。ほぼ同じ内容の2回目のミンスク合意(議定書)2は翌年の2月。内容的に同じなので、「駄目押し」の意味だったと解釈できる

マレーシア航空撃墜なのに当事国であるマレーシアを抜いた摩訶不思議なオランダの裁判ではドンバス軍の犯行だと断定するが、時系列的には今年2月24日のロシア軍ウクライナ侵攻の不思議な騒動の真っ最中。単なる胡散臭い戦争プロパガンダであり、それ以上でもそれ以下でもないインチキ臭い代物。
マレーシア航空撃墜時の航空管制の記録をウクライナは拒否しているので、それならロシア系ドンバス軍の地対空ミサイルでは無くウクライナ戦闘機(アゾフ大隊などネオナチ親衛隊テロリスト)の犯行である可能性が高い。

アメリカのバイデン副大統領などが直接主導した首都キエフのマイダンクーデターの反発して、ソ連赤軍の後継組織であるウクライナ軍が内部崩壊していたのでしょう。
これでは左翼共産党が主力のドンバス軍にウクライナ軍は到底勝てないので、だから現状維持(即時停戦)のミンスク合意が結ばれた。
そんまま放置すれば、勢いに乗ったドンバス軍がネオナチ民兵を蹴散らして首都キエフに入城して左翼共産党政権がウクライナに成立するが、
この事態を事前に察知して阻んだのが、ミンスク合意(ノルマンディー4)の意味だった。
DEEPLY JAPAN記事では、お人好しのロシア(プーチン)が悪賢いメルケルやマクロンに騙された話になっているが、
そもそもロシアのプーチンは自国内の左翼共産党が大嫌いなのですよ。プーチンがメルケルに騙されたのではなく、ドンバス軍が首都キエフに進撃してほしくなかったので、現状維持(即時停戦)のミンスク合意が結ばれた(ロシアが独仏と組んでドンバスの左翼共産党を騙した)と判断して方が正しいでしょう。今年2月24日ロシア軍ウクライナ侵攻の不思議な騒動では、ロシア正規軍が積極的に進軍したのは最初の1週間だけで、しかも地元の治安当局の協力のお陰で戦闘らしきものを行ていない。真面目に戦っているのはドンバス軍(左翼共産党)とチェチェン軍(イスラム武装勢力)だけで、だから今の様に不可解なイライラ戦争になっている
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ゼレ氏よりもウ国民から支持を受けているザルジュニー総司令官 (ルンバよりは賢い積り)
2022-12-22 20:18:13
ミリタリーニュース系ブログ と自称されてる「虚空万能論GF」さんが紹介しています。ゼレ氏は
「オレ、かっこいぃ!」だけですが、軍のトップは冷静に状況を判断しています。
【ウクライナ軍総司令官、ロシア軍の動員計画は非常に上手くいっている】
The Economist の記事の紹介と説明。ごく一部分だけ引用します。
>> 最も興味深い話は何かと馬鹿にされることが多いロシア軍の動員計画についてへの言及だ
>> ザルジュニー総司令官は「ロシア軍の計画は非常に上手くいっている。第二次大戦の教訓を活かして前線から遠く離れたウラル山脈の向こう側で必要な物資の準備も行っている」と明かしたが、用意されてる弾薬の質は「あまり良くない」と指摘して戦闘能力自体は低いと予測している。
>> ウクライナ国内でのザルジュニー総司令官人気はゼレンスキー大統領の人気を上回っており、ザルジュニー総司令官を解任して陸軍のアレクサンダー・シルスキー司令官に交代を画策する大統領府の動きを西側諸国が心配しているとEconomist紙は報じている。
https://grandfleet.info/european-region/ukrainian-military-commander-says-russian-mobilization-plan-is-going-very-well/
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