八王子 印鑑 楽善堂
創業1899年:明治32年。東京:八王子 文字工房楽善堂では良いものを長く、一生お使いいただくのにピッタリの感触をご確認いただきたく、実際に印鑑材料をさわってみて、指との相性を見ていただく事をおすすめしております。
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
今週は、月曜から木曜まで「印影の鑑定」にかなりの時間を費やしました。
昨年のブログにも書きましたが、市ヶ谷にある法律事務所の弁護士の先生から、印鑑の印影鑑定を依頼されて、その仕事をしていました。
2種の印影を比較して、同じか、違っているかを鑑定するものです。裁判に絡んで、印影の鑑定が重要になったようです。若手で東京大学卒の弁護士の先生が、八王子の当店までお見えになりました。書類は33枚にも及びました。1枚の書類に対象となる印影は1つしか押捺されていませんが、鑑定の対象には33の印影がありました。その中で32印影は、同じ印影、1つだけが違う印影、種類としては2種類という判断をしました。
違う印影の2種の比較で、相違点を列挙していきますが、原寸印影を400%拡大します。すると、素人の方には原寸では分かりづらい相違点も、安易に分かるようになります。具体的に8つの相違点を書き出して、論述しました。
閉店後の時間帯にかなりの時間を使いましたが、私なりに勉強、自己研鑽ができました。
▲朝の運動途中で発見した日の出の風景。お日様は見えにくいが、
右手のビルの一番奥から真っ赤な太陽が昇り始めていた。
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こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
明けましておめでとうございます。
今日、5日(火)から店を開けました。年末ほどの忙しさはありませんが、ホームページを見て杉並区から中央高速を飛ばして、表札プレートのご注文にお見えいただいたお客様もありました。書体にこだわる方で近くのホームセンターでは3種類しかなく、お気に入らなかったことをお話になりました。ご自分でお書きになった毛筆の楷書体の版下見本をお持ちになりました。
2日(土)に年始の初詣に少し離れた神社にお参りしたら、神社の幟旗(のぼりばた)に懐かしさを無意識に感じました。よく見てみると旗の下方部分に落款印があり、私の作品でした。かなり前、5~6年くらい前でしょうか、宮司さんからご注文をいただき、隷書で彫ったことを思い出しました。ふと境内に目をやると宮司さんがお掃除をなさっていました。町名と店名を宮司さんに告げると分かってくれて、旗の作製過程など話してくれました。画仙紙に神社の名前を書いて、落款印を押したものを旗屋さんに渡したら大きな幟旗になって仕上がってきたとのことでした。
「私の作品をこの幟旗に使っていただき、ありがとうございます。嬉しいですね。」とお話させていただき帰ってきました。よい初詣でした。
▲八王子中心市街地、西方面の鎮守神様「多賀神社」です。
楽善堂から徒歩30分くらい、朝のジョッギングで向かいました。
▲左右一対の幟旗、下方部分の拡大です。宮司さんがお書きになった、
お名前の下に押された落款印の2種です。
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昨日の勤労感謝の日、ファミリーでサントリー美術館に行きました。天気が心配でしたが、小春日和の晴天に恵まれました。車で出かけました。中央高速、首都高とも、行きも帰りも渋滞はありませんでした。
「清方ノスタルジア 名品でたどる鏑木清方の美の世界」というタイトルで、鏑木清方(かぶらき きよかた)の絵画が多数展示されています。江戸情緒を残す美人画が多く、歌舞伎題材の絵、風景画などもありました。500円でヘッドフォンとリモコンを借りて作品の音声ガイドを聞きました。作品の番号を押せば丁寧に説明してくれます。
仕事柄、作品の右下あたりにある、落款印文字に興味が行きました。少なく見ても3種の落款印を使っていました。ひらがな表記の角判があり(落款印は角判が多いが丸判もある)、「あちさゐ」(あじさい)までは読めて、残りの2文字が判読できませんでした。美術館の出口で、切符販売の所にいる方に落款のことについて尋ねたら、作品帳を調べながら親切に教えてくれました。「あちさゐのや」と読むとのこと。アジサイの家ほどの意味です。この落款は、主に美人画に多く見受けられました。
「清くあれ 潔くあれ うるはしくあれ」とは、鏑木清方の言葉です。そんな思いを感じさせてくれた、作品鑑賞でした。
▲鏑木清方の日本画「春雪」。帰宅した夫の羽織を妻がたたんでいる。右端の落款印は教えてもらい「あちさゐのや」とわかった。
これは、サントリー美術館の入り口でいただいたカラーチラシです。厚手の上質紙です。
サントリー美術館
http://www.suntory.co.jp/sma/
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昨日お見えになったお客様で、実印に「草書」とご指定になる方がいらっしゃいました。
合計3本でその内の1本が草書です。印鑑の材料よりも文字に押した書体、作風にこだわるお客様です。このようなお客様が職人としては“お気にいっていただけるよう、いいものを作って差し上げよう”という気にしてくれる方です。書体は草書ではなかったが、一度他の店で作ったが気に入らないので、会計事務所の紹介で当店にお見えいただいた、とのことでした。
実印、銀行印は、使うご本人さえ文字が分かっていれば、他の人が印鑑の押し型だけを見て判読できなくても問題ありません。むしろ、判読できない位ほうが印の値打ちがあります。そんな点をこのお客様もよくご存知でおそらく「草書」とご指定になったかと思います。
下記に2種の文字の楷書、行書、草書を出してみました。楷書、行書は判読できても草書となると判読しにくいですね。「林」は何となく読めても、「村」の方はひらがなの「お」の変形した文字のように見えます。
判読しにくい書体となると、吉相体(印相体とも言う)、草書です。印鑑職人にそのように指示すれば希望のように仕上げてくれます。
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明日は海の日です。フリー百科事典「ウィキペディア」によると、明治天皇が東北地方巡幸をなさり、7月20日に「明治丸」で横浜港に帰着なさったことに因むと書いてありました。制定当初の1996年以降、7月20日でしたが、2003年のハッピーマンデー制度により、7月の第3月曜日になりました。今年はまさに7月の第3月曜日が当初の20日にぴったり重なりました。
「海」の字の篆書(てんしょ)について書いてみます。旁(つくり)の右下部分は「母」に同じです。「母」の字も篆書だと面白く「女」の篆書に似ています。私がまだ20代の頃、はんこ屋さんの業界の技術講習会に通っていました。課題に「春如海(春、海のごとし)」があり、先生は、「女」に乳房を付けると「母」になる、と教えてくれました。
下記の篆書で上段が「女」の篆書です。丸印をした篆書と下段「海」の丸印を比べてみて下さい。「日」を横に寝かせたような部分の左右に短い横画(先生の言う乳房)があるのが「海」の一部「母」というわけです。「海」の篆書の右上部分、「山」の縦画が短いような部分は、楷書だとカタカナの「ノ」プラス漢字の「一」です。
店でお客様とお話させていただく中、「篆書は、今私たちが使っている楷書と象形文字の中間に位置するような文字です」と説明しています。
▲「女」の篆書。『篆刻字林』より。
▲「海」の篆書。『篆刻字林』より。
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こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
沖縄は早々と「梅雨明け」したそうですが、関東地区はまだ不安定な天気です。
前回に続いて「判読できない印鑑の文字」について書いてみます。
今回は「心」と「也」の字です。篆書(てんしょ)だとまるで変わってしまいますね。「也」の方はまだ楷書に近い部分もありますが、「心」は楷書からは推量できない篆書になってしまいます。ここで「心」と「也」を一緒に取り上げたのは、篆書にすると同じような文字になるからです。楷書では明らかに違いがわかります。見習い修行時代は、この2文字の篆書の区別がすぐに付けられなかった記憶があります。
「心」の篆書は、人の心臓をデザイン化した文字にも見えますね。“篆書は楷書と象形文字の間に位置する書体” 私としては、こんな捉え方をしております。
▲「心」の篆書。右列の最上段の字と、下にある「也」の上段の字はよく似ている。
左列の上、2字は心臓の絵のようでもある。
▲「也」の篆書。「篆刻字林」には珍しく2文字だけの掲載だった。
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こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
前回に続いて「判読できない印鑑の文字」について書いてみます。
今回は「壽」(ことぶき、今は「寿」を使う)の字です。篆書だとまるで変わってしまいますね。以前にもご紹介しましたが篆書は同じ文字でも数種あります。今回の「壽」の字も「篆刻字林」には多くの文字が出てきます。
実はこの「壽」の文字、私が初めて彫った印鑑の文字です。25年以上も前に大学卒業後、見習い修行に行って、初めて彫った文字でした。稽古彫りと言って、柘植(つげ)の木の原木に師匠が字を入れてくれて、慣れない刃物を持って3日くらい掛けて彫りました。直径で3センチ以上あった大きな丸型印です。文字は下の「篆刻字林」の下段右から2列目、上から3つ目の画数の少ない字が書いてありました。
この時に初めてみた「壽」の篆書。判読できませんでした。勝手な推測で「馬」と兄弟子に言ったら、思いっきり笑われたのをまだ覚えています。この字は、曲線がなく、直線ばかりで角をしっかり彫ったり、四角の穴の中を彫ったりの稽古によいので、初めての稽古彫りに師匠が選んだ字だと思われます。
個人のお名前に使うと「ひさ」とか「とし」といった読み方をすることが多いです。
楷書だと画数が多く難しい文字も、今回のように篆書にすると簡単な字になることもあります。憂鬱(ゆううつ)の「鬱」も同じことが言えます。
▲「篆刻字林」にある「壽」の文字。下段、右から2列目、上から3つ目の字は簡単な字です。
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前回に続いて「判読できない印鑑の文字」について書いてみます。
接客をしていて、「この字はなんて書いてあるの?」とお客様から聞かれることがあります。その中で頻度の高い文字をシリーズでご紹介したいと思います。篆書(てんしょ)で、楷書からかけ離れていると、判読できない、または判読しにくい字。ということになります。
今回は「印」の字です。篆書だとまるで変わってしまいますね。以前にもご紹介しましたが篆書は同じ文字でも数種あります。今回の「印」の字も「篆刻字林」には多くの文字が出てきます。前回の「之」と同様に会社の角印によく使用されます。
下段に3列ある中で真ん中の行の一番上の「印」と一番下の「印」は、偏(へん)と旁(つくり)で左右に分かれているので、判読し易い字になっています。
ところが、右列の一番上の「印」だと左右に分かれていた部首が、上下の配置になったので「印」とは読めなくなりました。漢字は組み合わせの部首が同じなら、配置位置が変わっても同字という場合がままあります。嶋・嶌・島などです。会社の角印の左下にある文字が読めない場合、たいていは「印」の字です。
▲「篆刻字林」より抜粋
「印」字、会社の角印でなく個人の実印で場合によって使うことがあり、苗字が2文字以上でしかも画数が多い、しかし下の名前は1文字で画数が少ない、こんな場合です。例えば「齋藤 正」さん、「加賀美 一(はじめ)」さん、といった場合です。苗字と名前で右行、左行に分けるので、左行が明らかに過疎状態になります。そのため「印」の字を入れてバランスを取ります。役所に確認したら、印鑑登録の際、姓名以外に入れてもよい文字に「印」「章(印と同じ意味)」があります。
印鑑の文字は「バランス」です。日々、お客様からいただいた仕事の中で、どうすれば格好のよいバランスの良い印になるかをまず考えております。
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こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
今日は天気が不安定なせいでしょうか、ご来店のお客様は疎らでした。一方で電話のお問い合わせや、FAXでのご注文が目立ちました。私どもの仕事、商売はメールよりもFAXのほうが、ご注文を受けやすいです。と言うのは、FAXにゴム印なり印鑑の押し型見本があると、サイズや、書体、などサンプルが原寸で提示されているからです。
接客をしていて、「この字はなんて書いてあるの?」とお客様から聞かれることがあります。その中で頻度の高い文字をシリーズでご紹介したいと思います。篆書(てんしょ)で、楷書からかけ離れていると、判読できない、または判読しにくい字。ということになります。
今回は「之」の字です。篆書だとまるで変わってしまいますね。個人の印鑑にはお名前で「雅之」さん「貞之」さんと使った場合には出てきますが、多くは角印の文末に「之印」と使うことがほとんどです。以前にもご紹介しましたが篆書は同じ文字でも数種あります。今回の「之」の字も「篆刻字林」には多くの文字が出てきます。どの字を選ぶかは、印を作る職人の好みと、他の文字とのバランスです。会社名の画数が少ない(カタカナ社名とか)なら、「之」も画数の少ない文字を選ぶし、社名の画数が多ければ、バランスで「之」の字も画数を多くします。次の理論として、1行に多くの文字を入れなければならないという場合、「之」の字の画数を少なくすれば、他の文字の領域を広く取ることができます。
見習い修行時代、彫る前に師匠に文字入れした印を見せながら、上記のことを学んできました。選字や布字(文字を配置すること)の学習も奥が深い、と感じています。
▲この角印は右上から「幸輝商会之印」と彫ってあります。左上の字が「之」字です。
▼「篆刻字林」の「之」の字のページです。かなり多くの字が出てきます。
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こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
昨日も今日も八王子は小雨交じりの天気です。もう梅雨に入ってしまったのでしょうか。
花押の作風の中に「明朝体」というものがあります。中国の明代(1368~1644)の洪武帝の頃に始まったので、この名前があります。日本では室町時代の末期から使用され始めました。花押の上と下に水平な線があり、下の線をかなり長く引くのが特徴です。
活字にも明朝体があり、こちらの方が皆さんには馴染みがあると思います。学校で習う書体は、楷書体です。楷書体は横線が右肩上がりですが、明朝体の横線は水平です。活字も花押も横線が水平と言う点では、共通部分があります。
徳川家康が使った花押が下記のもので、以後一世を風靡するようになりました。別名、徳川判とも呼ばれています。明朝体花押は、花押の形式として最も完成された書体です。 (花押印のブログは今回で終了です。)
▲この花押は徳川家康のもの。明朝体の作風特徴がよく出ている。
花押印のページhttp://rakuzendo.com/shohin/shohin012.html
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