──── 八王子で印鑑を作り続けて124年 ────
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
今日は黒肉(こくにく)をご紹介させていただきます。朱肉はもう皆さん、だれもがご存じですが、黒肉は聞いたこともないし、見たこともない、という方も多いと思います。江戸時代の古文書を博物館で見たことのある方は、ご記憶にあるかもしれません、当時の庶民は朱肉を使うことが許されていませんでした。公家や限られた武士たちだけが朱肉を使っていました。明治以降、だれでも朱肉を使うようになり、黒肉の需要は減っていきました。
シャチハタのカタログが新しく出ました。2023-2024年用です。ここには黒肉の商品の記載はなく、補充用の黒インクのみが出ていました。電話でシャチハタ社に問い合わせたら、在庫にあるだけでこれからは生産しないとのことでした。朱肉の専門メーカー、(株)丸山工業の缶入り黒肉はまだあります。
今後の黒肉の使用用途ですが、印鑑の書体により、勘亭流文字、寄席文字、相撲文字などは、本来、黒の墨で書くので、印影も黒で押捺するのも、粋な使い方かな、と思います。
▲上は黒肉、下は朱肉です。両方ともシャチハタ社製品です。黒肉は専用のパッケージがなく朱肉のパッケージの
右上に黒のシールが貼ってあります。お値段、930円(税込)です。
▲上は黒肉で捺した印影、下は朱肉で捺しました。当店、楽善堂で領収書用に使っている印で、
草書で「楽善堂印」と彫ってあります。
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