ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談・研究しています

きたやまおさむ『コブのない駱駝-きたやまおさむ「心」の軌跡』(2024・岩波現代文庫)

2025年03月10日 | 精神分析に学ぶ

 2025年3月のブログです

     *

 精神科医で精神分析家のきたやまおさむさんの『コブのない駱駝-きたやまおさむ「心」の軌跡』(2024・岩波現代文庫)を読む。

 サブタイトルにあるように、きたやまさんの精神的な自伝。

 とても興味深く、面白い。

 精神科医で精神分析家の北山修さん、かつ、音楽家でもあるきたやまおさむさんの誕生の経緯がよく理解できる。

 単行本は2016年の本。

 読むまでに9年もかかってしまった(反省)。

 しかし、読めて幸せ。

 きたやまさんのこころの軌跡がとても細やかに書かれていて、参考になるし、面白い。

 きたやまさんでも、こんなに苦労をしているんだ、と思ってしまう。

 精神分析家の誕生の物語としても読めて、とても参考になる。

 いずれまた、再読をしたい本である。         (2025.3 記)

    *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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十川幸司『フロイディアン・ステップ-分析家の誕生』2019・みすず書房-フロイトさんをていねいに読みこむ

2025年03月03日 | 精神分析に学ぶ

  2019年のブログです

      *

 十川幸司さんの『フロイディアン・ステップ-分析家の誕生』(2019・みすず書房)を読みました。

 十川さんは精神分析を個人開業されているかたで、いわばフロイトさんと同じ立場で精神分析を実践されているかた。

 日本では、藤山直樹さんや松木邦裕さんが同じ立場ですが、臨床のかたわら、フロイトさんの理論を深く理解していくという点でもお二人と共通しています。

 じーじは十川さんの『思考のフロンティア・精神分析』(2003・岩波書店)や『来るべき精神分析のプログラム』(2008・講談社)を読んで、十川さんのフアンになりました。

 その地に足がついた文章といいますか、借り物でない、自分の文章を書いていらっしゃるというところに魅力を感じます。

 十川さんの、臨床と思索の中で練りに練られた独自の文章の力には本当に圧倒されますし、それは心地よい驚きでもあります。

 前に一度、精神分析学会で十川さんと藤山さんがお話をしている分科会に参加をしましたが、お二人の創造的な会話の中に浸れて幸せだったことを思い出します。

 さて、本書、その戸川さんが渾身の力で、フロイトさんを読解し直した力作、なかなか難解で、じーじのような初学者には2割も理解できたかどうか。

 もっともっと、臨床経験を積み、読み込んでいかなければ理解できないレベルの本のようです。

 有名なドーラさんの症例や狼男さん、シュレーバーさんの症例などをはじめとして、フロイトさんの症例と理論を十川さんは丁寧に読み込みます。

 フロイトさん自身が症例を理解する中で自らの理論を更新していった、と十川さんは述べますが、おそらく読者も同じことをしていくことが大切だとおしゃっていらっしゃるように感じます。

 そういう意味では、臨床の中でしか理論は深まらないのだろうと思いますし、その良きお手本を十川さんが示してくださっているように思います。

 じーじもさらに経験と勉強を重ねていこうと思いました。         (2019. 10 記)

     *

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松木邦裕・藤山直樹『愛と死-生きていることの精神分析』2016・創元社-「生きること」と「生きていないこと」

2025年02月18日 | 精神分析に学ぶ

 2018年のブログです

     *  

 松木邦裕さんと藤山直樹の『愛と死-生きていることの精神分析』(2016・創元社)を再読しました。

 じーじとしてはめずらしく(?)、2年目での再読です。

 それでも結構、忘れている部分が多くて、びっくりです。

 本書は創元社が主催する「精神分析スタディDAY」というセミナーの第7回の記録です。

 このセミナーはじーじも以前、一回だけ参加したことがありますが、深い内容の講義がなされ、それをもとに出版されている本もレベルが高く、参考になります。

 今回のテーマは、愛と死。

 なんだか小説の題のようですが、精神分析はなんだかんだと難しい議論がなされますが、しかし、やはりこの二つのテーマが重要だということだと思います。

 愛、というと、じーじなどはなんだか恥ずかしくなりますが、精神分析では、生きることは愛することだ、と藤山さんは言い切ります。

 そして、愛を支える生とそれを揺さぶる死を見つめることの大切さを論じています。

 一方の松木さんは、二つの症例を提示して、死んでいるように生きている患者さんの不毛さへの援助のあり方を論じています。

 いずれの症例も長期間の困難な治療ですが、参考になります。

 今回は、以前より、アンダーラインと付箋がだいぶ増えました。

 それだけ理解が深まっているといいのですが、どうでしょうか。

 愛と死を胸に秘めて、じーじは今日も勉強に励んでいきたいと思います。        (2018 記)

     *

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    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

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松木邦裕・藤山直樹『精神分析の本質と方法』2015・創元社-精神分析に深く学ぶ

2025年02月17日 | 精神分析に学ぶ

 2018年のブログです

     *  

 松木邦裕さんと藤山直樹さんの『精神分析の本質と方法』(2015・創元社)を再読しました。

 2015年の本ですから、のんびり屋のじーじとしては、めずらしく早めの(と、言っても3年ぶりですが…)再読です。

 松木さんと藤山さんのそれぞれの講義と討論からなっていますが、なかなか充実した内容で、奥が深いですし、やはり難しいです。

 特にじーじは、藤山さんの講義に感心させられましたし、刺激を受けましたが、自分の経験が少ないために、どれくらい理解ができているかとなると、かなり心もとない感じがします。

 それでも、勉強になったことを、一つ、二つ。

 一つめは、今、フロイトさんを読む意義。

 藤山さんは、精神分析を学ぶには、フロイトさんを読んで、フロイトさんと語り合うことが大切だ、といいます。

 フロイトさんの学説だけでなく、フロイトさんの迷いや不安を体感することから精神分析に近づくことができるのではないか、と述べます。

 藤山さんのような大家でも、何度も何度も読み返すそうですから、初学者のじーじなどはさらに読み込まなければなりません。

 二つめは、精神分析の面接の特異性。

 精神分析では、普通の心理療法と違って、親しい人間関係を目指すのではなく、あくまでも両者の間に起こる転移関係を「生きる」ことが大切、といいます。

 親しさを優先しない点で、精神分析は対面法の心理療法と大きく異なった技法のように感じられます。

 改めて、両者の違いに気づかされるとともに、より良き精神分析的心理療法の形を考えていく必要があるな、と考えさせられました。

 討論では、率直な藤山さんとあくまでも学術的な松木さんの好対照な姿勢が印象に残りました。

 しかし、お二人とも、個人開業の中で苦労しながらも精神分析を深められてきた先達であり、共通点も数多く、また、仲の良さや信頼しあっている様子がうかがわれて、本を読んでいてもとても心地よい雰囲気を感じることができました。

 いい本を再読できて、有意義なひとときを過ごしました。          (2018 記)

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松木邦裕・藤山直樹『夢,夢見ること』2015・創元社-夢の不思議さと夢のちから

2025年01月14日 | 精神分析に学ぶ

 2015年11月のブログです

     *  

 松木邦裕さんと藤山直樹さんの『夢,夢見ること』(2015・創元社)を読みました。

 2015年の精神分析学会の書籍売り場で購入した本です。

 お二人とも私の大好きな精神分析家で,もっとも信頼をする臨床家であり,学会でもお二人ともすばらしいご発言をされていました。

 本書は,松木さんの研究会に藤山さんがゲストで参加された時の講演と討論の記録ですが,内容がとてもすばらしく,充実しています。

 テーマは,夢,あるいは,夢を見る人,さらには,夢を見ること,などなど。

 夢という精神分析の大きな課題について,お二人が縦横に語り,夢を見る人,夢を見ることに繋げていきます。

 精神分析の分析空間が夢と同じかもしれない,というお話は説得力があります。

 さらに,転移や逆転移についても,夢を見ることという視点から理解をすると,また違った深みを増してきそうな印象を受けます。

 最近,夢をじっくり味わうと,夢が変化をしていくという経験をしています。

 夢は不思議ですが,魅力的な存在でもあります。

 まだまだ初学者ゆえ,理解は浅いですが,今後の臨床の中で,何度も読み返して,考えを深めていきたいと思います。      (2015. 11 記)

     * 

 2018年秋の追記です

 若い頃からずっと見ている夢や最近ずっと見ている夢など,夢は本当に不思議だなと思います。

 やはりなんらかの心的なテーマなんだろうと思います。

 精神分析ではフロイトさん以来、夢は重要なテーマですが、ビオンさんやメルツァーさんを読んでも勉強になります。

 そういえば、夢は村上春樹さんでも大きな要素のようです。

 自分の内的成長のためにも,夢にじっくりとゆっくりと丁寧につきあっていきたいと思います。        (2018.10 記)

      *

 2020年春の追記です

 自分にとって、意味のある、大切な夢は、何度も見るようです。

 そういう時は、どんな意味があるのかな、ああかな、こうかな、と考えるだけでもいいようです。

 あまり深刻にならずに、夢とつきあっていけるといいようですよ。

 まあ、こころの配偶者みたいなもんですかね(?)。          (2020.4 記)

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藤山直樹・松木邦裕・細澤仁『精神分析を語る』2013・みすず書房-その2・ていねいで正直な精神分析の実践に学ぶ

2025年01月10日 | 精神分析に学ぶ

 たぶん2016年のブログです

       *  

 藤山直樹さん、松木邦裕さん、細澤仁さんの鼎談、『精神分析を語る』(2013・みすず書房)を再読しました。

 ちょっと前に読んだつもりでしたが、本棚にあった本をよく見ると2013年11月の発行で、そういえば精神分析学会の書籍売り場で買ったんだっけ、と思い出しました。

 当時のブログもありますが、少し短い文章でしたので、今回はもう少し追加してみます。

 再読をしてみた印象は、やはりすごい!です。

 三人とも、それぞれの思いをかなり正直に話されているのが印象的で、初学者にもとても参考になります。

 精神分析の大家は、ご自分の失敗も含めて、臨床での思いや考えや感情をていねいに記されるのが特徴と思いますが、それがよき実践のためには大切なのだろうと思わされます。

 特に、藤山さんはふだんから飾りのない正直な発言が魅力的ですが(藤山さん、ごめんなさい)、この本でも藤山さんらしさが全開で、楽しいです。

 藤山さんにとって、『落語の国の精神分析』(2012・みすず書房)がとても大切な本だということもわかりました(この本についても前にブログがありますので、よかったら参考にしてください)。 

 圧巻は、細澤さんのケースを藤山さんと松木さんがコメントをするという贅沢な企画で、藤山さんと松木さんの読みの深さが際立ちます。

 同じ資料を読んで、大家は、ここに注目し、こう介入し、こう解釈をし、こう返すのか、こう明確化をするのか、ということがリアルタイムで示されます。

 こんな贅沢はなかなか体験できません。勉強になります。

 今年も精神分析学会が待ち遠しくなりました。        (2016?記)

     *

 2020年12月の追記です

 本棚を眺めていたら、読んで!読んで!という感じがしたので(?)、久しぶりに再読をしました。

 やはりすごい本です。

 専門書を読んで、こころから感動できることはそう多くはありませんが、この本はじーじにとって、そういう一冊です。

 今回も、藤山さんと松木さんの正直な語りに本当に感心させられました。

 また、お二人が精神分析に出合うお話なども感動ものです。

 さらに、やはり事例検討のお二人の理解もすごいです。

 じーじも以前よりは少しだけ理解できる箇所もあるように思いますが、やはり同じ資料でこれだけ深く理解できるお二人には尊敬しかありません。

 さらに勉強を深めたいと思います。         (2020. 12 記)

     *

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藤山直樹・松木邦裕・細澤仁『精神分析を語る』2013・みすず書房-その1・正直な精神分析に学ぶ

2025年01月09日 | 精神分析に学ぶ

 2013年のブログです

     *

 11月15日~17日,京都で開かれた精神分析学会に参加しました。

 この本はその会場で販売されていて,さっそく購入しました。

 前回,土居さん,中井さん,神田橋さんの鼎談のすごさをご紹介しましたが,今回は藤山直樹さん,松木邦裕さん,細澤仁さんという現在の日本の精神分析の世界ではかなり豪華な三者による鼎談です。

 それぞれの皆さんの率直な発言が贅沢なほどに綴られており,帰りの飛行機の中から一気に読んでしまいました。

 とても深い内容だと思いますし,何度か繰り返して読みたいなとつくづく思っています。

 いい本に出会えたなと感動しました。

 精神分析,やはり奥深い,すごい世界だなと再認識をしました。         (2013.11 記)

     *

 2022年12月の追記です

 この本については、その後、2016年に再度、ブログを、2020年にその追記を書いています(よろしかったら、読んでみてください)。

 同じような感想を繰り返してばかりですが、やはり大家の人たちの失敗を含めた正直さに感銘を受けます。

 少しでも近づけるように、さらに謙虚に学んでいきたいと思います。         (2022.12 記)

     * 

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ウィニコット(牛島定信監訳ほか)『人間の本性-ウィニコットの講義録』2004・誠信書房

2025年01月04日 | 精神分析に学ぶ

 2018年のブログです

     *   

 小児科医で精神分析家のウィニコットさんの『人間の本性-ウィニコットの講義録』(牛島定信監訳・館直彦訳、2004・誠信書房)を再読しました。

 これも、ものすごく久しぶりです。

 そういえば、ウィニコットさんのことはずいぶん引用するわりに、彼の本をきちんとご紹介するのは初めてかもしれません。

 いずれ、きちんとご紹介したいと思っているのですが…。

 さて、本書、イギリスの幼児教育や社会福祉などの大学院生に向けての子どもの発達やこころの発達についての講義。

 深い内容をていねいに話しています。

 人間の本性というのは human Nature の訳で人間性のことですが、人間の精神的、心理的な成熟について語っていると思います。

 いろいろなことが語られていて盛りだくさんですが、じーじが今回、印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、精神分析について述べているところで、精神分析は認識することの増大と認識できないことへの耐性をもたらす、という点。

 ウィニコットさんらしいというか、逆説的な感じで、認識できないことへの耐性をもたらす、といわれると、なるほどと思います。深いですね。

 二つめは、ひきこもりについてで、退行した部分を有する人が、外的な関係を犠牲にしても、その部分の世話をしている状態、と述べていて、かなり肯定的にとらえていると思います。

 三つめは、人間の成熟についてのコメントで、成熟した人間の数が一定数以下ならば、民主主義は政治的実態ではなくなる、と明言しているところ。

 今の世界各国や日本の社会状況を見ていると本当にうなづけます。

 また、カウンセリングをやっていると政治と無関係という感じがしていましたが、人間が少しずつでも成熟する過程をお手伝いすることは真の民主主義を実現することにつながるのだな、今回、わかったように思います。

 なかなか勉強になる一冊です。                 (2018 記)

     *

 2021年3月の追記です

 今ごろ気がついたのですが、認識できないことへの耐性、ということは、わからないことに耐えること、に通じそうですね。         (2021.3 記)

     *

 2023年11月の追記です

 以前は、カウンセリングで個人の悩みを解決しても、社会が変わらないと駄目ではないかという、心理学には限界があるのではないかという気持ちもどこかにあったのですが、この本を読んで、個人が人格的に成熟することで社会も変わりえるのだ、ということがわかって、とてもうれしく思った記憶があります。         (2023.11 記)

     *

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    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

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クリストファー・ボラス(館直彦ほか監訳)『精神分析の経験-事物のミステリー』2004・岩崎学術出版社

2024年12月28日 | 精神分析に学ぶ

 2018年のブログです

     * 

 アメリカの精神分析家であるボラスさんの『精神分析の経験-事物のミステリー』(館直彦他監訳・2004・岩崎学術出版社)を再読しました。

 これもかなり久しぶりです。

 ボラスさんの本については、何冊かはこのブログにも感想を書いていますので、ご承知のかたもいらっしゃるかもしれません。

 アメリカ人ですが、イギリス独立派の精神分析を学んだ人で、ウィニコットさんやビオンさん、クラインさんなどの名前がたくさん出てきます。

 本書はその書名のとおり、精神分析という経験をていねいに描写して、その中で起きていることを学問的に考察しています。

 精神分析の経験がない人でも精神分析というできごとを想像できるような細やかな本だと思います。

 じーじも精神分析そのものの経験はなく、精神分析的心理療法の経験から想像をするしかないのですが、それでも精神分析の重要な概念や考えが多少は理解できるような内容になっていると思います。

 今回、勉強になったことの一つめは、ウィニコットさんのいう、二人でいて、一人でいる能力、の考え。

 じーじはこれまで、これは母子関係の中で、子どもが徐々に自立していく様子と単純に理解していました。

 しかし、これについては「本質的孤立」といって、成熟したおとなが、他者のいるところで一人でいるという能力に通じる大切な概念のようです。

 二つめは、破壊性の創造的側面ということ。

 これも基本は、母子関係の中で、母子分離のために、子どもが母親の(心理的)破壊を通して開放や自発性が起こる、と考えているようです。

 三つめは、これとも関連をしますが、母親が思いやりの中で子どもの(心理的)破壊を是認することで、子どもにすまなさや罪悪感が育ち、子どもがそれまでの万能感からの脱出や成長が可能となる、という考えです。

 いずれも、母子関係の中から、母親の愛情のもとで子どもがどう自立していくのかを考察し、成熟したおとなになる条件を考察していて、参考になります。

 今後も、臨床現場での経験をさらに積み重ねて、こういった概念を参考にし、確認をしながら、力のある臨床家になりたいと思いました。       (2018.5 記)

     *

 2020年11月の追記です

 よく考えると、ここでも、生き残ること、がテーマになっているようです。

 親が子どものわがままに耐えて、生き残ること、が子どもの自立や精神的成熟に大切なようです。        (2020.11 記)

 

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クリストファー・ボラス(館直彦監訳)『太陽が破裂するとき-統合失調症の謎』2017・創元社

2024年12月26日 | 精神分析に学ぶ

 2017年のブログです

     *

 ボラスさんの『太陽が破裂するとき-統合失調症の謎』(舘直彦監訳・2017・創元社)を読みました。

 楽しみにしていた本で、すごくわくわくしながら読みました。

 ボラスさんはアメリカの精神分析家で、じーじもこれまでに何冊かの本を読んでいます。

 『精神分析という経験』(2004・岩崎学術出版社)という本はとてもいい本ですし、『終わりのない質問』(2011・誠信書房)もすごい本です(いずれもブログに感想文を書いていますので、よろしかったら読んでみてください)。

 今回の本は、統合失調症の患者さんへの精神分析的アプローチについて、多くの事例をもとにていねいに論じている本で、表題の、太陽が破裂するとき、はある患者さんの言葉です。

 内容は、事例が中心ですので読みやすいのですが、中味を理解するのはなかなかたいへんです。

 少なくとも、数回、自分の経験などとも照らし合わせながら読み深めていかないと、理解できないのではないかと思います。

 それでも、今回、勉強になったことは、まずは、患者さんの論理構造、思考構造をていねいになぞることの大切さ。

 なぞる、というと、精神療法家の下坂幸三さんの、言葉ですが、同じような細やかでていねいな作業をされているような印象を受けました。

 そういえば、下坂さんも精神分析の勉強から精神療法に入られたかたです。

 何か共通点があるのかもしれません。

 ボラスさんのなぞりはかなり徹底的で、そこに精神分析的な手法や考えが使われます。

 患者さんの一見支離滅裂な言葉から、つながりを見つけ出すその技はすごいですし、感動的です。

 そして、そういう作業を患者さんと一緒にやっていくことが、精神分析の、もの想い、につながり、情緒的体験を可能にするといいます。

 ここまでくると、もう完全に精神分析の世界になりそうです。

 なかなかたいへんな作業ですが、じーじも少しずつでも勉強し、努力をしていきたいと思いました。           (2017 記)

     *

 2019年4月の追記です

 「精神分析研究」63巻1号に東中園聡さんが本書の書評を書かれています。

 さすが東中園さん、というすばらしい文章で、読み応えがあります。

 じーじがよく理解できていなかったところもわかりやすく説明されていて、勉強になります。

 こんなふうな文章が書けるようになりたいなあ、と思いました。

 まだまだ勉強を深めていく必要があります。         (2019.  4 記)

 

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藤山直樹・伊藤絵美『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』2016・岩崎学術出版社

2024年12月12日 | 精神分析に学ぶ

 2016年のブログです

       *      

 藤山直樹さんと伊藤絵美さんの『認知行動療法と精神分析が出会ったら-こころの臨床達人対談』(2016・岩崎学術出版社)を読みました。

 とてもおもしろかったです。

 そして、とても勉強になりました。

 この中で藤山さんが精神分析のエッセンスを講義されているのですが、おそらくじーじが今まで読んだ精神分析の説明の中で、一番わかりやすくて、かつ、一番深いものではないかと思います。

 もちろん、それは藤山さんなりの「精神分析」なのですが、だからこそ、藤山さんファンのじーじには宝物のような講義でした。 

 ここで、じーじがうれしかったのは、治療者がたとえ失敗をしても厳然と「そこにいること」の大切さが述べられていて、このところ、このことを考え続けているじーじにはとても勉強になりました。

 そして、失敗は必須のものではないか、とか、必然のものではないか、との指摘は今後の大きなテーマだな、と思いました。

 考えてみれば、ウィ二コットさんもそのようなことを述べていることを思い出しました。

 もっと勉強が必要です。

 藤山さんの精神分析への熱い思いは、まだまだ精神分析の初心者のじーじのこころにもかなり深く響いてきて、今後も何度も読み返して、理解を深めたいと思いました。

 また、伊藤さんとの対談も面白く、認知行動療法との異同を考えながら、心理療法全般のことを考えました。

 二人のこころの臨床家の対談にいろいろと触発をされて、もっともっと勉強をし、実践を積み重ねていきたいなと思いました。        (2016 記)

     *

 2024年12月の追記です

 失敗は必然のものではないか、という言葉を今も考え続けています。

 カウンセラーがいろいろと失敗をすることで、クライエントさんが、こんなことでは大変だ、自分も頑張らなければ、と自立の契機になるのかもしれません(?)。

 カウンセラーが失敗ばかりでは困りますが、適度な失敗はクライエントさんの成長にも必要なのかもしれません。

 親子関係でも、ウィニコットさんがいうように、完璧な母親ではなく、ほどよい母親のほうが、子どもの成長や成熟には大切な気がします。

 病的に完璧な母親(父親もそうですが)はむしろ、子どもの成長を阻害する可能性もあります。

 おおらかで、たまに失敗をして、子どもに憎まれても、ごめんね、と素直に謝って、子どものそばに居続けるような親がいいのかもしれないなあ、と考えたりしています。        (2024.12 記)

 

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松木邦裕『こころに出会う-臨床精神分析 その学びと学び方』2016・創元社-精神分析に深く学ぶ

2024年12月10日 | 精神分析に学ぶ

 2016年のブログです

     * 

 松木邦裕さんの『こころに出会う-臨床精神分析 その学びと学び方』(2016・創元社)を読みました。

 松木さんの研究会での講義や学会誌の論文などを集めた本ですが、充実した内容です。

 総論的な論文もありますが(少し難しいですが、とても勉強になります)、じーじが今回、特に勉強になったのが、「喪失ということ」と「不毛ということ」という文章。

 いろいろと考えさせられました。

 このところ、なぜか「対象喪失」のことを考えることが多いのですが(老人になったせいでしょうか)、やはり精神分析の中心テーマの一つだろうと改めて思います。

 老人だけでなく、若い人や子どもさんであっても、新しい出会いとともに対象喪失が常にあるんだろうなと思います。 

 そうして、うまく対象喪失をしていくこと、さらには、それを周囲からうまく支えてもらうことが、「育てられること-育つこと」なんだろうなと思います。

 まだまだ考えが深まっていませんが、そういったことを臨床をふまえながら、さらに考えていきたいなと思っています。

 また、「不毛ということ」については、松木さんがその反対のことを語っているこの文章を引用したいと思います。

 「こころは、こころで感知することしかできない。感知した痛みを通して“生きづらさ”を抱えたこころの本性を知るのである」

 こころの営みの大切さとすごさを語っていると思います。

 全編に松木さんの強い思いが感じられるいい本です。          (2016 記)

     *

 2023年3月の追記です

 最後の、こころで感知する、というところは、普通は、共感、という言葉が浮かびますが、ここではもっと深い営みである、投影同一化という言葉が思い浮かびます。

 治療者からの一方的な働きかけではなく、治療者と患者さんの双方による無意識の相互作用をいかに意識化して、コンテインしていくかということを述べておられるように感じます(合っているといいのですが…)。

 もっともっと勉強しなければなりません。        (2023.3 記)

 

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藤山直樹『落語の国の精神分析』2012・みすず書房-藤山直樹さんの(?)精神分析入門を読む

2024年12月07日 | 精神分析に学ぶ

 2016年ころのブログです

     *     

 藤山直樹さんの『落語の国の精神分析』(2012・みすず書房)を再読しました。

 2012年に一度読んでブログを書いていますから(すみません、なぜか(?)消えてしまいました)、おそらく今回が2回目の再読です(たぶん?)。

 実はこの間に1回読んだような気もするのですが、記憶があいまいではっきりしません(藤山さん、ごめんなさい)。

 しかし、やはりとても面白かったです。

 そして、いい本です。

 前回のブログで、

 「藤山さんの精神分析の概念の説明がとてもすばらしいです。

  特に、エディプスコンプレックスの説明は、じーじがこれまでにいろいろ読んだり、聞いたりした中で、一番わかりやすい説明だと思いました。

  ほかの概念の説明も、とてもわかりやすく、しかも、レベルは高い水準をキープしているところがすごいと思いました。

  藤山さんには『集中講義・精神分析』(上・下、岩崎学術出版社)という本がすでにありますが(ブログがありますので、よかったら読んでみてください)、この『落語の国の精神分析』は藤山直樹さん版・精神分析入門と言ってもいいのではないかと思いました」

と書いたのですが、この印象は今回も変わりません。

 精神分析の考え方をおさらいし、さらには、最新の精神分析の考え方を藤山直樹さん流にわかりやすく、かつ、深く展開しているように思われます。 

 そんな中で今回、じーじが学んだのは、エディプスコンプレックスが死と密接な関係にあるという点。 

 ここは前回、まったくつかめていなかったのですが、とても大切なことと感じました。

 子どもが父親を認めることは、父親がいずれ死んでしまう存在であるということに気づくことだという考え、ここは斬新な印象を受けました。

 もう少し考えてみたいと思っています。

 他にも、自分は自分でいい、とか、今言ってもわからないことは言わない、とか、好きなものに打ち込めることだけでいい、とか、大切な言葉が出てきていました。

 今後も、もっともっと、読み込んでいこうと思いました。       (2016?記)

     *

 2022年2月の追記です

 今言ってもわからないことは言わない、というところは、わからないことに耐える、ことと関係しそうですね。       (2022.2 記)

 

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小此木啓吾『精神分析のおはなし』2016・創元こころ文庫-人と人との関係をていねいに見る視点

2024年12月06日 | 精神分析に学ぶ

 2016年のブログです

     * 

 精神科医で精神分析家の小此木啓吾さん(慶応大学医学部教授)の『精神分析のおはなし』(2016・創元こころ文庫)を読みました。

 単行本は1999年に出ていたらしいのですが、読みそびれていて、今回、文庫本で初めて読ませていただきました。

 研究会などでの講演をまとめたものですが、人生全般の心理的な課題を、いくつかのテーマに分けて、細かく、ていねいに解説をされています。

 甘えと自立、対象喪失と喪、さらには、懐かしい、シゾイド人間や自己愛人間のお話なども出てきました。

 シゾイド人間と自己愛人間が裏表の関係にある、という指摘は、今回、初めて、気がついて、なるほどと思いました。

 このところ、気になっていた対象喪失と喪の問題もさらに考えることができました。

 学ぶところの多い本ですが、今回、個人的に一番印象に残ったのは、親が生き残るというテーマ。

 幼年期や思春期、青年期をとおして、親子関係において、子どもと親はいろいろと大変なことに遭遇をするものですが、その時に、親がボロボロになりながらも、たいしたことはしなくても、とにかくつぶれずに生き残ること、これが一番大切なことだと力説をされています。

 生き残ることの大切さは精神分析で大事なテーマで、たとえば、ウィニコットさんなども、治療者や親がその関係の中で生き残ることの重要性を述べています。  

 また、ウィニコットさんの場合は、ほどよい親、ほどよい治療者が大切といい、適度の失敗の大切さについても述べていると思います。

 もちろん、人間ですから、完璧なことは無理な話で、時々の失敗が当然あるわけですが、それが子どもや患者さんの幻想をやぶり、ほどよい現実感覚をもたらすのだろうと思われます。

 このあたりの議論は、とても刺激的で、大切だと思われるので、さらに考えを深めていきたいと思っています。

 とてもいい本に出会えたことに感謝します。               (2016 記)

     *

 2023年3月の追記です

 ウィニコットさんのいう、親が生き残ること、については、子どもからの理不尽な攻撃に親が報復をしないことが大切、と述べられています。

 子どもの攻撃に親が報復をしてしまうと、それは虐待になってしまいます。

 そうではなく、親がボロボロになりながらも、子どもの世話をすることで、子どもは親を攻撃したことに償いの気持ちを持ち、それが罪悪感に繋がる、と述べているように思います。              (2023.3 記)

 

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クリストファー・ボラス(館直彦訳)『終わりのない質問-臨床における無意識の作業』2011・誠信書房-自由連想の大切さを学ぶ

2024年11月28日 | 精神分析に学ぶ

 2012年のブログです

     *  

 精神分析家クリストファー・ボラスさんの『終わりのない質問-臨床における無意識の作業』(館直彦訳・2011・誠信書房)を読みました。

 精神分析の初心者のじーじにとってはなかなか難しい本でしたが、著者が精神分析において解釈よりも自由連想を大切にしたいという思いは(それで間違っていないと思っているのですが…)、ひしひしと伝わってきました。

 これはひよっとすると全く的外れの感想かもしれませんが、じーじなりには、最近の精神分析が解釈よりも「もの想い」を大切にしていることとどこかでつながるのではないかなとも思いました(当たっているといいのですが…)。

 とはいえ、まだまだ理解できていない面も多いと思います。

 二度 三度と読み込んでいきたい本だと思いました。       (2012 記)

     * 

 2018年の追記です

 久しぶりに再読をしました。

 なんと6年ぶりです。

 しかし、やっぱりなかなか難しい本だと思いました。

 このような本は、臨床経験をていねいに重ねながら、何度も読み込んでいく必要があるようです。

 それでも、今回、気がついたことを一つだけあげると、自由連想は解釈と一体である、ということでしょうか。

 よい解釈、よい理解をするためには、フロイトさんがいったように無意識に開かれていなければならず、そのために自由連想やもの想いが大切になってくるのだろうということ。

 つまり、クライエントさんにより添いながらも、クライエントさんの論理、物語に流されずに、無意識に耳を傾けることが大切になるようです。

 ボラスさんは、ジャズの即興性との類似を指摘されていますが、確かにそんな感じがします。

 ケース検討などでも、つい、論理的な解釈に走りがちですが、無意識を大切にして、じっくりとそこにとどまり、わからないことに気づくことが大事になるのではないかなと思いました。

 さらに学んでいきたいと思います。         (2018 記)

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 2020年5月の追記です  

 今、ボラスさんの『対象の影-対象関係論の最前線』(館直彦監訳・2009・岩崎学術出版社)を再読しています。

 この本もなかなか刺激的で、いい本です。         (2020.5 記)

     *

 2023年3月の追記です

 今ごろ気づきましたが、ここでも、わからないことに耐えること、がテーマの一つになっているようです。         (2023.3 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 mail  yuwa0421family@gmail.com    

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