ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングやメールカウンセリングなどをやっています

梨木香歩『ぐるりのこと』2010・新潮文庫-内なる悪を見つめながら世界を見るエッセイ

2025年03月07日 | 随筆を読む

 2021年3月のブログです

     * 

 梨木香歩さんのエッセイ『ぐるりのこと』(2010・新潮文庫)を久しぶりに読みました。

 10年ぶりくらいでしょうか。

 小さな本ですが、なかみは重いです。

 あちこちを旅しながら、梨木さんにはめずらしく、たまに政治にも言及します。

 ひどい政治や社会を糾弾しますが、その時に自分の中にある同様のひどさをも必ず探る姿がとても印象的です。

 人は誰でも完全な存在ではないので、自分の内にもあるひどさや悪を見つめなければ、他人の行動をあれこれ非難しても片手落ちです。

 その往復作業はとても苦しいのですが、とても意味がありそうです。

 何か、たとえが適切かどうかはわかりませんが、精神分析の作業を思い起こします。

 精神分析は、患者さんの内なる攻撃性や破壊性を二人で探る作業だと思うからです。

 内なる攻撃性や破壊性に気づかないと、人はそれを外界に投影して、敵から攻撃をされるのではと不安になります。

 ですから、まずは内なる攻撃性や破壊性を意識化することが大切になります。

 それに似た作業をはからずも梨木さんが一人でされているような印象を受けました。

 いい文章や深い文章を書くことは、自己分析や自己洞察につながるゆえんでしょう。

 素敵なエッセイに再会できて幸せです。                (2021.3 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 mail  yuwa0421family@gmail.com    


コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 中井久夫・山口直彦『看護の... | トップ | 下坂幸三・飯田眞編『家族療... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ぴあ野)
2022-11-15 15:54:29
このたびは、フォローいただき、どうもありがとうございました。

梨木香歩さんを、よく読んでいらっしゃるなぁと、
私とは、また違った角度のご感想を
時に教えられる思いで、時折拝読しておりました。
それだけに、嬉しいです。

どうぞ、これからも、宜しくお願い申し上げます。
返信する
コメント、ありがとうございます (どさんこじーじ)
2022-11-15 16:08:25
だいぶ以前に書いていただいていたブログに今頃になって気がつきました。
素敵なブログだと感心いたしました。
いいブログは色あせませんね。
今後ともよろしくお願いいたします。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

随筆を読む」カテゴリの最新記事