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八木義徳『北風の言葉』1980・北洋社-どさんこ作家の文学的自伝エッセイを読む

2024年03月02日 | 北海道を読む

 2020年3月のブログです

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 北海道室蘭市出身の作家八木義徳さんのエッセイ集『北風の言葉』(1980・北洋社)を久しぶりに読みました。

 だいぶ前に北海道の古本屋さんで買って読んだはずなのですが、中身をほとんど忘れていて、今回、本棚の隅に見つけたので手にしました。

 いい本です。

 文章が美しいというか、端正というか、読んでいて心地よくなる本です。

 北海道を旅した紀行文や随筆、そして、文学的自伝からなりますが、じーじはこの文学的自伝に圧倒されました。

 もともと、「北海道新聞」に1971年に連載されたものらしいですが、すごい迫力です(当時、じーじは高校生で旭川でうろうろしていたはずですが、当然、読んでいませんでした。八木さん、ごめんなさい)。

 室蘭時代の思い出、北大時代の文学への目覚め、左翼運動と転向、早稲田大学での同人誌修行、作家横光利一との出会いと師事、出征地での芥川賞受賞、戦後のどさんこ作家たちをはじめとする小説家たちとの交友、などなどが、端正な文章で描かれます。

 ひとりの真摯な男の生きざまがしっかりと描かれます。

 そして、過不足のない美しい文章は北海道の広々として美しい風景を思い出させるような感じがします。

 同じどさんことして、このぜいたくな感覚を共有できる喜びをとてもうれしく思いました。

 今後は八木さんのような端正な文章を書くことを目標にして頑張っていきたいなあ、と切に思いました。    (2020.3 記)

 


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