2022年3月のブログです
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精神科医で精神療法家の成田善弘さんの『新訂増補・精神療法の第一歩』(2007・金剛出版)を再読する。
これもかなり久しぶり(成田さん、ごめんなさい)。
しかも、感想文は初めて、たぶん(?)。
成田さんのデビュー作である『精神科選書・精神療法の第一歩』(1981・診療新社)の改訂版だが、ご自分の文章への反省と思索がとても鋭く、びっくりしてしまう。
大家はみなそうだが、本当にすごいと思う。
今回の再読は、じーじの最近の研究テーマ(?)の一つである、わからないことに耐えること、について、成田さんが何か書いていないかな?と探索することだったが、やはりあった。
「すぐには答の出ないのがあたりまえなのだと思って、問を問のままに、多義的な可能性を孕んだままにしておこう。すぐに結論を出さず、曖昧なことを曖昧なままに、わからないことをわからないままにしておくことができることが、精神療法家の大切な能力の一つであるから」
どうです?すごいでしょう。
他にも、聴くことと聴かないこと、クライエントさんの言葉の意味を明確にしていくこと、「絶対」という言葉の危なさ、治療構造の大切さ(時間、空間、役割など)、電話についての対応、などなど、心理療法家にとっても重要な事柄が目白押しだ。
今回は、大切に、大切に、読ませていただいた。
今日からの心理面接に少しでも生かしていきたいと思う。 (2022.3 記)