ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングやメールカウンセリングなどをやっています

遠藤裕乃『ころんで学ぶ心理療法-初心者のための逆転移入門』2003・日本評論社

2024年01月31日 | 心理療法に学ぶ

 2020年6月のブログです

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 遠藤裕乃さんの『ころんで学ぶ心理療法-初心者のための逆転移入門』(2003・日本評論社)をかなり久しぶりに読みました。

 このおもしろい題名の本、本の帯に、失敗からはじまるセラピストの第一歩、とあります。

 ころんだり、失敗したり、とたいへんですが、著者が自身の体験から学んだことを率直に書いていて、とても勉強になります。

 こんなことあるよな、こんなことしちゃったな、こんなことで困ったよな、と思い当たることばかりです。

 みなさん、同じような経験をしているんだな、と思えることが目白押しです。

 本の題名どおり、心理療法は失敗から学ぶのでしょうし、ころんでなんぼの世界なんだな、と納得させられます。

 決して初心者だけの問題でなく、おそらく中級者以上の人にでも勉強になる本だと思います。

 例によって、今回、特に印象に残ったことを一つ、二つ。

 一つめは、逆転移を通して理解できるクライエントの世界。

 クライエントさんから理由のないような攻撃をされると辛いものがあります。 

 しかし、クライエントさんはいつもそういう世界にいるという理解、これはやはり大きいと思います。

 そう思ってもとても疲れますが、しかし、この理解は大切ですし、セラピストが生き残るために必要だろうと思います。

 二つめは、クライエントさんの言動の激しさに驚かずに、そこでのクライエントさんのおっしゃりたいことを明確にしていくことの大切さでしょうか。

 クライエントさんと一緒にクライエントさんの世界をていねいに理解することが、クライエントさんとセラピストの両方を生き残らせてくれるようです。

 他にも、初心者や中級者の勉強になることがいっぱい、いい本です。        (2020.6 記)

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 2024年1月の追記です

 先日の能登半島地震でじーじの本棚から崩れてきた本を整理していたら、長年、行方不明だった本を2冊も発見しました(他にもまだありそうな気もします)。

 中井久夫さんの『治療文化論』と大平健さんの『食の精神病理』。どちらもとても読みたかった本です。

 こういうのを、ころんでもただでは起きない、というのでしょうか(?)。すこし違いますかね(?)。

 これで1か月は楽しめそうです。

 そして、カーリングの試合中にころんだ藤澤五月ちゃんは今年も大活躍中(!)。

 長生きをしていると、いろんなことが起きて、面白いなあ、と思います。      (2024.1 記)

 

 

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司馬遼太郎『胡蝶の夢』(1)~(4) 1983・新潮文庫-幕末・維新の「医」を描く

2024年01月31日 | 小説を読む

 2019年のブログです

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 司馬遼太郎さんの『胡蝶の夢』(1)~(4)(1983・新潮文庫)を再読しました。

 本棚を眺めていたら目にとまって読み始めたのですが、すごく久しぶりで、おそらく十数年ぶりです。

 いい小説なのに、じーじの怠慢で、ご無沙汰しすぎです。

 こういういい小説は、年寄りになったら、もっともっと読んで、こころを豊かにしなくてはいけません。反省です。

 さて、この小説、紹介するのはなかなかたいへんです。

 主人公は幕末の医師松本良順。

 千葉・佐倉のオランダ医学所である順天堂の出身ですが、将軍の医師にまでなります。

 その良順が自らオランダ医学を学ぶために、長崎でオランダの軍医ポンぺから西洋医学を学ぶ学校を作るのですが、この小説はそこで学んだ同僚や後輩たちとの物語ということになりそうです。

 特に、幕府一筋の良順と、佐渡出身で語学に異彩をはなち、後に政府の語学者となる島倉伊之助(司馬凌海)、さらに、阿波藩の医師になり、後に官軍の病院長にまでなるものの、戊辰戦争後にやめてしまう関寛斎の3人の生き様が中心です。

 いずれの人物も一筋縄ではいかない個性派ぞろいですが、それを描く司馬さんの目線は温かさにあふれています。

 松本良順は、幕府の形式主義的な官僚を徹底的に嫌い、たくさんの敵を作ってしまいますが、その正義感からか将軍の信頼は厚い人物です。

 なぜか新選組が好きで、戊辰戦争では会津にまで行って、怪我人の手当てに当たります。

 戊辰戦争では良順の長崎時代の同僚である関寛斎が官軍側の医師として参加し、二人は歴史のいたずらに翻弄されます。

 一方、伊之助は、そういう不幸な状況を手をこまねいて見守るしかありません。

 戦争というものが、大義はどうであれ、いかに残酷なものであるかが描かれますし、犠牲になるのは庶民なんだなと改めて考えさせられます。

 結局、良順は戊辰戦争後に新政府に逮捕され、しかし、後日、政府の医学総監になります。

 伊之助は新政府の外国人医師の通訳をつとめ、オランダ語、英語、ドイツ語、イタリア語などを修め、大学教授にまでなります。

 席寛斎は農民に戻り、なんと北海道の陸別に開拓に入り、日本一の寒さで有名な自然の厳しい土地で開拓の基礎を作ります。

 それぞれの生き方がそれぞれに示されます。 

 どさんこのじーじとしてはやはり北海道に渡った関寛斎の生き方に魅かれますが、しかし、お偉方と喧嘩ばかりしている良順の生き方も大好きです。

 こうしてみると、じーじはやはり昔から反体制派のところがあったんだなとつくづく思ってしまいます。

 どんなふうに生きても人生70~80年。それならば自分に正直に、後悔のないように生きたいなと改めて思います。

 じーじにも勇気をくれる、心地よい、いい小説でした。     (2019.3 記)

 

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そだねー、と、いーんでないかい、についてのカウンセリング的考察(?)

2024年01月30日 | 心理臨床を考える

 2018年のブログです。

 平昌冬季オリンピックのカーリングを見ていて、思いつきました。

 カーリングを見て、カウンセリングのことを考えるなんて、われながらただ者ではないのかもしれません(?)。

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 そだねー、がすっかり有名になりました。

 どさんこのじーじは、しばらくこれが方言とは気づかずにいたのですが、そういわれてみれば、標準語と少し違うんだなということがようやくわかりました。

 でも、そうだねー、より、そだねー、のほうが、なんか温かみがありません?

 カウンセリングにも使えそうです。

 〇〇と思うのですが…、そだねー。

 ほら、いいでしょう?

 もうひとつの北海道弁、いーんでないかい、も使えそう。

 〇〇と思いますが…、いーんでないかい。

 ね、なかなかいいでしょ?

 一方、新潟弁には、そうだんがー、という言葉がありますが(主に長岡地方です)、少し強すぎますかね?

 〇〇ではないでしょうか?そうだんがー。

 カウンセリングにはちょっときついですかね?

 そういんだー、というのもあります。

 ○○ですよね?そういんだー。

 これくらいだといいですかね?

 いずれにしても、方言はいいですよね。

 歴史と人々の暮らしの営みとに育まれてきたぬくもりが伝わってきます。

 今回、北海道弁の優しさを再認識したじーじは、今後は、北海道弁と新潟弁でローカルなカウンセリングをしていきたいな、と決意を新たにしたのでした。   (2018.2 記)

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 2019年5月の追記です

 「なつぞら」を観ています。北海道の自然の美しさとともに北海道弁のなつかしい響きが心地よい毎日です。

 そういえば、なーんもだー、という北海道弁もいいですね。  (2019.5 記)

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 2020年1月の追記です  

 東直己さんの小説を読んでいます。北海道弁が満載でとても懐かしく、そして楽しいです。  (2020.1 記)

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 2021年9月の追記です

 週末のカーリング女子日本代表決定戦、ロコ・ソラーレ2連敗のあとの3連勝、しびれました。  (2021.9 記)

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 2022年2月の追記です

 北京五輪でもロコ・ソラーレはにぎやか。涙あり、笑いありで、素直な姿が魅力的です。

 フロイトさんやビオンさんは、精神分析では驚きが大切、と述べました。

 土井健郎さんは藤山直樹さんに、面接はハラハラ、ドキドキだよ、と述べたそうです。

 新鮮な驚きと素直さは、カウンセリングにとっても大切なことのようです。      (2022.2 記)

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 2023年2月の追記です

 カーリング女子の日本選手権で藤澤五月ちゃんがストーンを投げる時に転んでしまいました。あんな天才でも転ぶことがあるのですね。

 まして、じーじなどは転びまくりの人生です(?)。

 そういえば、以前、『ころんで学ぶ心理療法』(遠藤裕乃・2003・日本評論社)という本をご紹介したことがありました。

 転んでこそ、強くなれるんですね。       (2023.2 記)

 

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佐渡・胡蝶の夢・辺野古-じーじのじいじ日記・セレクト

2024年01月30日 | じいじ日記を書く

 2019年の日記です

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 自宅から北へ30分ほど歩くと日本海に出る。

 そこの海岸からは天気がいい日には佐渡が見える。

 新潟市から見る佐渡は結構大きな島だ。

 その佐渡が一つの舞台である小説が司馬遼太郎さんの『胡蝶の夢』(1983・新潮文庫)。

 久しぶりに(おそらく15年ぶり(?)くらいだ)再読をしている。

 司馬さんの日本語が端正で、読んでいて気分がいい。

 主人公の島倉伊之助、頭はいいが、不器用な人間で、今でいうとアスペルガーのようだが、この伊之助を描く司馬さんのまなざしはどこか温かい。

 昨日はデイケアでのボランティアの空き時間にもメンバーさんそっちのけで読んでしまった(メンバーさん、ごめんなさい)。

 一方、南の島の沖縄。

 沖縄の人たちは賢くも辺野古基地反対の意思表示をした。

 いろいろな苦渋の末の選択と思われるが、その勇気に敬意を表したい。

 ある新聞に、次は本土の人たちの意思表示だ、とあった。

 これから参議院選挙をはじめとして、意思表示の機会がある。

 基地の是非、負担の平等、などなど、我々が考えること、選択すべきことは多いと思う。       (2019.2 記)

 

 

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村上春樹『辺境・近境』2000・新潮文庫-その場に立って、触れて、はじめてわかることがある。

2024年01月29日 | 村上春樹さんを読む

 2024年1月のブログです

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 村上春樹さんの『辺境・近境』(2000・新潮文庫)をかなり久しぶりに再読する。

 じーじにしてはめずらしく、少し内容を覚えているような気がしていて再読が遅れたが、いざ読んでみると、やはりほとんど覚えていなくて、またまた新鮮に読んでしまった(?)。

 本の帯に、その場に立って、触れて、はじめてわかることがある。とあるが、村上さんの言いたいことは、ずばりここなのだろうと思う。

 今は、テレビやSNSなどで、なんとなくわかったような気になってしまうことが多いが、やはり本物や本当のところは、現場に行って体感しなければわからないものなのだろうと思う。

 もちろん、現場に行ったからといって、本当のところがどれだけ理解できるかは、その人のちからや知識や出会いや時期などにも左右されるのだろうが、すべてがわからないにしても、現場に立って、現場の空気を吸うことは大切なようである。

 さて、本書で、村上さんは七つの旅をする。

 メキシコやノモンハン、アメリカ、といった海外の旅や、なぜか、村上島という無人島や讃岐うどん、そして、神戸などの国内の旅。

 シリアスな旅やユーモラスな旅がいっぱいで、深刻に考えたり、笑ったり、となかなか忙しい本だ。

 個人的には、讃岐うどんの旅に出てくる雑誌「ハイファッション」の担当のマツオさんという女性が面白かった。

 すごい美人ちゃんだったら困るが(?)、どうなのだろう。

 そして、一番印象に残ったのはやはりノモンハンの旅。

 ノモンハンの事件は、日本史ではあっさりと通りすぎてしまった記憶しかないが、ご存じのように、太平洋戦争の少し前に、モンゴルのノモンハンで、満州国とモンゴルの国境争いから、日本とソ連が戦った事件というか戦争で、日本が大敗した。

 日本はこの結果を直視せず、中国侵略やアジア侵略をさらに進めて太平洋戦争に突入するが、ノモンハンの戦争は本当に悲惨で、それが刺激の一つになって、村上さんは『ねじまき鳥クロニクル』を書いたようだ。

 この旅行記も戦場の様子などが詳しく書かれていて、参考になるし、村上さんの国家の冷酷さへの糾弾と、庶民の哀しさへの共感がすごく感じられる旅行記だ。

 正月早々、いい旅行記を読めて、幸せである。   (2024.1 記)

 

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小倉清『子どもの精神科症例集-予防医学と母子デイケア』2020・岩崎学術出版社

2024年01月29日 | 子どもの臨床に学ぶ

 2021年2月のブログです

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 小倉清さんの『子どもの精神科症例集-予防医学と母子デイケア』(2020・岩崎学術出版社)を読みました。

 新刊です(小倉さんはいくつになられてもすごいですね!)。

 そして、内容もすごい本です。

 いくつかの症例とフロイトのハンスの症例の再検討、それと、鼎談からなっていますが、この症例がすごいです(さっきから、すごい!の連発ですね)。

 小倉さんは診察室に入ってきた子どもの表情を見ると、この子は家ではこんな感じではないかな?こういう親子関係なのではないかな?こういう歴史を生きてきているのではないかな?と、パッと読み取ります。

 それはエヴィデンスというよりは、小倉さんのこころにわいた物語のようなもののように読めるのですが、しかし、それが当たっていると、子どもは自分を理解をされたという様子を示します。

 そして、治療的な関わり合いが始まります。

 ここの場面が感動的ですし、それを言葉にできる小倉さんは本当にすごいと思います。

 子どもへの愛情がとてつもなく深く、それが臨床的な確かな技術にきちんと支えられている印象を受けます。

 こういうお医者さんに診てもらえる子どもは幸せだなと思います。

 もう一つは、鼎談に出てくる母子デイケアのお話。

 子どもだけでなく、お母さんも治療的に抱えられるような場になっているようで、興味深いです。

 いくつになってもお元気な小倉さんの様子に接して、じーじももう少しだけ頑張ろうと思います。  (2021.2 記)

 

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皆川明『ミナを着て旅に出よう』2014・文春文庫-ナチュラルを大切にするテキスタイル・ファッションデザイナーに学ぶ

2024年01月28日 | 随筆を読む

 今日のEテレ日曜美術館を見ていたら、皆川明さんが出てきました。

 たぶん2016年にもテレビで拝見をして感動し、さっそく本を読み、書いたと思われるブログがありますので、再録します。  (2020 . 1 記)

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 ファッションブランド・ミナペルホネンの皆川明さんが書いた『ミナを着て旅に出よう』(2014・文春文庫)を読みました。

 実は先日、テレビを見ていたら、皆川さんの仕事ぶりを特集している番組をやっていて、皆川さんのことはその時初めて知ったのですが、最初はなにげなく見ているうちにどんどんひき込まれてしまいました。

 皆川さんのデザインやファッションについて話す内容がとても自然体で、ファッションのことにうといじーじにもいちいちうなずけることが多く、じーじにとってはそれにとどまらずに、カウンセリングや人間の生き方などにも参考になるような話が多くありました。

 じーじはファッションのことはまったくわからないのですが、たぶん女性のかたがたは知っておられるかたも多いのでしょうね。 

 本書と一緒に読んでいた皆川さんの『皆川明の旅のかけら』(2003・文化出版局)の写真を見ますと、素敵なデザインの生地や洋服がいっぱいで、思わず娘や孫娘たちにプレゼントしてあげたいな、と思うようなものも多くありました。

 皆川さんの魅力は、じーじのような人間がいうのもなんですが、ナチュラル、シンプル、やさしさ、あったかさ、などなどでしょうか。

 もちろん、デザインの美しさ、素敵さはもちろんなのですが、その底流にここち良さややわらかさみたいなものをすごく感じます。 

 努力の上でのナチュラルやシンプルが大切なのは、カウンセリングにも共通だと思います。

 いい仕事人に会えて幸せです。   (2016?記)

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 2022年夏の追記です

 今日、ある方のブログを見ていたら、ミナ・ぺルホネンの新作を紹介しておられました。

 洋服にはうといジージですが、あいかわらず素敵だなと思いました。   (2022.8 記)

 

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本多勝一『北海道探検記』1985・集英社文庫-人のいない北海道を歩く

2024年01月27日 | 北海道を読む

 2020年2月のブログです

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 本多勝一さんの『北海道探検記』(改訂版・1985・集英社文庫)を再読しました。

 この本もかなりひさしぶり。

 本棚の隅っこに隠れていたのを(?)見つけて読みました。

 探検記、ということで、観光地ではなく、人のいないところを訪ねる旅です。

 人混みが嫌いらしい(?)本多さんと意見が一致してしまい、思わず引き込まれてしまいました。

 知床の山奥、離島、根釧原野、天北の開拓地などを巡りますが、今回、わたしが印象に残ったのが、日高の奥高見部落。

 当時の5級僻地校という少人数の学校が紹介されていますが、ここがすばらしい。

 子どもたちの夢が、海を見ること、という山奥の素朴な子どもたち。

 授業は複数の学年が一緒の複式学級ですが、地元出身の先生が中心となって音楽教育に力を入れていて、日高地区のコンクールで優勝をしたりしています。

 本多さんにもすばらしい演奏を披露して、本多さんは本気で感動をされます。

 成績よりも大切なものを大事にしている先生方の努力に脱帽をされます。

 しかし、数年後に再訪をしようとしますが、部落は全員引き揚げで消滅、学校も廃校となってしまいます。

 北海道の厳しい現実と直面をする旅でもあります。

 根釧原野や天北でも同じようなケースに遭遇。

 敗戦直前の拓北農兵隊を思い出させるような、無謀な開拓の姿を見せつけられます。

 もっとも、その自然の厳しさが北海道の魅力でもあります。

 今年の夏は、本多さんの『北海道探検記』を片手に、あちこちを回ってみたいと思いました。   (2020.2 記)

 

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新野剛志『戦うハニー』2019・角川文庫-本の帯に、保育園には、日本のリアルが詰まっている。とあります

2024年01月26日 | 小説を読む

 2021年1月のブログです

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 新野剛志さんの『戦うハニー』(2019・角川文庫)を読みました。

 ちょっと変わった題の本ですが、本の帯には、保育園には、日本のリアルが詰まっている。とあります。

 面白かったです。すごく面白かったです。 

 先日の大雪の雪かきで腰を痛めて、笑うと痛いのですが、ずいぶん、いたたたー、といいながら、笑ってしまいました。

 主人公はある認可外保育園で働くことになった男子保育士。

 保育園の現場には、日本のリアルである、虐待や放任など、問題のあるモンスターな保護者が登場し、そこであたふたしながらも、少しずつ成長をしていきます。

 園長先生のふところの広さに支えられ、同僚の女子保育士らにからかわれながらも、子どもたちと真摯に向き合っていく姿はなかなかいいです。

 子どもたちの切なさや哀しみ、こころの痛みなどは辛いものがありますが、園長先生や保育士たちの頑張りで、少しは元気になります。

 そして、保護者は、こちらはなかなか変われませんが、それがリアルなのでしょう。それでも、保護者の哀しみは伝わるようにはなります。

 決して明るい小説ではありませんが、いろいろと考えさせられます。

 正解はありませんが、悩んで、考えていける気がしてきます。

 いい小説に出会えました。   (2021.1 記)

 

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更科源蔵『北海道の旅』1979・新潮文庫-北海道を再発見する旅

2024年01月25日 | 北海道を読む

 2020年1月のブログです

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 更科源蔵さんの『北海道の旅』(1979・新潮文庫)をかなり久しぶりに再読しました。

 だいぶ前に古本屋さんで買った本で、150円というシールが貼ってあります。

 しかし、中身はなかなか充実しています。

 どさんこのじーじでも、へえー、そうなんだ、とびっくりするような内容がたくさん出てきます。

 特に、火山や地震など、自然関係の知識で教えられることが多くありました。

 今はまったく静かに見える山や湖が、近くは明治や江戸時代の頃に大きな変動があったりして、驚かされます。

 北海道の自然の美しさを見る眼が少し豊かになるような気がします。

 また、自然だけではなく、アイヌやオホーツク人の人々の生活やその後の和人の進出など、歴史を考える内容も豊富です。

 更科さんは道東の開拓部落の出身、その苦闘ぶりは小説『原野』などに詳しいですが、そういうこともあってか、開拓と人々の生活、近代化と自然などなど、考えさせられるテーマは多いです。

 今年の夏の北海道旅行が楽しみになってきました。  (2020.1 記)

 

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東直己『後ろ傷』2006・双葉社-『ススキノ、ハーフボイルド』の秀才くんが北大を落ちてからのお話です

2024年01月24日 | 北海道を読む

 2020年1月のブログです

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 東直己さんの『後ろ傷』(2006・双葉社)を再読しました。

 昨年末に、東さんの『半端者』を久しぶりに読んで以来(ブログがありますので、よかったら読んでみてください)、不覚にも東ワールドにすっかりはまってしまい、年末年始はススキノ探偵シリーズにどっぷり浸かってしまいました。

 探偵シリーズの姉妹編(?)で札幌南高の秀才を描く『ススキノ、ハーフボイルド』(2003・双葉社)(すみません、まだ、感想文が書けていません)も面白く、当然(?)、続編の本書も読んでしまいました。

 主人公は北大合格が間違いなしと思われていたところが、まさかの不合格。

 やけになって偏差値最下位の道央学院国際グローバル大(略してグロ大)に進学しますが、そこで自他のさまざまな偏見に気づかされ、青春の悩み(!)と直面します。

 学友との交友などで新たな発見もあったりして、少しずつ精神的に成長をするわけですが、そこにススキノ探偵らの素敵なおとながからんできて、物語が展開します。

 社会問題や歴史、さらには、東さんの専門だった哲学のお話なども出てきて(東さんは北大哲学科中退です)、なかなか教養あふれる(?)いい小説です。

 主人公のガールフレンドとの交際も初々しく、青年の成長のお話でもあります(今どき、こんな男女はいなくなったかもしれませんが…)。

 蛇足ですが、裁判所の法廷の場面も出てきて、裁判所で働いてきたじーじにはとても面白く読めました。

 切ない小説でもありますが、ところどころにユーモアが散りばめられていて、ドキドキしながら読み進められます。

 読後感は悪くありません。

 いい小説を読めて、いい年末年始だったなと思います。   (2020.1 記)

 

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そり遊びを眺めながらの公園カウンセリングは、こころもシュッシュー元気になります

2024年01月23日 | カウンセリングをする

 こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングと訪問カウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でたまにやっています。

 また,メールカウンセリングや面会交流の相談・援助も時々やっています。

 公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。

 訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間などは公園カウンセリングと同じです。

 メールカウンセリングは,メールによるカウンセリングや心理相談で,2週間に1往信で行ない,1往信700円です。

 面会交流の相談・援助は,相談はご自宅などで行ない,1回50分3,000円,援助はお近くの公園や遊戯施設,あるいはご自宅などで行ない,1回60分6,000円です。

 カウンセリング,相談・援助とも土日祝日をのぞく平日の午前10時~午後3時にやっています。

 じーじのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください。そういう意味では,深くはないけれども,現実の生活を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています。

 料金は,低めに設定させていただいていますが,月収15万円未満のかたや特別なご事情のあるかたは,さらに相談をさせていただきますので,ご遠慮なくお問い合せください。

 ちなみに,消費税には反対なのと,計算がややこしいので,いただきません。

 お問い合わせ,ご予約は,メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 1954年、北海道生まれ  

 1977年、家庭裁判所調査官として司法臨床に従事  

 2014年、放送大学大学院(臨床心理学プログラム)修了  

 2017年、臨床心理士

 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の相談・援助などを研究

 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006、『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011、『遊戯療法学研究』)ほか 

 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 連絡先 メール  yuwa0421family@gmail.com    

 

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 そり遊びを眺めながらの公園カウンセリングは、こころもシュッシュー元気になりますよ。

 

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桂望実『ボーイズ・ビー』2007・幻冬舎文庫-小学男子と老靴職人の不思議な物語

2024年01月23日 | 小説を読む

 2020年2月のブログです

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 桂望実さんの『ボーイズ・ビー』(2007・幻冬舎文庫)を再読しました。

 面白かったです。

 12歳の男の子と70歳の靴職人との物語。

 男の子は母親を病気でなくしたばかりで、小1の弟の面倒を見ていますが、弟は母親の死がよくわかっていない様子。

 いろいろと心配事が絶えません。

 消防士のお父さんからは、お兄ちゃんだから、弟の面倒を見てやってくれ、と頼まれますが、自分も泣きたい気分を抱えています。

 一方の、70歳の靴職人。

 頑固一徹の職人ですが、年齢のせいか、納得できる靴づくりができなくなってきていて、悩んでいます。

 そんな二人が出会い、子どもの悩みに老靴職人が応じて、さまざまなドタバタ劇が起こります。

 とても楽しいですし、微笑ましいです。

 時には、喧嘩もしたり、仲直りをしたり、じーじと坊やのてんやわんやの冒険談です。

 そして、子どもの願いに周りのおとなも気づいて、おとなも成長します。

 正解はないのですが、わからないことはわからないままで進んでいこう、という物語なのかもしれません。

 読後感はさわやかです。

 いい小説だなあ、と思いました。  (2020.2 記)

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 2020年7月の追記です

 当時は気がつきませんでしたが、わからないことはわからないままに、というのは、あいまいさに耐える、という、ネガティブ・ケイパビリティ(負の能力、消極的能力)に通じているようです。  (2020.7 記)

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 2021年1月の追記です

 ネガティブ・ケイパビリティについては、「居心地」さんのブログが、2020年6月に、精神科医で小説家の帚木蓬生さんの『ネガティブ・ケイパビリティ』(2017・朝日新聞出版)という本をていねいにご紹介されていて、とても参考になります。   (2021. 1 記)

 

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樋口有介『横浜ではまだキスをしない』2018・ハルキ文庫-本の帯に「ザ・青春ミステリーの登場」とあります

2024年01月22日 | 樋口有介さんを読む

 2018年のブログです

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 樋口有介さんの『横浜ではまだキスをしない』(2018・ハルキ文庫)を読みました。

 すごーく面白かったです。

 久しぶりに有介ワールドを堪能しました。

 じーじは樋口有介さんの小説が大好きですが、世間的にはどうなのでしょう。

 じーじにとっては、村上春樹さんと先日ご紹介をした東直己さん、そして、樋口有介さんの3人が現代日本の小説作家のベスト3ではないかとひそかに思っています。

 3人とも文章がうまいですし、お話は一見、軽妙ですが、なかみはかなり深いです。

 その人間観察、表現、ストーリー、内包している物語、男女のありかた、などなどは、とても読んでいて小気味よい感じがします。

 さて、本書、久しぶりに樋口さんのデビュー作『ぼくと、ぼくらの夏』(第6回サントリーミステリー大賞読者賞受賞作)を思い出させるような男子高校生が主人公の青春推理小説です。

 樋口さんには柚木草平シリーズという私立探偵ものの小説があって、これもとても面白くて、いい小説シリーズですが、それにひけをとらないくらいの推理小説になっていて、あらすじはあえてご紹介しませんが、最後までどきどきしながら読み進められます。

 登場人物は、樋口さんお得意の、それぞれに魅力的な老若男女で、人間観察がなかなか深いです。

 何より読後感がすがすがしいです。

 生きることの哀しみがしみじみと胸にせまっていますが、しかし、生きることはやっぱりいいな、と思わせてくれる、いい小説です。

 若い人だけでなく、中年や老年の人生にややくだびれてきた人にもぜひおすすめの一冊です。  (2018 記)

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 2020年6月の追記です

 先日、息子がじーじの本棚から、樋口有介さんの本を何冊か持っていきました。

 息子もファンのようです。

 ちょっとだけ、うれしかったです。  (2020.6 記)

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 2021年夏の追記です

 最初の時に書き忘れたのですが、この小説の重要な登場人物(?)のひとりが幽霊と共存しているネコちゃんで、この彼女(?)がいい味を出しています。

 小説ですからね、許されますよね(?)。

 なかなか存在感のあるかわいいネコちゃんです。

 そういえば、樋口さんの『窓の外は向日葵の畑』(2010・文藝春秋)にも幼なじみのかわいい幽霊が出てきますね。

 樋口さんは若い女性だけでなく、幽霊もお好き(?)なのかもしれません。  (2021.8 記)

 

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どんど焼きを眺めながらの公園カウンセリングは、こころもどんどん元気になります

2024年01月21日 | カウンセリングをする

 こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングと訪問カウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でたまにやっています。

 また,メールカウンセリングや面会交流の相談・援助も時々やっています。

 公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。

 訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間などは公園カウンセリングと同じです。

 メールカウンセリングは,メールによるカウンセリングや心理相談で,2週間に1往信で行ない,1往信700円です。

 面会交流の相談・援助は,相談はご自宅などで行ない,1回50分3,000円,援助はお近くの公園や遊戯施設,あるいはご自宅などで行ない,1回60分6,000円です。

 カウンセリング,相談・援助とも土日祝日をのぞく平日の午前10時~午後3時にやっています。

 じーじのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください。そういう意味では,深くはないけれども,現実の生活を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています。

 料金は,低めに設定させていただいていますが,月収15万円未満のかたや特別なご事情のあるかたは,さらに相談をさせていただきますので,ご遠慮なくお問い合せください。

 ちなみに,消費税には反対なのと,計算がややこしいので,いただきません。

 お問い合わせ,ご予約は,メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 1954年、北海道生まれ  

 1977年、家庭裁判所調査官として司法臨床に従事  

 2014年、放送大学大学院(臨床心理学プログラム)修了  

 2017年、臨床心理士

 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の相談・援助などを研究

 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006、『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011、『遊戯療法学研究』)ほか 

 新潟市西区・北海道東川町(夏期)

 連絡先 メール  yuwa0421family@gmail.com    

 

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