ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談、研究しています

さとうち藍・著/関戸勇・写真『アイヌ式エコロジー生活-治造エカシに学ぶ、自然の知恵』2008・小学館

2023年12月29日 | 北海道を読む

 2017年のブログです

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 さとうち藍さん著、関戸勇さん写真の『アイヌ式エコロジー生活-治造エカシに学ぶ、自然の知恵』(2008・小学館)を読みました。

 この本も旭川の本屋さんで偶然見つけて読みました。

 2008年の本ですが、いい本です。

 文章だけでなく、写真もすばらしいです。

 北海道浦河町出身のアイヌ民族で今は千葉県に住む浦川治造さんにアイヌの生活や思想などを学ぶという本ですが、それが現代日本への痛烈な批判になっています。

 といっても、浦川さんには、別に今の日本を批判しようという意図はないのですが、自然を敬うアイヌの人たちの生活を学ぶと、自然を破壊して平然としている現代日本を批判する形になってしまいます。

 これは、和人による蝦夷地支配に始まり、以後の明治政府のアイヌ同和政策、そして、その後の北海道開発によって、悲劇的とでもいうような、自然破壊につながってきます。

 じーじもどさんこであり、開拓民の子孫ですので、他人事とは言えません。

 子どもの頃はともかく、責任あるおとなになった以上、明治政府やその後の日本政府の横暴や自然破壊について、冷静に振り返る必要がありそうです。

 しかし、それにしても、アイヌの人たちの、自然と共存する姿勢はすごいです。

 本書で、さまざまなアイヌの人たちの知恵が紹介されますが、学ぶところが多いです。

 全くの偶然でしたが、いい本と北海道で出会えました。

 なお、蛇足ですが、この本を読み終えてからわかったのですが、さとうちさんと関戸さんが組んだ『武市の夢の庭』(2007・小学館)という本も、数年前に偶然読んだことがあります。

 こちらも北海道滝上町の自然庭園を紹介したいい本ですので、おすすめです。 (2017.8 記)

 

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三浦しをん『政と源』2017・集英社文庫-73歳の幼なじみじじいコンビの友情を描く

2023年12月27日 | 小説を読む

 2017年のブログです

 「じじい」という言葉に思わず反応してしまいました(?)

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 三浦しをんさんの『政と源』(2017・集英社文庫)を読みました。

 おもしろかったです。

 73歳の幼なじみじじいコンビの有田国政と堀源二郎のお話。

 元銀行員の国政は、真面目さだけが取り柄で、定年になったとたんに奥さんに別居されるという情けない老人。

 一方、幼なじみの源二郎は、頑固なかんざし職人。愛妻を早くに亡くし、今は弟子の徹平と仕事をしています。

 この二人のじじいコンビと徹平、それに徹平の彼女、さらには、政と別居中の奥さんなどを中心に物語は進みます。

 じじいコンビは昔から正反対の性格なのになぜか友達で、今もやることは全く正反対ながら、どこかひかれあう存在。

 お互いに孤独な身寄りですが、それだけに相手を思いやって、しかし、それを表には出さないという江戸っ子じじいコンビです。

 お互いの家族の歴史も十二分に知った上での男同士のつきあいは、かなりめちゃくちゃですが、しかし、読んでいてとてもうらやましいです。 

 じーじも73歳になった時に、この二人のようなじじいになれたらいいな、と今、63歳のじーじは深く思いました。  (2017. 8 記)

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 2023年2月の追記です

 このブログを改めて読んでいたら、先日、ユング心理学のことを考えたせいか、影(シャドー)ということを連想しました。

 影(シャドー)というのは、その人の人生で生きてこなかった影の部分。

 この小説では、二人の老人がお互いの影の部分に刺激されあっているような印象を受けます。

 影(シャドー)を無視せずに、ある程度大切にしながら、しかし、現実的に生きることで、人は全体的な存在になる、というのが、ユング心理学で述べられているように思います。  (2023.2 記)

 

 

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新野剛志『明日の色』2017・講談社文庫-決してめげない中年男子の頑張りを描く

2023年12月26日 | 小説を読む

 2018年のブログです

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 新野剛志さんの『明日の色』(2017・講談社文庫)を読みました。

 おもしろかったです。

 新野さんは小説『あぽやん』がヒットして直木賞候補になった作家さんですが、シリアスな小説も書いていて、私はそちらの作品も好きです。

 この小説は、いろいろな現実の中で決してめげない中年男を描く、とご紹介をしましたが、テーマは重層的で深いです。

 金儲け、離婚、別れた子どもとのつきあい、仕事、男同士のつきあい、友情、絵画、虐待体験、ホームレス、などなど。

 いずれもが、かなり苦しい状況で展開し、時には絶望的になりますが、主人公の中年男はなんとかしのいでいきます。

 まさに、しのぐ、という言葉どおりで、じーじはここで、生き残る、という精神分析の言葉を思い出しました。

 ふらふらになりながらも、決してつぶれないで、生き残る、これがおとなであることのあかしのように思えます。

 そして、その頑張りが、周囲の人々にも伝わり、みんなが、なんとか、生き残る、小説のように感じます。

 決して、バラ色の結末が待っているわけではないのですが、現実と折り合いをつけて生きていく、生き残る、おとなが描かれます。

 読んだ後には、なにかほっとするような、しかし、明日からまた頑張らないと、と思うような感じです。

 またまた、久しぶりに、いい小説に出合えたな、と思いました。   (2018. 1 記)

 

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あーちゃん、ねつのぐあいはどうですか-じいじからのお手紙

2023年12月23日 | じいじの手紙を書く

 2022年12月、小3の下の孫娘がコロナにかかってしまいました。

 じいじからのお手紙です。

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 あーちゃん、ねつのぐあいはどうですか。

 じいじはしんぱいしています。

 ばあばもすごくしんぱいしています。

 せきとかはきけとかはないですか。

 じっくり休んで、元気になってください。

 休むことがいちばんです。

 勉強もしてはいけません(?)。

 ゲームもあまりしてはいけません。

 明日はクリスマスイブ。

 サンタさんはコロナに強いので、プレゼントはあーちゃんのまくらもとにおいていってくれると思います。

 しんぱいないです。

 あんしんして、ゆっくり、いっぱいねむって、早く元気になってください。

 新潟のじいじより

 (2022.12 記)

 

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地元・犠牲・「日本」の国-じーじのじいじ日記・セレクト

2023年12月20日 | じいじ日記を書く

 2019年7月の日記です

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 辺野古の工事が中止にならない。

 あれだけ住民投票で地元の人たちの意見が示されたのに、何もなかったかのように政府は軍事基地の建設を進めている。

 地元の意見は無視され、地元の犠牲のもとに、「日本」の国を守る(?)という軍事基地が造られようとしている。

 しかし、地元の人たちを犠牲にして、「日本」の国は守れるのだろうか?

 地元の人たちを守れない「日本」の国って、一体何なのだろう?

 そういう政府は一体何を守るというのだろう?

 ことは辺野古だけでない。

 イージス・アショワ基地、減らない原発、増える税金、心配な年金、などなど。

 不安はつきない。

 住民を本当に守る人たちが少しでも増えてくれないかなと思う。          (2019.7 記)

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 2023年9月の日記です

 最高裁も、沖縄の人たちの声に配慮をせずに、自民党政府の推進する辺野古基地に許可を与えてしまった。

 非常に残念である。

 少なくとも、沖縄の人たちを守る方法は沖縄の人たちが決めるべきであろうと思う。

 財界やアメリカの顔色をうかがう自民党政府はさらに失政を重ねようとしている。

 本土に住む国民も、マイナポイントなどで右往左往しているようでは、明日は我が身のことになってくるのではないか。     (2023.9 記) 

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東直己『名もなき旅』2008・ハルキ文庫-人生の哀しみと信ずることの大切さ

2023年12月19日 | 北海道を読む

 2018年のブログです

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 東直己さんの『名もなき旅』(2008・ハルキ文庫)を再読しました。

 もう10年ぶりになるんですね。

 文庫本ではたぶん2回目だと思うのですが、『スタンレーの犬』(2005・角川春樹事務所)という単行本の時にも読んでいるので、3回目でしょうか。

 年を取ったせいか、今回が一番おもしろく、しかし、もの哀しさを感じながら読んだような気がします。

 東直己さんは北海道の人ならおそらくは知っているであろう、どさんこの小説家。

 北海道外の人も、大泉洋さんの映画「探偵はバーにいる」シリーズの原作者といえば、わかるかもしれません。

 『探偵はバーにいる』(1995・ハヤカワ文庫)を始めとする東さんの小説は、映画で想像するよりは、実直で、深みのある物語が特徴です。

 かなりの数の小説が出ていますが、どれもがなかなか読み応えがあります。

 じーじは一時期、かなり熱心に読んでいた時期があり、一度、なんとお手紙を書いてしまったことがあります。

 しかし、こんなじーじのしょうもない手紙にも、ていねいなお返事をいただいて、恐縮をした記憶があります。

 どさんこは礼儀正しい人が多いのでしょうね(?)。

 さて、本書、父母と早くに死に別れた19歳の男子のお話。

 ようやく見つけた信頼できる中年男性に頼まれて、58歳の女社長を1週間行方不明状態にして失墜させるという穏やかでない仕事を引き受けます。

 そして、その中で、いろいろなできごとに出合い、いろいろな物語が生じるというもの。

 あらすじだけだと、そのよさはわかりにくいのですが、東さんは軽妙ですが、ていねいな文章を書かれますので、物語のよさだけではなく、文章のよさも楽しめるのではないかと思います。

 なによりも読後感がすがすがしいのがいいと思います。

 しばらく、また、東ワールドにはまりそうな予感がしています。    (2018.7 記)

     *

 2020年冬の追記です  

 本棚を眺めていたら単行本の『スタンレーの犬』が目に入り、読んでしまいました。

 あいかわらず少し不思議な小説ですが、面白かったです。

 人生の哀しみと信ずることの大切さ、そして生きることの味わい深さなどを感じることができると思います。     (2020.1 記)

 

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伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』2017・幻冬舎文庫-おとなのいい小説です

2023年12月18日 | 小説を読む

 2018年のブログです

     *   

 伊坂幸太郎さんの『アイネクライネナハトムジーク』(2017・幻冬舎文庫)を読みました。

 おとなのいい小説です。

 この本は旅先の旭川の本屋さんで偶然見つけました。

 北海道関連本でも探そうと思って入ったのですが、なぜか、新潟でも買えそうな伊坂さんの本が見つかりました(伊坂さん、ごめんなさい)。

 しかも、出たのが2017年。

 1年も経ってからの出会いです(伊坂さん、またまたごめんなさい)。

 どちらかというと、伊坂さんフアンの一人であるじーじとしては、めずらしいことです。

 しかし、旭川で、出てから1年後に出合う、というのが、人生なのかもしれません。

 人生とはそういう、不思議で、貴重で、大切なものなんだろうな、と最近、思うようになりました。

 目の前の出会いを大切にしたいな、と思います。

 さて、本書、とてもおもしろいです。

 あらすじはあえて書きませんが、これは小説だよな、という偶然の場面も出てきますが、しかし、それもいやではありません。

 というか、それがむしろ心地よいです。

 そういう偶然もあるかもしれないから、目の前の出会いを大切にしようと思えます。

 ひとつだけあげると、ある登場人物が取るユーモアいっぱいの行動。びっくりです。

 やはり、時として、正論よりユーモアが役に立つのだろうな、と思えます。

 登場人物のやりとりを読んでいると、じーじが言うのもなんですが、伊坂さんが大人になってきたあな、という感じがします(伊坂さん、みたびごめんなさい)。

 とにかく、読後感のいい、すがすがしい小説です。

 いい小説に出会えたことに本当に感謝したいと思います。(2018.7 記)

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 2022年5月の追記です

 出会い、ってなかなか難しいものでもありますね。

 最初会ったときには、なんだ?、と思った人が、あることがきっかけで、大切な存在になったり、その反対があったり…。

 目の前の出会いの大切さとともに、時間をかけた出会いも大切にしたいなあ、と思ったりもします。 (2022.5 記)

 

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新潟県で先日行なわれた北朝鮮の弾道ミサイルに備えた避難訓練を見て考える-じーじのひとりごと

2023年12月16日 | ひとりごとを書く

 2017年のブログです。

 今後もあちこちでだんだんミサイルの避難訓練が政府の指示で行われるようですので、再録します。  (2018 記)

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 先日、新潟県で、北朝鮮の弾道ミサイルに備えた避難訓練が行なわれ、住民のかたがたも参加をされていました。

 農業用水のトンネルに隠れたりして、たいへんそうな様子がテレビに映っていました。 

 しかし、政府の説明では、自衛隊の迎撃ミサイルが北朝鮮の弾道ミサイルを撃ち落とすことになっているはずです。

 何十億円もする迎撃ミサイルがわれわれ国民を守ってくれるはずです。 

 それとも、われわれの貴重な税金を使って全国に配備されている迎撃ミサイルは信用できない存在なのでしょうか。

 そういえば、排他的経済水域に北朝鮮の弾道ミサイルが飛んできても、その情報は韓国のマスコミのほうが発表が早くで、日本政府の発表は遅いですね。

 そんなことで本当に迎撃ができるのでしょうか。

 迎撃の自信がないから、北朝鮮のミサイル基地を先に攻撃せよという物騒な意見まで出てくるのでしょうか。

 高い税金を使っているのですから、防衛のための(あくまでも、攻撃のためではないですよ)迎撃態勢はきちんとしてほしいと思います。

 住民の避難訓練を強制するなんて、もってのほかです。

 ただでさえ、農作業で忙しい時期なのに、とんでもないことです。

 さらに考えてみれば、最近、全国各地で原発事故に備えての避難訓練というのもよく行なわれています。 

 しかし、原発も事故が絶対に起こらないからということで設置が許可されているのではないのでしょうか。

 住民が避難しなければならないほどの事故の可能性があるのでしょうか。

 裁判所も原発の事故は心配ないからと原発の運転停止の訴えを却下しています。

 しかし、心配がないのなら、なんで避難訓練をする必要があるのでしょうか。

 政府や原子力関係のお役所や裁判官の人達にはきちんと説明をしてほしいと思います。

 じーじが孫娘たちにきちんとお話をできるようにしてほしいと思います。

 年取った政治家たちやお役人、裁判官たちの時代はすぐに過ぎます。

 将来のある孫娘たちが安心をして暮らせるような世の中にしていってほしいとつくづく思います。  (2017 記)

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 2023年12月の追記です

 6年前のブログですが、状況は全然変わっていないですね。

 北朝鮮の弾道ミサイルは人工衛星になりましたが、その軌道はアメリカの協力があっても、きちんと把握できなかったようです。

 これでは、避難どころの話ではなくなってしまいます。

 日本のH3ロケット1号機が失敗したときは、きちんと追跡をして、途中で爆破命令を出して、爆破できました(破片がどうなったのかは情報が出ませんでしたが…)。

 攻撃用のトマホークをたくさん買う前に、迎撃用のイージスなど、国民を守ってくれる防衛用のミサイルを整備してほしいです。

 それとJアラートの音と画面。どぎつすぎて心臓に悪いです。もっと国民のいのちに優しいものに改善すべきです。

 原発も同じ。

 再稼働の話ばかりで、喜んでいるのは大企業だけ。

 住民の避難訓練は、ますます大掛かりになってきています。

 多少、街中が暗くなっても、やはり贅沢はやめて、危険なものは廃止、廃炉しかないでしょう。

 生活の見直しと避難訓練の要らない政策や外交が必須の時代です。   (2023.12 記)

 

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最近の国会のニュースを見てマスコミに感じたこと-じーじのひとりごと

2023年12月15日 | ひとりごとを書く

 2023年6月初旬の日記です

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 夕方のニュースを見ていると、マイナ保険証の法案が国会を通過した。

 こんなに問題が噴出しているのに、通過してしまうんだ、と唖然とする。

 しかも、ニュースでは、与党の賛成多数で通過、と出る。

 ところが、法案に賛成と反対の数がわからない。

 自民党の中から反対者が出なかったのかどうか知りたいところだが、今のニュースではわからない(画面を見ていたがよくわからないし、少なくとも、ニュースの中で、そういうていねいな情報が流れない)。

 自民党の中から造反者がいなかったのかどうか、昔ならマスコミがていねいに取材をしていたのではないか。

 そこが民主主義の根本ではないか。

 先日の原発の運転延長の法案も同じ。与党の賛成多数で通過、だ。

 じーじには、自民党の数の横暴にマスコミが沈黙をしているように見える。

 大きな法案へのアプローチはあきらめて、スキャンダル狙いの感じだ。 

 それしか抵抗の方法はないのか。  

 マスコミも放送法に縛られているわけだが、準国営放送のNHKはともかく、民放が頑張らないとロシアや中国のようになってしまう。

 民放のスポンサーも大企業だから、だんだんと大企業優先になってしまうのだろうか。心配だ。

 もっと、もっと、丁寧な報道をしてほしいとつくづく思う。  (2023.6 記)

     *

 2023年6月中旬の追記です

 入管法改正も与党の賛成多数で通過する。

 国会の議決自体が賛成・反対・棄権を明示しないしくみなので、造反者の有無もはっきりしないのかもしれない。

 しかし、与党にも、ある法案には反対、という考えの人もいるわけで、賛成多数だけではあまりにも無責任だ。

 命がけで造反をする人もいるであろうから、それは尊重したいし、マスコミはその意見を取材してほしい。

 民主主義はそこから始まると思うし、有権者の関心もそこから高まるのではないかと思う。  (2023.6 記)

     *

 2023年12月上旬の追記です

 ニュースを見ていると、国会の採決自体が問題なようで、調べてみると、記名投票の時以外は、賛成と反対の数を明示しない仕組みのようだ。

 中国でさえ、数を明示しているニュースを見たような気がするが…。

 参議院ではボタン投票が導入されているが、しかし、棄権や保留の選択肢がなく、これもどうも多数決優先の表れで、議論の成熟を放棄しているようでもあり、問題かもしれないと思う。

 個人が独立していない日本、同調社会である日本の姿を反映しているようだ。   (2023.12 記)

     *

 2023年12月中旬の追記です

 とうとう安倍派の崩壊が始まった。

 造反者はもっと出るだろう。

 お金に群がる議員と支持者、そして、お金による支配の醜さと脆さが露呈した形だ。

 頑張れ、マスコミ!   (2023.12 記)

 

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梨木香歩『家守綺譚』2008・新潮文庫、『冬虫夏草』2017・新潮文庫-不思議な小説たちです

2023年12月11日 | 小説を読む

 2017年のブログです

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 梨木香歩さんの『家守綺譚』(2008・新潮文庫)と『冬虫夏草』(2017・新潮文庫)を読みました。

 最初に文庫新刊の『冬虫夏草』を買って、読み始めたところ、これが『家守綺譚』の続編だとわかったので、『家守綺譚』も買って、ひとり旅に持ってきて、一緒に読みました。

 とても不思議な小説です。 

 梨木さんの小説には、不思議な小説が多いですが、これもかなり不思議な小説です。

 しかし、読後感は、とても清々しいです。

 そう、清らかになる感じです。

 舞台は100年くらい前の琵琶湖湖畔の街々と、鈴鹿山中の村々。

 文士である主人公と、友人、さらには周囲の人々と動物たち、草花、木々などとの交遊です。まさに交遊。

 そして、この世とあの世との交遊もあります。

 不思議なおとなのおとぎ話といってもいのでしょうか。

 声高ではありませんんが、本当に大切なものはなんだろうかという問いかけがあります。

 生きるとは、死ぬとは、弔うこととは、という問いもあります。

 こころ静かに、さまざまなことを考えさせられる、いい本です。

 旅先で、まさに一人でじっくりと読むのが似合う、いい本でした。  (2017.8 記)

 

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赤ちゃんをあやしながらの訪問カウンセリングは、こころもウーウーにっこりします

2023年12月10日 | カウンセリングをする

 こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が訪問カウンセリングや公園カウンセリング,海岸カウンセリング,里山カウンセリングを新潟市で時々やっています。

 また,メールカウンセリングや面会交流の相談・援助もたまにやっています。

 訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間は1回,50分,3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。

 公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。 

 料金・時間・間隔は,訪問カウンセリングと同じです。

 メールカウンセリングは,メールによるカウンセリングや心理相談で,2週間に1往信で行ない,1往信700円です。

 面会交流の相談・援助は,相談はご自宅などで行ない,1回,50分,3,000円,援助はお近くの公園や遊戯施設,あるいはご自宅などで行ない,1回,60分,6,000円です。

 カウンセリング,相談・援助とも,土・日・祝日をのぞく平日の午前10時~午後3時にやっています(すみません、年寄りなもので、夕方や週末のお仕事が難しくなってきました)。

 じーじのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください。

 そういう意味では,深くはないけれども,現実の生活を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています。

 料金は,低めに設定させていただいていますが,月収15万円未満のかたや特別なご事情のあるかたは,さらに相談をさせていただきますので,ご遠慮なくお問い合せください。

 ちなみに,消費税には反対なのと,計算がややこしいので,いただきません。

 お問い合わせ,ご予約は,メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

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 駅の近くに部屋を借りるなどして,本格的にカウンセリングルームを運営するような臨床心理士さんとは違って、じーじは貧乏なので,近くの公園や広場,河川敷,海岸,里山などの自然の中やさらには,ご自宅や近くの児童公園,屋内施設,遊戯施設などでカウンセリングをしています。 

 子どもさんや赤ちゃんを遊ばせながら、ちょっとだけ悩みごとを聞いてもらえればいいんですー、というお母さんや悩み多き若者(?)などがじーじのクライエントさんには多いです(じいじいやばあばあのみなさんもお断りはしませんが(?)、尊敬すべき先輩たちのみなさんですから、できるだけご自分で解決しましょうね)。

 そういうことですので、お気軽にご利用ください。

 どちらかというと,こころのストレッチ(!)をするような感じではないかな、と思ったりしています。

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 赤ちゃんをあやしながらの訪問カウンセリングは、こころもウーウーにっこりしますよ。

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com  

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瀬尾まいこ『春、戻る』2017・集英社文庫-突然現れた年下の「おにいさん」(?)との物語です

2023年12月07日 | 小説を読む

 2017年のブログです

     * 

 瀬尾まいこさんの『春、戻る』(2017・集英社文庫)を読みました。

 すごく面白かったです。

 結婚間近の二十代女子の前に、突然、年下の「おにいさん」(?)が現れてのドタバタ劇。

 こんなことありえないよな、という気持ちと、でも、ひょっとしたら、ひょっとするかも、という気持ちと、しかし、やっぱりおとなの童話かも(?)という気持ちと、いろんな気持ちがとても気持ちよく混ざり合った不思議な小説でした。

 謎解きは最後の最後まで明かされないので、すこし歯がゆいような、しかし、人生ってそんな感じだなという気もするような、そして、気持ちのいい人たちが多く出てくるので、ゆっくりと気持ちのいいお話が展開します。 

 しかし、決して、甘いお話ではなく、主人公の二十代女子も、謎の年下の「おにいさん」(?)も、さらには、周りの多くの人たちも、なんらかのこころの傷と闘いながらも、一所懸命に生きている姿が潔いです。

 善意が必ずしも結果に結びつかない人生の厳しさや残酷さも出てきます。

 しかし、無理はせずに、地道に生きていけば、なんとか道は開けるよ、と作者は語っているかのようです。

 久しぶりに読んでこころがすっきりとしたいい小説でした。

 いろいろとたいへんなことが多く、先が見えないでいる若い人たちにぜひ読んでもらいたいな、と思いました。(2017 記)

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 2019年春の追記です

 瀬尾さんが本屋大賞を受賞されました。

 おめでとうございます。(2019.4 記)

 

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太田和彦『みんな酒場で大きくなった』2017・河出文庫-じーじの読書日記・セレクト

2023年12月06日 | 随筆を読む

 2017年のブログです

     *

 太田和彦さんの『みんな酒場で大きくなった』(2017・河出文庫)を読みました。

 太田さんといえば、テレビの居酒屋訪問番組でおなじみのおいしいお酒とおいしい料理をこよなく愛する人ですが、本書では同じようにおいしいお酒と料理とそしてすてきな会話を楽しむゲストとの対談集です。

 ゲストは、俳優の角野卓造さん、作家の川上弘美さん、椎名誠さん、漫画家の東海林さだおさん、その他の面々で、いずれも素敵なお酒の吞み方とお話が素敵です。

 じーじは、特に、川上弘美さんと椎名誠さんの大フアンなので、とっても楽しく読ませていただきました。

 みなさん、いわば芸術家のせいか、お酒と料理と会話の楽しみ方がとてもお上手で、じーじもこのようにお酒を楽しみたいなと思うのですが、いかんせん、育ちの貧しさと人生に対する努力が不足しているせいもあって、こううまくはなかなかいきません。

 みなさん、すばらしいです。

 もちろん、太田さんのお酒の楽しみ方、料理の味わい方もいつものようにとても素敵です。

 ただの酔っぱらいでは決してありません(太田さん、ごめんなさい)。

 じーじは最近は年のせいか、酒量がだんだん減り、少し寂しい気持ちになることが多いのですが(もっとも安く酔っぱらえるということでもありますが…)、本書の皆さんを見習って(?)、少しでもおいしいお酒と料理を楽しめるよう、今後、さらに修業を積んでいきたいなと思いました。  (2017.6 記)

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 2023年12月の追記です

 じーじの酒量はさらに減りつつあります。

 まずいです(!)。

 昔から、英雄は(誰が?)酒と何とかを好むといいます。

 頑張ります(?)。   (2023.12 記)

 

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佐々木譲『沈黙法廷』2019・新潮文庫-警察組織の問題と哀しい男女のあり様を描く

2023年12月05日 | 小説を読む

 2019年のブログです

     *

 佐々木譲さんの『沈黙法廷』(2019・新潮文庫)を読みました。

 力作です。

 薄幸な家事代行業の女性に、客である老人殺しの疑いがかかります。

 そこに、警視庁と埼玉県警の争い、さらには、それぞれの警察組織内での争いが加わり、はたまた、マスコミの無責任さも加わって、真犯人や事件の真相が見えにくくなります。

 裁判が始まりますが、わたしは年寄りゆえに、途中で検察官の論理についていけなくなったりしました。

 じーじの頭の悪さのせいもあるでしょうが、おそらくはそこである種のムードや演出が大手を振るう裁判員裁判の危険性もが感じられました。

 「真実」というのは難しいものだと思います。

 同じ出来事でも、ある人には暴力と感じられ、ある人には注意と感じられ、ある人には正論と感じられます。

 つまり、人の数だけ「真実」はあるのかもしれず、できるのは、その最大公約数を共有化することだけなのかもしれません。

 しかし、それはとても難しい作業で、ひょっとすると、裁判ではなく、心理療法などの深い作業でなければできないのかもしれない、とわたしなどを思ってしまいます。

 ともあれ、薄幸の女性への疑いは晴れ、ささやかな幸せを得られるエンディングとなるようです。

 今日も、いい小説を読めて、幸せだな、と思いました。       (2019. 12 記)

 

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村上春樹『女のいない男たち』2016・文春文庫-おとなが味わう不思議な小説たち

2023年12月03日 | 村上春樹さんを読む

 2016年のブログです

     *  

 村上さんの短編集『女のいない男たち』(2016・文春文庫)を読みました。

 単行本は2014年に出ましたので、3年ふりの再読です。

 いつものことですが、年のせいもあって記憶力が低下しており、あらすじをかすかに覚えている作品もありましたが、ほとんど初めて読むように(?)、新鮮な気持ちで読みました。

 不思議な味わいの小説が多いです。

 そしておとなが楽しめる小説だと思います。

 じつは今、河合俊雄さんの『村上春樹の「物語」-夢テキストとして読み解く』(2011・新潮社)を再読中です。

 その中で河合さんが、村上さんの小説はあまり分析をしても意味がなく、純粋に味うことが大切、と指摘をされています。

 そんな中で感想を述べることはやや難しいのですが、この短編集は、読むとどんどん「不思議な」感覚の中に入っていくような気がします。

 個人的には、どさんこの女の子が出てくる「ドライブ・マイ・カー」(雑誌に連載当時、ある町にはなにもない、という表現が問題になりましたが、今や何もない大自然ということが逆に大きな意味があると思うのですが…?)が好きです。

 また、魅力的な若者たちが出てくる「イエスタディー」、そして、大人の味わいの「木野」などの作品が好きです。 

 いずれの作品もおとなの男女の姿や内面をとてもうまく描いているように思います。

 そして、村上さんの文章はやっぱり本当にうまいな、と感心をします。

 深い思いが、最高の文章にのって、うまく表現をされているような印象を受けます。

 何度もじっくりと味わうことで、おそらくは読者のかたがたも人生の深みを味わうことができそうな短編集のように思います。

 これからもていねいに、深く味わいながら読んでいきたいと思います。   (2016 記)

 2020年10月の追記です

 岩宮恵子さんの『増補・思春期をめぐる冒険-心理療法と村上春樹の世界』(2016・創元こころ文庫)に本書についての論文が載っており、やはり思春期に焦点を当てて分析をしていて、なかなか刺激的です。   (2020.10 記)

 

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