2020年3月のブログです
*
下坂幸三さんと飯田眞さん編集の『家族療法ケース研究5・うつ病』(1993・金剛出版)を久しぶりに読みました。
家族療法学会にはしばらく顔を出していませんので、なんとなく疎遠になった感じですが、しかし、実はじーじの面接は、50歳前後のしばらくの間、家族療法の勉強の中で鍛えられた感じがします。
面接の逐語録をそのまま報告書に書いて、調停委員さんには評判が良かったのですが、裁判官からは、もう少し短く書いてくださいね、と注文をつけられたりしました(裁判官さん、ごめんなさい)。
その後は、精神分析的な面接が中心になっていますが、母子面接などの家族面接も大切だと考えていて、その重要さは変わりません。
今回、うつ病の家族療法を再読して、懐かしさとともに、新たに考えるところが多々ありました。
例によって、印象に残ったところを一つ、二つ。
一つめは、後藤雅博さんの、うつ病患者さんの家族合同面接。
後藤さんは新潟の家族療法の第一人者で、裁判所の研修にもたびたび講師で来ていただいて、勉強させていただきました。
この論文では、うつ病の夫と妻の合同面接を逐語録も提示されてていねいに検討されていて、とても参考になります。
特に、リフレーミング(再枠づけ)がうまいなあ、と感心させられました。
二つめは、すっかり忘れていたのですが、大平健さんの「妄想を伴ったうつ病患者の一例」という論文。
大平さんといえば、『診察室に来た赤ずきんちゃん』『やさしさの精神病理』などで有名ですが、家族療法の論文も書かれているのは意外な感じでした(一度読んでいるはずなのに、意外、もなにもないのですが…。大平さん、ごめんなさい)。
例によって、大平さんのドラマのような症例報告で、堪能させられました。やはりすごいです。
昔の本を、新刊本のように(?)新鮮な気持ちで読むことができて、とても贅沢な1週間でした。 (2020.3 記)