ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談、研究しています

樋口有介『11月そして12月』2009・中公文庫-カメラマン志望男子とマラソン女子との切ない恋愛物語です

2024年03月29日 | 小説を読む

 2023年3月のブログです

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 またまた有介ワールドに浸ってしまった。

 樋口有介『11月そして12月』(2009・中公文庫)。

 マラソン女子とカメラマン志望の主人公の切ない恋愛物語。

 青春だなー。

 しかし、有介さんはうまいな、と思う。

 文章も物語も…。

 七十近いじーじが読んでしまうのだから、すごい。

 じーじもこんな恋愛をしてみたかったなあ、と思ってしまう。

 「きみに会ってから、毎日練習をしていた」

 「大人になることを?」

 どう?この会話。すごいでしょう?

 二人の出会いからしてとても素敵だが、それは読んでのお楽しみ。

 物語は、不倫をしていた姉の自殺未遂や父親の浮気発覚などで、家庭内のごたごたに巻き込まれる主人公と、将来を嘱望されていたのに人間関係からマラソンをやめてしまった女の子とのさり気ない恋愛を描く。

 もっとも、有介ワールドだから、深刻なテーマのわりに、雰囲気は暗くなく、姉や父親の困ったちゃんぶりは面白いし、主人公と女の子のつきあいはまどろっこしくて、ういういしくて、楽しい。

 読んでいて楽しいし、読後感もすがすがしい。

 まさに有介ワールドだ。

 いい時間をすごせて幸せな1週間だった。    (2023.3 記)

 

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北陸応援割が始まるらしい?また税金からだよね?-じーじのじいじ日記・セレクト

2024年03月09日 | じいじ日記を書く

 2024年3月の日記です

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 北陸応援割が始まるらしい。

 税金による旅行割引だ。

 しかし、北陸を応援するなら、自腹を切って応援してほしい。

 税金による割引で応援をしても、地元の人はあんまりうれしくないのではないか。

 地域も北陸などと広範囲なことを言わずに、能登半島地震の被災地に限ってほしい。

 被災地は断水が続き、仮設住宅は十分でなく、復興はこれからだ。

 被災地の良心的なホテルや旅館には、二次避難の人々も多くいらっしゃるかもしれない。

 被災者の方々から地震や津波や火災のお話を聞くことは、都会からの応援旅行の人々にもきっと勉強になるはずだ。

 もし、日程に余裕があるなら、一日くらいはボランティアに参加するのもいい。

 それが本当の応援だ。

 税金を使っての応援割で、旅行に行ける人々とそれでも旅行に行けない人々との格差はますます広がってしまう。

 お金持ちは税金からの割り引きでリッチな旅行をし、貧乏人は税金を払うだけで旅行ができないのは格差拡大だ。おかしい。こんな不公平な話はない。

 旅行に行けない家庭の子どもたちはかわいそうだ。

 応援旅行に行ける人たちは自腹を切って応援に行こう。

 それが本当の能登半島地震被災者への応援ではないか。    (2024.3 記)

 

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金平茂紀『ロシアより愛をこめて-あれから30年の絶望と希望』2023・集英社文庫

2024年03月07日 | 随筆を読む

 2023年10月のブログです

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 金平茂紀さんの『ロシアより愛をこめて-あれから30年の絶望と希望』(2023・集英社文庫)を読む。

 2023年9月25日発行の新刊(えっへん!)。

 金平さんは、現在は早稲田大学大学院の客員教授だが、ご存じのように、ほんの少し前までTBS「報道特集」で活躍をされていた(金平さんのさまざまな記者会見の場での質問風景が鋭くてすごいのが今も記憶に新しい)。

 その金平さんが30年前、1991年3月から1994年6月の間、TBSのモスクワ支局長をしていた時の記録(『ロシアより愛をこめて-モスクワ特派員滞在日誌1991-1994』1995・筑摩書房)に、2022年のロシアのウクライナ侵略直後の現地での記録と、その後のロシア訪問の記録をまとめたもの。

 これが面白く、かつ、哀しい。

 30年前のロシアは、ソ連が崩壊し、ロシア共和国が出発した時期だが、治安が悪く、泥棒が横行している最低の国。

 賄賂も常習的で、先進国とは言い難い。

 米ソ2大大国の幻想が崩れているのに、しかし、ロシアの政治家は大国主義を捨てられない。

 そして、国民や、さらには、モスクワ支局のロシア人スタッフもそんな現状を仕方ないと考えている。

 金平さんは、そんな状態を見て、ロシアの人たちは、皇帝の支配、共産党の支配、共和国政府の支配が続いてしまって、そんな状態に慣れてしまっている、と考える。

 その後に登場するのがプーチン大統領。

 自らの誇大な大国幻想を振り回し、国民をも巻き込んで、周囲の国々に侵攻し、ついには、ウクライナ侵略に至る。

 ロシアのウクライナ侵略開始直後の「報道特集」はじーじもライヴで見たが、緊迫したすごい映像だった。

 なんども防空壕に避難しながらの映像は貴重な記録だ。

 しかし、その後のモスクワ訪問で見た人々。

 生活はそこそこ普通で、ウクライナの侵略も「特別軍事作戦」という局地的な紛争と考えているらしい、と金平さんには見える。

 ともかく、殺し合いはやめてほしい、という金平さんの願いは叶うだろうか。             (2023. 10 記)

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金平茂紀『金平茂紀の新・ワジワジ通信』2019・沖縄タイムス社ー「報道特集」より少しだけ過激かもしれません!

2024年03月06日 | 随筆を読む

 2022年5月のブログです

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 金平茂紀さんの『金平茂紀の新・ワジワジ通信』(2019・沖縄タイムス社)を読む。

 金平さんはご存じのかたも多いと思うが、TBSのニュース番組「報道特集」のキャスター。

 TBSの報道記者として、政府や自治体、大企業などを相手にいつも鋭い質問をされ、恐れを知らないかのようなその姿がすごい。

 最近では、ベラルーシの大統領やロシアの駐日大使にすごいインタヴューを行なった様子が印象に残る。

 東大を出てもこんなにすごい人もいるんだ、とびっくりする(東大を出て悪徳政治家や悪徳役人になっている者はともかく、真面目に頑張っているみなさん、ごめんなさい)。

 その金平さんが、取材で何年も沖縄に通いながら、地元の「沖縄タイムス」に連載したエッセイをまとめたのが本書のシリーズ。

 続巻の本書は2015年から2018年までの4年間が取材され、この間、沖縄は東村のヘリ基地工事や辺野古の基地工事問題などで揺れ続ける。

 金平さんは、日本政府の高圧的な姿勢に抗議し、取材を通して機動隊の住民への暴力的かつ差別的な取り締まりなどを訴える。

 ダム建設や原発反対問題などでよく見られる政府の横暴が、沖縄ではより露骨に行われているかのような印象を受けるのは、気のせいだろうか。

 2018年、当時の翁長沖縄県知事が膵臓がんで死去し、その後の選挙で玉城新知事が誕生したところで本書は終わるが、その後の沖縄も日本政府の横暴が続いている。

 しかし、金平さんはへこたれない。

 本書の帯にある「僕はジャーナリストなので、口をつぐんでいる気はさらさらありません」は印象的だ。

 そして、金平さんは最後に、加藤周一さんの「私の民主主義の定義は、…甚だ簡単である。強きを挫き、弱きを援く」(「朝日新聞」1972年1月)という文章を引用して本書を終える。

 金平さんはじーじより一つ年上のどさんこ。

 じーじも負けずに頑張ろうっと。                (2022.  5 記)

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