2022年3月のブログです
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原田マハさんの『丘の上の賢人-旅屋おかえり』(2021・集英社文庫)を読む。
小説、作り話とわかっていて読むが、いい物語で、いつの間にか涙がじわーんとなってしまう。
じーじはいいかげん枯れはてた年寄りなので、もう水分なんてなくなってしまったかな(?)と思っていたが、不覚にもじわーんと涙が出てきてびっくりする(読んだあと、水分補給をしなければと(?)、あわててビールをたくさん呑んでしまった)。
冗談はさておき、いい小説である。
例によって、あらすじはあえて書かないが、依頼者にかわって旅をする主人公がすがすがしい。
素直で、体当たりの行動が、周りの人々の感情を解きほぐしていく様子がすがすがしい。
これは小説だ、こんな都合よくいかないだろう、こんなこと実際には起こるわけないだろう、と思いつつも、こころの深いところが温められるというか、癒されるというか…。
やっぱり、いい小説だ、としかいいようがない。
ここのところ、いろいろ嫌なことが重なって、こころが少しふさいでいたが、本書を読んで、こころが軽くなった。
いい小説のちからはやはりすごいな、と再確認をする。
ちからのある小説に出会えて、幸せだと思う。 (2022.3 記)