ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談、研究しています

立松和平『魂の置き場所』2007・柏艪舎-立松和平さん・知床・ヒグマくん

2024年02月29日 | 北海道を読む

 2015年のブログです

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 何かいい本はないかな,と本棚を眺めていたら,黄緑色の背表紙が目にとまりました。

 見てみると,黄色のキタキツネの絵,和平さんの知床のエッセイ集でした。

 2007年の本なので,8年ぶりです。

 和平さんは仕事で知床に友人ができ,山荘を購入したという人。

 ずいぶん知床に惚れこんでいたことがわかります。

 うらやましい! 

 もっとも,学生時代に,利尻や知床を貧乏旅行していたようですから,素質はあったのかもしれません。

 クマやシカ,サケ,そして道産子についてのお話は興味深いです。

 特に,クマと人間が共存をしているというルシャの番屋のお話はなんど読んでもびっくりします。

 じーじもふるさと北海道をさらに再発見していきたいなと思いました。    (2015.7 記)

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 2022年5月のブログです

 先日、残念なことに知床で観光船の事故が起こってしまいましたが、知床はいいところです。

 じーじも20数年前に一度だけ観光船に乗りましたが、雄大な景色を堪能しました。

 もっとも、貧乏なじーじは岬の先端まで行く船には乗れずに、途中のカムイワッカの滝が海に落ちるところまでしか行けませんでしたが、それでも感動したことを覚えています。

 もう一度、チャンスがあったら、ぜひ乗ってみたいです。    (2022.5 記)

 

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瀬尾まいこ『君が夏を走らせる』2017・新潮社-高1男子の熱血痛快赤ちゃん育児小説です

2024年02月14日 | 小説を読む

 2017年のブログです

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 瀬尾まいこさんの『君が夏を走らせる』(2017・新潮社)を読みました。

 「すごーく」面白かったです(主人公の1歳の女の子の口調がうつって(?)しまいました)。

 本の帯に、宮﨑あおいさん、絶賛‼とありますが、あおいさんでなくても、絶賛したくなります。

 じーじが小説の新作を、文庫本ではなくて、単行本で読むのは、最近では村上春樹さん以外ではめずらしいのですが、それだけの魅力を放っていたようです。

 物語は、高1の不良少年が元不良の先輩の1歳の女の子の子守りのバイトを引き受けてしまった1か月間のお話。

 この高1の不良少年は、瀬尾さんの小説『あと少し、もう少し』(2015・新潮文庫)(じーじのブログにも書いてあります)に出てくる、「生きにくさ」を抱えた人物の一人で、高校生になっても、それを引きずっているという設定です。

 一方、1歳の女の子には、何の屈託もありません。

 天真爛漫、しかし、子育てをした人にはわかると思いますが、「悪魔のように」手がかかる存在です。

 その二人の物語、とても面白いです。

 子どもの描写がとても上手で、わけのわからない子ども言葉や態度や要求を、高1男子が悪戦苦闘しながらだんだんと理解できるようになっていく姿がいいです。

 まるで、遊戯療法の過程を見ているようで、瀬尾さんの小説家としての力量だけでなく、中学教師の力量も存分に発揮されているようです。

 そして、二人のやりとりは、ただ面白いだけでなく、瀬尾さん特有の哀しみや寂しさや、その上での優しさが描かれます。

 読んでいて、なんども笑わされたり、しんみりさせられたり、泣かされたりしてしまいます。

 このところ、いろいろと物騒で、憎しみが世界中に充満しているような、希望の持ちにくい状況ですが、世の中を真っ直ぐに見ることの大切さを教えてくれるような、いい小説だと思います。   (2017 記) 

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 2019年4月の追記です

 瀬尾さんが本屋大賞を受賞されました。おめでとうございます。    (2019.4 記)

 

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逢坂剛『十字路に立つ女』1992・講談社文庫-私立探偵岡坂神策が活躍するハードボイルド小説です

2024年02月04日 | 小説を読む

 2021年2月のブログです

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 逢坂剛さんの『十字路に立つ女』(1992・講談社文庫)をかなり久しぶりに読みました。

 すごく面白かったです。

 逢坂さんの小説の紹介は初めてかもしれません。

 実はじーじは昔から逢坂さんのかなりのファンなのですが、年末から読んでいた哲学者の木田元さんがやはり逢坂さんのファンということで、ここのところ、逢坂さんの小説を読み返しています。

 逢坂さんの小説はエンターテインメントで、とても面白いので、熱中してしまうところが玉に瑕です。

 本書もまさにそうで、一日で一気に読んでしまいました(もったいない、もったいない)。

 あらすじは例によってあえて書きませんが、地上げや腎移植、薬物中毒などの問題が、私立探偵というか、スペイン研究家というか、何でも屋の主人公である岡坂神策の周りで進行します。

 今回はスペイン研究の女子学者さんとの恋愛模様もサービスされていて、それはそれは面白い物語が展開します。

 もっとも、中年男子の主人公のこと、周囲の人々の哀しみにも立ち会うことが多く、なかなか切ない場面も多くあります。

 そう、これはかなりおとなの物語です。

 若い人はあと10年くらいしてから読むと、このよさが味わえるかもしれません(?)。

 いずれにしても、なかなか凝った、しかし、いい小説です。

 生きづらくで、モヤモヤしているような時には、とてもいい刺激剤になりそうです。        (2021.2 記) 

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