2019年のブログです
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池澤夏樹さんの『双頭の船』(2015・新潮文庫)を読みました。
この本も旭川の本屋さんで見つけたもの。
4年遅れの読書となりました。
おもしろかったです。
久しぶりにワクワクしながら読み進めました。
不思議な物語です。
東日本大震災のあとの東北地方が舞台ですが、おとなの童話のような、しかし、リアルなお話。
生きているものと死するもの、記憶と追悼、祈りと希望、そして、土への郷愁。
どれが正解ともいえず、正解がいくつもあるであろう人生のひとコマ、ひとコマを描きます。
明らかな悪者は出てきませんが、いわゆる民主主義、多数決主義の怖さにも触れます。
人の幸せとは、と明示はしませんが、考えるきっかけを提示します。
読後感がとてもいいです。
なんだか元気の出る、しかし、カラ元気ではない、しっとりと生きていけるようになる本かもしれません。 (2019.8 記)
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2021年10月の追記です
多数決至上主義の怖さということを考えます。
多数決はもちろん大切なのですが、もっと重要なのは、話し合いの深化と民意の熟成ではないでしょうか。
先日、ある町で、鼻出しマスクの議員さんの辞職勧告決議のニュースを観ましたが、十分な話し合いがなされないままに議決だけが急がれた印象を受けました。
多数決の暴力に通じなければいいのですが…。
戦争中にもそういうことがあったような気がします。 (2021.10 記)