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西園昌久『精神療法の現場から-実践力動的精神療法-西園精神療法ゼミナール3』2011・中山書店

2024年04月18日 | 精神療法に学ぶ

 2019年のブログです

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 西園昌久さんの『精神療法の現場から-実践力動的精神療法-西園精神療法ゼミナール3』(2011・中山書店)を読みました。

 おもしろかったです。

 先日、同じ西園さんの『精神療法入門-西園精神療法ゼミナール1』(2010、中山書店)を久しぶりに再読して、勉強になるところが多かったので、同じシリーズの本書を買って読みました。

 この本も比較的小さな本なのですが、症例がいっぱいで、勉強になります。

 西園さんのていねいで、親切で、的を得た精神療法の実際が読めて、すごいです。

 例によって、特に印象に残ったことを一つ、二つ。

 まずは、このところずっと書いているような気がしますが、今、ここでの体験によって、過去の記憶が書き換えられるということ。

 治療者と患者さんの今、ここでの関係で、過去の記憶が書き換えられる、ということで、心理療法の意味が強調されます。

 そして、そのために治療者に求められることは、耐えること、生き残ること、などになります(ちなみに、親も子どもとの関係で同じようなことが必要で、耐えられないで、子どもの攻撃に報復をすると虐待になってしまいます)。

 さらに、ここで重要になるのが、ユーモアや遊び。

 遊ぶことは生きることと同じで、親も子どもにとっても大切なことになります。

 二つめは、投影同一化という難しい概念。

 自分の中の悪や不安を認められないとそれを周囲に投影して、自分が攻撃されると錯覚してしまいます。

 また、そういう人たちが集まると、一人の人をスケープゴートにして排除することで、なんとか不安を減少させようとします。

 現代のいじめや戦争に通じようなお話でもあります。

 三つめが、うつと対象喪失の問題。

 うつの人はやはり対象喪失が大きなテーマであり、この視点をそらさずに見ていくことの重要性が指摘されます。

 他にも、大切なことが目白押し。

 さらに勉強をしていこうと思いました。    (2019.5 記)

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 2020年12月の追記です

 投影同一化という概念、とても難しいですが、大切だと思います。

 自分の中の不安や攻撃性を認められないと、それを周囲に投影して、被害的になってしまう、そういう人は多いようです。

 周囲を攻撃する前に、自分のこころの中の見たくない部分を直視することが大切になってくるようです。    (2020. 12 記)

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 2022年春の追記です

 今のロシアの政権を見ていると、投影同一化という概念がわかるような気がします。

 自らの内にある攻撃性や不安を自覚できずに、それを周囲の国々に投影してしまい、被害的になって、自分の国を守るためには周囲を攻撃しても当然だ、という考えに陥ってしまっている、と理解することが可能ではないかと思います。

 まずは自らの中にうごめいている攻撃性や不安を認めることが、平和へのためには重要になりそうです。      (2022.5 記)

 


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