ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングなどを相談・研究しています

じーじ臨床心理士が新潟市で公園カウンセリングをワンコイン(30分・500円)でお試し体験をしてみます

2025年03月20日 | カウンセリングをする

 こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングと訪問カウンセリングを新潟市で時々やっています。また,メールカウンセリングや面会交流の相談・援助もたまにやっています。

 公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間は,通常,1回,50分,3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などの間隔で行ないます。

 訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。料金・時間・間隔は,公園カウンセリングと同じです。

 メールカウンセリングは,メールによるカウンセリングや心理相談で,2週間に1往信で行ない,1往信700円です。

 面会交流の相談・援助は,相談はご自宅などで行ない,1回,50分,3,000円,援助はお近くの公園や遊戯施設,あるいはご自宅などで行ない,1回,60分,6,000円です。

 カウンセリング,相談・援助とも土日祝日をのぞく平日の午前10時~午後3時にやっています(すみません、年寄りなもので、夕方や週末のお仕事が難しくなってきました)。

 じーじのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください。そういう意味では,深くはないけれども,現実の生活を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています。

 駅の近くに部屋を借りるなどして,本格的にカウンセリングルームを運営するような臨床心理士さんとは違って、じーじは貧乏なので,近くの公園や広場,河川敷,海岸,里山などの自然の中やさらには,ご自宅や近くの児童公園,屋内施設,遊戯施設などでカウンセリングをしています。 

 子どもさんや赤ちゃんを遊ばせながら、ちょっとだけ悩みごとを聞いてもらえればいいんですー、というお母さんや悩み多き若者(?)などがじーじのクライエントさんには多いです(じいじいやばあばあのみなさんもお断りはしませんが(?)、尊敬すべき先輩たちのみなさんですから、できるだけご自分で解決しましょうね)。

 そういうことですので、お気軽にご利用ください。いわば,こころのストレッチ(!)をするような感じではないかな、と思ったりしています。 

     *

 通常は上記のようなカウンセリングをやっていますが、今回、お試し体験として、ワンコイン(30分・500円)カウンセリングをやってみようか、と思います。あまり深いカウンセリングはできそうもありませんが、軽めのカウンセリングというか心理相談は可能ではないかと考えています。

 期間限定になりそうですが(なんせ年寄りで、体力に不安がありますので、無理ができません)、よろしかったら、お試しください(もちろん、赤ちゃんや子どもさんが一緒でも大丈夫です)。

 お問い合わせ,ご予約は,メールで  yuwa0421family@gmail.com  までご連絡ください。

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com    

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三陸海岸の防潮堤を眺めながらタントくんと走ってみました-じーじの2023東北の旅・2

2025年03月20日 | ひとり旅で考える

 2023年6月のブログです

     *

 今日は宮城県石巻から岩手県久慈まで国道45号線をタントくんと海沿いに北上した。

 復興道路ができているが、山の中を走っていて、海岸部の街の復興ぶりがよくわからないので、6年前と同じ海沿いの道をチョイスする。

 南三陸、気仙沼、陸前高田、大船渡、釜石、宮古と、テレビや新聞でおなじみのところを通過をしたが、6年前には工事中だった道が整備され、走りやすくなっている。

  ただ、タントくんのカーナビちゃんが9年前のもので(?)、新しい道を走ると画面上は野原や山の中だったりして、びっくりする。

 海岸沿いは巨大な防潮堤が続き、海の見えないところも多い。

 走っていると津波浸水地域という標識が何度も出てくるが、かなりの内陸部でも出てきて、こんなところまで津波が来たのか!と驚く。

 津波のちからはすごいと思うし、それにそなえるのは大変だと想う。

 それでも、「フクシマ」の放射能の被害よりは、三陸の津波の被害のほうが目に見えやすいので、土建屋さんの頑張りもわかりやすい。

 トマホーク何発分で防潮堤ができるのかわからないが、よくわからない防衛費よりは効果がわかりやすくていいと思う。

 そんなことを考えながら、東北を旅している。           (2023.6 記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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小倉清・小林隆児『こころの原点を見つめて-めぐりめぐる乳幼児の記憶と精神療法』2015・遠見書房

2025年03月20日 | 子どもの臨床に学ぶ

 たぶん2017年のブログです

     * 

 子どもの精神科のお医者さんである小倉清さんと小林隆児さんの『こころの原点を見つめて-めぐりめぐる乳幼児の記憶と精神療法』(2015・遠見書房)を読みました。

 なかなかすごい本です。

 お二人が、精神科臨床での経験から、乳幼児体験の重要性と精神療法の可能性を論じていますが、びっくりすると同時におおいにうなづけるお話で、参考になります。

 また、小倉さんの提出された四つの症例はどれもが壮絶で、臨床家としての覚悟を問われるようなものすごい症例です。

 ふつう、統合失調症の発病期は思春期が多いといわれますが、小倉さんによれば、思春期になって病気がはっきりとするだけで、ていねいに見ていけば、もっと小さい頃からその兆候は掴める、といいます。

 そして、小倉さんは、最近の医学部に入るための2歳児からの塾があったりする例をひいて、そのような現象に代表される親子関係の危険性を指摘します。

 また、お二人の対談では、土居健郎さんを参考に、日常語で診断を考えることの大切さや患者さんの腑に落ちるような普通の言葉を大事にすることなどが強調され、臨床を行なう中でおおいに参考になります。

 いつまでも、「熱く」、しかし、冷静に、細やかな感性を失わずに治療を続けていらっしゃる小倉さんを目のあたりにして、じーじもさらに真摯に臨床に取り組んでいかなければならないと反省をさせられた一冊でした。            (2017?記)

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    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

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 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

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 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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北山修監修・高野晶編著『週一回サイコセラピー序説-精神分析からの贈り物』2017・創元社

2025年03月19日 | 心理療法に学ぶ

 2018年のブログです

     *   

 北山修さんが監修をした『週一回サイコセラピー序説-精神分析からの贈り物(2017・創元社)を読みました。

 去年秋の精神分析学会で北山さんや高野さんなどからご紹介のあった本で、今、精神分析学会で論議されている精神分析と精神分析的心理療法との異同について考えるのに、最適な一冊かなと思って読みました。

 なかなか刺激的な本です。

 これまであまり明確に議論をされてこなかったことがどんどん明らかにされるせいもあるでしょうし、精神分析的心理療法という古くて新しい心理療法を皆さんがなんとか確立していきたいという意気込みみたいなものも感じられます。

 もっとも、じーじは精神分析の訓練を受けたこともなく、本を読むだけで、どちらかというと精神分析的心理療法を学んだり、実践する立場ですので、冷静に勉強をしたいと思って読みました。

 本書では大勢の人が論文を書いており、たとえば、北山修さんの独創的な論文には本当に感心させられますし、鈴木龍さんの事例と理論にはこころから納得させられます。

 また、高橋哲郎さんの論文では、あの土居健郎さんが出てきて、とても感激させられます。

 そんな中で、今回、じーじが一番、勉強になったのが、先日もご紹介をさせていただいた生地新さん。

 生地さんは「子どもと思春期」という論文で、子どもや思春期の心理療法について詳しく説明をされ、週1回面接の意味やそれ以外の面接との比較についても述べられていて、月1~2回程度の面接が多いじーじの実践にもとても参考になりました。

 まだまだ読み方が浅く、理解も十分ではないと思いますので、今後、時間をかけて読み込み、実践に活かしていきたいなと思いました。             (2018 記)

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 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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東日本大震災の復興状況をタントくんと確かめる旅に出ましたーじーじの2023東北の旅・1

2025年03月19日 | ひとり旅で考える

 2023年6月のブログです

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 昨日から久しぶりに東北太平洋側への旅に出ている。

 たぶん6年ぶり。

 政府が復興予算を防衛費に回すと決めたので、そんなに東北の復興が進んでいるのかどうか、自分の目で見てみようと思った。

 昨日の朝、新潟を出発、タントくんでとことこと国道49号線を東に進む。

 郡山でカーナビちゃんが、なぜか三春のほうを指示するので、なにごとにも従順なじーじが(?)それに従うと、しばらくして道路標識には「双葉」の地名が出る。

 いよいよだと緊張しながら進むと、しばらくして帰還困難地域。

 人の姿は見えず、民家も道路の入り口から封鎖されてものものしい。

 まだまだ大変なようだ。

 車中泊をした道の駅ならはは少し前まで警察の臨時施設に使われていたらしいが、今は再開されていた。

 温泉もあって、いい道の駅だった。

 今日は国道6号線をとことこ北上。

 6年前よりは交差道路も通行できるようになっているが、まだまだ交差道路が封鎖されているところもあり、信号は黄色点滅。

 全国どこにでもあるような外食のチェーン店やクルマ屋さん、電器屋さんなどもまだ閉店したままのところがあり寂しい。

 震災から12年、特に原発事故からの復興は十分とはいえないのではないか。

 敵基地攻撃能力はそんなに急がねばならないのだろうか。

 トマホーク1発のお金で、福島の除染はどれだけ進むのだろう?

 誰か、きちんと教えてほしいものだ。           (2023.6 記)

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なだいなだ『れとると』1975・角川文庫-心理療法のすごさを教えられた小説です

2025年03月18日 | 小説を読む

 たぶん2017年のブログです

     * 

 またまた古い本を再読しました。

 なだいなださんの『れとると』(1975・角川文庫)。

 読んだのはたぶんじーじが家庭裁判所で働きはじめた頃、今から40年くらい前のことです。

 当時、じーじと一緒に採用になったのがW大の心理学科を出た優秀な同僚。 

 じーじは四流私大の社会学科しか出ていませんでしたが、彼はそんなじーじにも臨床のことをいろいろと親切に教えくれました。

 じーじたちは、仕事帰りによく駅前の居酒屋でお酒を飲みながら、仕事のことについて熱く議論をしていました(シーナさんじゃないですけど、思えば黄金の日々でした)。

 ある時、じーじが、非行少女の援助をしていて、結婚を考えるくらい真剣に応援したいな、と話したところ、W大くんが、赤坂さん、それは違います、なだいなださんの『れとると』を読むといいですよ、と勧めてくれました。

 さっそく、小説『れとると』を購入して読んでみたところ、そこには心理療法における転移性恋愛の様子がていねいに描かれていて、心理学音痴だったわたしにもよく理解できました。

 それからのじーじは、心理療法や精神医学の勉強をする必要性を強く感じて、河合隼雄さんや土居健郎さんの本などを読み始めました。

 そういう意味で、『れとると』はじーじにとってもとても重要な小説で、それを教えてくれたW大くんには本当に感謝しています。

 心理療法における転移性恋愛の問題は、専門家にも難しい問題で、フロイトさんを含めてさまざまな議論がなされています。

 本書では10歳の不登校の女の子と22歳の視線恐怖の女性の心理療法のお話が、とてもわかりやすく、細やかに描かれていて、心理療法だけでなく、女性をめぐる文学作品としても一流だと思います。

 本書には主人公の精神科医を指導するスーパーヴァイザーが出てきますが、どうも土居健郎さんがモデルのようで、その冷静さや正確さも魅力的です。

 久しぶりに読みかえしてみましたが、今でも色褪せない魅力的な小説だと思います。

 さらにいい仕事をしていきたいな、と強く思いました。           (2017?記)

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

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 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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佐伯一麦『空にみずうみ』2018・中公文庫-震災4年目の日常をていねいに描く

2025年03月18日 | 小説を読む

 2018年のブログです

     *  

 佐伯一麦さんの『空にみずうみ』(2018・中公文庫)を読みました。

 読売新聞夕刊に2014年6月から2015年5月まで連載されたとのことで、震災4年目の日常生活がていねいに描かれます。

 佐伯さんはじーじより五つ年下の仙台出身の作家さん。

 じーじは、高校生の夫婦を描いた『ア・ルース・ボーイ』(1994・新潮文庫)を読んでファンになり、以来、寡作な佐伯さんの小説を時々、読んできました。

 時々、というのは、小説の主人公が仕事のアスベストで健康を害し、生活に苦しみ、離婚を経験するという流れがじーじには少し辛くて、読めない時期もあり、小説の中で主人公が再婚をしたあたりから、少し穏やかな生活になって、その頃のお話から安心をして読めるようになったといういきさつがあるからです。

 もちろん、本作でも、震災の影はいたるところにあって、決して安穏ではないのですが、主人公夫婦は周囲の友人たちと一緒に落ち着いた生活を送り、その落ち着きが読者のこころの落ち着きをも誘います。

 庭の草花、虫たち、公園の木々、動物、猫や犬、そういったささいなものたちが人々とともに暮らしていることがわかります。

 その「普通」さがとても平凡ゆえに、震災の経験を経ると、それらがとても貴重なものに思われてきます。

 大きな事件は起きませんが、不思議とこころが落ち着く、良質な小説です。

 とくに、人生のいろいろな経験を経てきたやや年配の人たちには頷けるところが多い小説だと思います。

 そして、経験の中で見落としてきたかもしれない「普通」の良さ、大切さを再確認できるかもしれません。

 いい小説が読めて、幸せだな、と思います。           (2018.8 記)

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小倉清ほか『子どものこころを見つめて-臨床の真髄を語る』2011・遠見書房-真のエヴィデンスとは

2025年03月17日 | 子どもの臨床に学ぶ

 たぶん2017年のブログです

     *   

 小倉清さん、村田豊久さん、小林隆児さんの『子どものこころを見つめて-臨床の真髄を語る』(2011・遠見書房)を読みました。

 2011年の本ですが、なぜか読みそびれていて、今回、やっと読みました。

 いい本です。

 本の帯に、「発達障碍」診断の濫用は逆に子どものこころを置き去りにし、今や脳は見てもこころは見ない臨床家がどんどん産み出されている、とあるのですが、そういう現実を危惧している3人の児童精神科医による鼎談です。

 こころを見ない、とは、子どもの問題行動の原因を、心理テストや脳波を見ただけで診断をしてしまう危うさを指摘していて、もっともっと問題行動の背景や理由、気持ちや考えに目を向けないと真の診断にはならない、と警告をしています。

 それはある意味で、子ども一人一人の個性を本当の意味で尊重したうえでの診断ということになりそうです。

 また、そうした考えから、精神医学は自然科学より社会科学に近い、とか、精神医学は人間学、といった発言が出てきますが、まったく頷けます。

 さらに、印象に残ったのが、臨床の教育は徒弟制度、という発言。

 師匠の技を間近に見ることで成長していくしかない、と述べられています。

 よく臨床家は職人だ、と言われますが、同じ意味だと思います。

 昔、調査官の後輩が「職人としての調査官」という論文を書いたのですが、先見の明があったな、と感心します。

 いずれにしても、エヴィデンスやDSMだけでは十分ではない、臨床の奥深い世界を垣間見ていくことが重要になりそうです。

 ふだんからのケース検討やケース研究での学びを大切にしながら、説得力のある、質の高い臨床の力をつけていきたいなと思います。  (2017?)

     *

 2024年初夏の追記です

 子どもの気持ちにきちんと目を向けることが、子どもの個性を本当に尊重することになる、というところは大切だな、と思います。

 そしてそれは児童精神科医療だけでなく、さらには子育てや教育の分野にも共通するのではないかと思います。   

 とはいえ、子どもの気持ちにきちんと目を向けるということは、口でいうほど簡単なことではありませんし、なかなか至難のわざです。

 じーじがふりかえってみても反省ばかりです。  

 さらに努力をしていかなければなりません。           (2024.6 記)

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 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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つくしんぼを眺めながらの公園カウンセリングは、こころもぐんぐん元気になります

2025年03月16日 | カウンセリングをする

 こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリングと訪問カウンセリングを新潟市で時々やっています。

 また,メールカウンセリングや面会交流の相談・援助もたまにやっています。

 公園カウンセリングや里山カウンセリング,海岸カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間は1回,50分,3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。

 訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間・間隔は,公園カウンセリングと同じです。

 メールカウンセリングは,メールによるカウンセリングや心理相談で2週間に1往信で行ない,1往信700円です。

 面会交流の相談・援助は,相談はご自宅などで行ない,1回,50分,3,000円,援助はお近くの公園や遊戯施設,あるいはご自宅などで行ない,1回,60分,6,000円です。

 カウンセリング,相談・援助とも土日祝日をのぞく平日の午前10時~午後3時に行なっています(すみません、年寄りなもので、夕方や週末のお仕事が難しくなってきました)。

 じーじのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください。

 そういう意味では,深くはないけれども,現実の生活を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています。

 なお,公園カウンセリングなどというと,面接構造があいまいな印象を受けられるかもしれませんが,面接室外で二人が横並びになって行なう面接を勧められている精神科医もおられ,有効な形の一つではないかと考えています。

 料金は低めに設定させていただいていますが,月収15万円未満のかたや特別なご事情のあるかたは,さらに相談をさせていただきますので,ご遠慮なくお問い合せください。

 ちなみに,消費税には反対なのと,計算がややこしいので,いただきません。

 お問い合わせ,ご予約は,メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

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 駅の近くに部屋を借りるなどして,本格的にカウンセリングルームを運営するような臨床心理士さんとは違って、じーじは貧乏なので,近くの公園や広場,河川敷,海岸,里山などの自然の中やさらには,ご自宅や近くの児童公園,屋内施設,遊戯施設などでカウンセリングをしています。 

 子どもさんや赤ちゃんを遊ばせながら、ちょっとだけ悩みごとを聞いてもらえればいいんですー、というお母さんや悩み多き若者(?)などがじーじのクライエントさんには多いです(じいじいやばあばあのみなさんもお断りはしませんが(?)、尊敬すべき先輩たちのみなさんですから、できるだけご自分で解決しましょうね)。

 そういうことですので、お気軽にご利用ください。

 どちらかというと,こころのストレッチ(!)をするような感じではないかな、と思ったりしています。

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 つくしんぼを眺めながらの公園カウンセリングは、こころもぐんぐん元気になりますよ。

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 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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池澤夏樹『双頭の船』2015・新潮文庫-これまた不思議な、しかし、確たる意思を強く感じる物語です

2025年03月16日 | 小説を読む

 2019年のブログです

     *

 池澤夏樹さんの『双頭の船』(2015・新潮文庫)を読みました。

 この本も旭川の本屋さんで見つけたもの。

 4年遅れの読書となりました。

 おもしろかったです。

 久しぶりにワクワクしながら読み進めました。

 不思議な物語です。

 東日本大震災のあとの東北地方が舞台ですが、おとなの童話のような、しかし、リアルなお話。

 生きているものと死するもの、記憶と追悼、祈りと希望、そして、土への郷愁。

 どれが正解ともいえず、正解がいくつもあるであろう人生のひとコマ、ひとコマを描きます。

 明らかな悪者は出てきませんが、いわゆる民主主義、多数決主義の怖さにも触れます。

 人の幸せとは、と明示はしませんが、考えるきっかけを提示します。

 読後感がとてもいいです。

 なんだか元気の出る、しかし、カラ元気ではない、しっとりと生きていけるようになる本かもしれません。          (2019.8 記)

     *

 2021年10月の追記です

 多数決至上主義の怖さということを考えます。

 多数決はもちろん大切なのですが、もっと重要なのは、話し合いの深化と民意の熟成ではないでしょうか。

 先日、ある町で、鼻出しマスクの議員さんの辞職勧告決議のニュースを観ましたが、十分な話し合いがなされないままに議決だけが急がれた印象を受けました。

 多数決の暴力に通じなければいいのですが…。

 戦争中にもそういうことがあったような気がします。            (2021.10 記) 

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家庭裁判所の離婚調停での経験から-黙っていても幸せを招く「まねきネコ」のような存在に

2025年03月15日 | 心理臨床を考える

 あるかたのブログを読んでいたら、まねきネコのお話が出てきました。

 まねきネコ、といえば、じーじのブログにもありましたので、再録します。

 2018年ころのブログです。

     *

 以前、家庭裁判所で離婚調停に立ち会っていた時のこと。 

 調停委員さんからたまに、調査官が立ち会ってくれると話し合いがまとまることが多い、と言ってもらうことがありました。

 もちろん、お世辞が大部分だったとは思うのですが、たまにはそういうこともあったのかもしれません。

 優秀な調査官が立ち会えば、適切なアドバイスをして、話し合いをうまく進めることも可能だと思います。

 しかし、じーじのような落ちこぼれの調査官の場合は、特に有効なアドバイスもできずに、ただ茫然と立ち会っていたような気がします。

 もっともそんなじーじでもできていたことが一つだけありました。

 それは、お父さんやお母さんがいい発言をした時には大きく頷き、あまりいい発言でない時には動かないでいる、ということでした。

 凡庸なじーじにできることはそれくらいのことで、ほとんど黙って立ち会っていることが多かったように思いますが、それでもそれなりに影響を与えていたのかもしれません。

 じーじはそういう関与の仕方を「まねきネコ」としての調査官、と自称していました(じーじの顔はあんなに可愛くはないのですが…。それでもたまに手を顔のそばに近づけて、こっそりとまねきネコのまねをしてみたりしていました)。

 いま振り返ってみると、アドバイスなどはしなくとも、ただニコニコとして、そこに存在をしていることこそが大切ではなかったかと思うのです(もっとも、深刻なお話の時に、なんで笑っているんだと怒られたこともありましたが…)。

 そしてこのことは臨床家全般にも通じそうな気がします。

 どんなに厳しく、困難な状況であっても、臨床家が多少は困っても、しかし、あまり動じずに、自然体で泰然として存在すること、このことがどれだけ多くの言葉よりもクライエントさんには重要なことではないかと今は考えています。

 拙い文章を書いてしまいましたが、今後もさらに思索を深めていきたいなと思います。            (2018?記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

 mail  yuwa0421family@gmail.com    

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再び東日本大震災の原発と津波による被災地を自分の眼で見て考えたこと-じーじの2017東北の旅

2025年03月15日 | ひとり旅で考える

 2017年5月のブログです

     *

 5月の連休、昨年に続いて、東北3県の沿岸部を車で旅してきました。

 国道6号線の沿線は、昨年より少しだけ帰還困難地域が減りましたが、しかし、規制解除になった地域でも、入り口がフェンスで閉鎖されているお店もあり、まだまだ大変な様子でした。

 もちろん、帰還困難地域内は、当然、無人で、犬や猫の姿も見当たりません。その代わりに、獣注意、という看板が目立ちます。動物ではなく、獣(けもの)という表記が、異様な感じです。

 また、あいかわらず、国道の交差道路には、警備員が通行止めの警戒をしています。盗難防止のためか、福島県警のパトカーも頻繁に行き来をしています。

 今回も、じーじは国道6号線の沿線しか見ていませんが、国道6号線の西側を中心に大きく広がっている帰還困難地域では、今も大変な状況が広がっているのではないかと想像をします。

 その後、岩手県まで北上をして、各地で津波の被害地を見ました。まだまだどこの湾も復興工事の最中でした。

 去年はあまりよく見られなかった被災地も今年は見るようにしましたが、陸前高田で5階建ての団地の4階までが津波でめちゃくちゃになり、かろうじて5階だけが原型をとどめている建物に気づきました。

 いまさらながら、津波の威力の大きさに驚かされました。あの団地の住人は避難が間に合ったのか気にかかりました。

 昨年も書きましたが、じーじが家裁の調査官の仕事をしていた時に、先輩から、できるだけ家庭訪問をして、現場の雰囲気を感じることが大切だ、と教えられ、実践をしてきました。

 精神科医の中井久夫さんも同じようなことを書いておられましたが、本当にそうだな、とつくづく感じます。

 今回の旅でも、テレビの映像などでは納得をせずに、それをきっかけにして、できるだけ自分で現地に行き、自分の眼で現場を見て、その雰囲気を感じることが、自分の考えを深め、こころに響くものを大切にすることだ、とあらためて深く思いました。

 年老いたじーじの車中泊による貧乏旅行でしたが、精神的には有意義な旅でした。          (2017. 5 記)

     *

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    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

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北山修『ふりかえったら風・対談1968-2005 3 北山修の巻』2006・みすず書房

2025年03月14日 | 心理療法に学ぶ

 たぶん2017年のブログです

       *     

 北山修さんの対談本『ふりかえったら風・対談1968-2005 3 北山修の巻』(2006・みすず書房)を再読しました。

 この本もかなりの久しぶりでしたが、今回は前回読んだはずなのにすっかり忘れていた(?)斧谷彌守一(よきたにやすいち)さんという哲学者を再発見(?)したことが一番の収穫です。

 斧谷さんはハイデガーさんの研究者ですが、ハイデガーさんはヘーゲル弁証法の正・反・合を発展させて、全体性と聖なるものの関連に気づいていたのではないか、という説を述べられます。

 ただし、ウィニコットさんを知らなかったため、子どもとおとなの中間領域という考えやそこが創造の場であるという考えには至らずにいて、喜びと悲しみの中間領域という考えには思い至らなかったのではないか、という大胆なお話に発展しています。

 たしかに、ハイデガーさんは読むのにも難儀をするような緻密な哲学で、ウィニコットさんの遊びや創造性の世界からは少し縁遠い印象を受けますが、しかし、素人の感想ですが、どちらもがかなり深い世界を扱っているなという雰囲気だけはなんとなくわかります。

 久しぶりに哲学らしい論議を読めて、面白かったです。

 他にも、精神分析の鈴木晶さんとの対談では、昔話の変化とつくり直しの話題が出て、例のつるの恩返しの物語が書き換えられるかというテーマに繋がっています。

 同じく精神分析の小此木啓吾さんとは境界パーソナリティをめぐって対談がなされ、現代社会における子どもの過剰適応との関連が検討され、死の本能の隠蔽やエディプスの崩壊とおとなになることへの失望など、なかなか刺激的な話題が話されます。

 さらに、精神分析の妙木浩之さんとは、ウィニコットさんをめぐって話され、ウィニコットさんやフロイトさんの症例報告が間接話法で書かれていることを指摘されて、ローデータ神話を批判されます。

 事例報告を直接話法で書くか、間接話法で書くか、という問題は、事例検討が重要である臨床家にとっては大きな問題で、今後、真剣に考えていきたいなと思いました。

 対談本ですが、とても刺激になった一冊でした。         (2017?記)

     *

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 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

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福島の原発事故による帰還困難地域を自分の眼で見て考えたこと-じーじの2016東北の旅

2025年03月14日 | ひとり旅で考える

 2016年5月のブログです

       *

 5月の連休、少し考えるところがあって、東北3県の沿岸部を車で旅してきました。

 まずは新潟から国道49号で福島のいわきに、そこから国道6号で北上しました。

 有名なJビレッジを過ぎてしばらくすると、帰還困難地域の表示。大熊町から双葉町にかけてのおおよそ30キロ弱ほどの地域がそうでした。

 テレビの報道でだいたいのことはわかったつもりになっていましたが、現地を自分の眼で見ると、その悲惨さは想像を絶していました。 

 国道の両側の商業地域や住宅地域はすべての建物が封鎖をされ、入り口はフェンスで閉鎖されています。もちろん無人で、犬や猫の姿も見当たりません。以前、ここに住んでいた人たちや仕事をしていた人たちの無念さを考えました。 

 また、国道の交差道路には、白い放射能の防護服を着た警備員が通行止めの警戒をしています。

 そんな中で盗難防止のためか、福島県警のパトカーが頻繁に行き来をしています。

 まるで映画に出てくるゴーストタウンを見ているようでしたが、これが「フクシマ」の現実なのでしょう。もっとも、私は国道6号の沿線しか見ていませんので、国道6号の西側を中心に大きく広がっている帰還困難地域では、もっともっと大変な状況が広がっているのではないかと想像をします。

 「フクシマ」で、自分の眼で現実を見ることは、こんなにもこころを揺さぶり、考えさせられるものなのか、と改めて再認識をさせられました。

 その後、さらに岩手県北部まで北上をして、道中の各地で津波の被害地を見ました。どこの湾も例外なく大きな被害を受け、復興工事の最中でした。生活をしている人の姿はまだ少なかったのですが、人々が働いている状況は「フクシマ」より安心できるものがありました。

 賛否両論のある巨大な防潮堤も見ました。安全のためには必要かという思いと、風景を圧倒し、威圧感さえ感じさせるほどのものが本当に必要なのかという思いとで、こころが揺れ動きました。中央や土建屋さんの考えだけでなく、一番に必要としている現地の人たちとの丁寧な話し合いを大切にしていただきたいな、と思いました。

 じーじが家裁の調査官の仕事をしていた時に、先輩から、できるだけ家庭訪問をして、現場の雰囲気を感じることが大切だ、と教えられ、実践をしてきました。たしか、精神科医の中井久夫さんも同じようなことを書いておられましたが、本当にそうだな、とつくづく感じます。

 今回の旅で、テレビの映像などでは納得をせずに、それをとっかかりにして、できるだけ自分で現地に行き、現場の雰囲気を感じることが、自分の考えを深め、こころに響くものを大切にすることだと感じましたし、本当に重要なんだな、とあらためて深く思いました。

 心情的にはつらかったけれども、いろいろな意味で有意義な旅でした。            (2016.5 記)

      *

 2017年4月の追記です

 村上春樹さんも2015年の秋に行かれたらしいです。

 今回の新作『騎士団長殺し』に東北沿岸の風景描写が出てきます。             (2017.4 記)

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 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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土居健郎『臨床精神医学の方法』2009・岩崎学術出版社-冷静な「熱さ」に深い理解の原点を見る

2025年03月13日 | 精神療法に学ぶ

 2018年のブログです

     * 

 精神科医で精神分析家の土居健郎さんの『臨床精神医学の方法』(2009・岩崎学術出版社)を再読しました。

 精神科デイケアのボランティアの合間に読んでいたら、面白くてやめられなくなり、メンバーさんそっちのけで(?)読んでしまいました(メンバーさん、ごめんなさい)。

 久しぶりの再読で、あいかわらず、中身は覚えておらず、新鮮な気持ちで読んでしまいましたが、土居さんの晩年の論文と講演録からなっています。

 特に、2007年の講演は、土居さんが講演としてはめずらしく症例とその治療体験をいくつもご紹介され、そのいずれもがとても感動的です。

 指定討論者の藤山直樹さんが、土居先生は(面接の場で)ものすごく生きている、と感想を述べられていますが、その感想がすごく印象的です。

 土居さんの嘘のない、正直な生き方のそのすごさが患者さんに伝わり、治療になるのだろうと思いました。

 心理臨床の技術を学ぶことももちろん大切なのですが、患者さんに臨む決意とか思いとか、そういった治療者の姿勢がやはり大切なのだろうと、再認識させられました。

 今回、もう一つ、気がついたのが、エヴィデンスに触れた箇所。

 土居さんは、感じたことこそがエヴィデンス、と述べ、治療関係とそこで起こる変化の中にこそエヴィデンスはある、と言い切っておられます。

 エヴィデンスでおろおろしているじーじなどには、気持ちのいいくらいの覚悟だと思いました。

 転移や逆転移の中にこそひとつの真実があることを肝に銘記して、今後の臨床に臨みたいと、こころを新たに思いました。           (2018 記)

     *

 2020年冬の追記です  

 じーじにしては早めの再読となりました。

 今回は、土居さんの正直さということが印象に残りました。

 失敗した症例もきちんと提示し、冷静に検討されます。

 大家はみなさんそうですが、正直さということが大切なんだなと痛感します。

 いい経験をさせていただきました。            (2020.1 記)

     *

 ゆうわファミリーカウンセリング新潟(じーじ臨床心理士・赤坂正人・個人開業)のご紹介

 経歴 1954年、北海道函館市に生まれ、旭川市で育つ  

    1977年、ある四流私立大学文学部社会学科を卒業、浦和、新潟家庭裁判所などで家庭裁判所調査官として司法臨床に従事する  

    2014年、定年退職間際に放送大学大学院(臨床心理学プログラム・修士)を修了 

    2017年、臨床心理士になる

 仕事 個人開業で、カウンセリング、心理療法、家族療法、遊戯療法、メールカウンセリング、面会交流の援助などを研究しています

 学会 精神分析学会、遊戯療法学会会員

 論文「家庭裁判所における別れた親子の試行的面会」(2006・『臨床心理学』)、「家庭裁判所での別れた親子の試行的面会」(2011・『遊戯療法学研究』)ほか 

 住所 新潟市西区

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