ハヌカは光のお祭り。「ハヌキア」と呼ばれる燭台に立てたろうそくに、日ごとに1本火を灯す。また、子どもには「ドレイドル」という四角錐の独楽(こま)がプレゼントされる。
最近のアメリカでは12月のこの時期を、クリスマス・シーズンとはいわずにホリデー・シーズンと呼ぶ。クリスマスはあくまでキリスト教徒の祭りであって、同時期にはユダヤ教徒による「ハヌカ」(とアフリカ系アメリカ人による「クワンザ」)も行われることに配慮しているからだ。
中世ヨーロッパの多くの国ではキリスト教が国教だったため、ユダヤ教徒は「ゲットー」と呼ばれる区域に隔離されて住まわされ、農業や工業といった通常の仕事に就くことを禁じられた。
そのため彼らは金融業(キリスト教徒間では利子のつく借金が禁じられていた)、医学、出版、芸能といったニッチな仕事に手を染めざるを得なかったのだ。しかし18世紀に産業革命が起きると状況が一変する。金融業は世界を支配し、都市で働くようになった人々にとって芸能が気晴らしの手段になった。
結果、こうした分野で人脈とノウハウを持っていたユダヤ人が活躍するようになったのである。これを面白く思わないキリスト教徒も多く、19世紀にはドイツや東欧、ロシアでユダヤ人排斥運動が活発化する。
これに対してユダヤ人は米国への移住を本格化。急速に発展する米エンターテイメント界の担い手となっていく。サンドラーが『ハヌカソング』で俳優たちの名を挙げるまでもなく、ハリウッド映画の創始者たちの多くは、ユダヤ系だった。
こうした状況はポップ・ミュージックも同様だった。ジョージ・ガーシュウィンやリチャード・ロジャース、ジェローム・カーンといった現在スタンダード・ナンバーと呼ばれる楽曲を20世紀前半に作曲したヒットメイカーの大多数がユダヤ人である。職業作曲家である彼らはオーダーに応じてどんな曲でも作ってみせた。たとえそれが自分の信仰していない宗教行事にちなんだ曲であっても。
クリスマス・ソング不朽の定番『ホワイト・クリスマス』の作者、アーヴィング・バーリンが祝っていたのはハヌカだった。バーリンだけではない。『ウィンター・ワンダーランド』の作者フェリックス・バーナードや、『レット・イット・スノウ』の作者ジュール・スタイン&サミー・カーン、『クリスマス・ソング』を作って歌ったメル・トーメ、『外は寒いよ』の作者フランク・ロッサーもそうだ。
共鳴し、融合した音楽
彼らのヒット曲の多くは、当時流行しつつあったジャズやラグタイムといった黒人音楽にインスパイアされ、「それ風」のサウンドを狙って作られたものだった。
ここでポップミュージックにある種の化学変化が起きた。彼らは黒人風の音楽を作ろうと感情移入しているうちに、差別され虐げられ続けてきた自らの祖先が継承してきた民謡の哀感を、音楽に持ち込んでいたのだ。彼らのナンバーは、黒人ジャズ・ミュージシャンに頻繁に取り上げられ、ユダヤ的哀感はジャズに欠かせない要素になっていく。
紀元前2世紀、ユダヤ人がいまのイスラエルにあたる土地を支配していたセレコウス朝シリアから、エルサレム神殿の奪回に成功したとき、記念に灯した蝋燭が8晩経っても消えなかったという伝説に基づくこの祭り。当然のことながら紀元1世紀に生まれた男が創始したキリスト教よりも古い。でもいかんせんユダヤ系アメリカ人の数が少なく、表立って語られることがないため、ユダヤ系であるサンドラーはハヌカを自虐的に歌っているのだ。
米エンタメ界にユダヤ教セレブが多い理由
だがその一方で、サンドラーはハヌカを祝っているハリウッド・セレブが意外なほど多いことを名を連ねてみせる。これまでパート4まで作られたこの曲からざっと名前を書き出してみよう。
カーク・ダグラスをはじめ、ダスティン・ホフマン、ベン・ステイラー、ジャック・ブラック、ナタリー・ポートマン、そして『スタートレック』のカーク艦長とミスター・スポック(を演じたウィリアム・シャトナーとレナード・ニモイ)。ユダヤ系アメリカ人が約500万人しかいないにしては大した健闘ぶりではないか。
出所 Forbes記事
1992年10月、『ニューヨークタイムズ』は、南アフリカでは、20世紀のはじめにユダヤとの同祖論に基づいて新キリスト教が生まれ、現地ではいままたその一派が復活している、と報じています。
西欧のキリスト教に幻滅して民族主義に目覚め、白人世界との週末的戦争を想像しているばかりでなく、ユダヤ人と祖先を同じくしていると主張していると言います。
アメリカの一教派である「黒人ヘブライ人」もユダヤ人との同祖論を唱えていると言います。 『アメリカの黒人ヘブライ・イスラエル人、聖地へ』という本で、シャーク・ベン・エフダは、アフリカ系アメリカ人は古代イスラエル人の子孫であると主張しています。
歴史の記録および聖書にある預言によれば、アメリカおよび西半球の地域で。アフロ・アメリカン、にグロ、黒人などの名で呼ばれる人々は絶対に父祖アブラハム、遺作、ヤコブのヘブライ族の聖書にしるされた子孫であり、神との契約にの精神的後継者であることを説くことが、本書の課題のようです。
「黒人ヘブライ人」の歴史と神学、そもそも黒人ユダヤ教徒は、20世紀に黒人が自らの存在のジレンマを解決しようとして考えだした、いくつもある方法の一つです。
第一大戦により、世界の覇権はヨーロッパからアメリカに移り、1920年代はアメリカ黄金の時代を迎えニューヨー国は高層ビルが立ち並び、経済面で門文化面でも大繁栄を享受した時代で、同時に黒人のジャズ音楽が次花開いた時代です。 しかしなから闇の部分として白人による黒人差別は激化し、白人至上主義を掲げるKKKなどの活動が盛んになった時代でもあります。
これについては、すでに紹介しました。
ロスチャイルド財閥ー85 ヴェネチアの黒い貴族: 人類史絶対勝者のルーツhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/ee17d9c2af99e8fb646a1c44d6e8e129
ロスチャイルド財閥ー86 アメリカ黄金の1920年代https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1a6701bea73e96d31ca40eb9aa6ca851
ロスチャイルド財閥ー87 バーリとミーンズ 『近代株式会社と私有財産』そしてモルガン財閥https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b5fd0621063d0908176472a59bfcc55d
1911年から1931年までの時期に、少なくとも8派の黒人ユダヤ教がハーレムに生まれています。 ハワード・ブロッツは次のようにその事情を説明しています。
17世紀にイギリスで起こった「失われた十部族」の運命についての議論は、プロテスタント主義には、欠かすことのできない要素でした。 そのプロテスタント主義はやがて」北アメリカで奴隷にされて生きていた黒人の宗教になった。
しかしやがて黒人は、独自のプロテスタントとしての思想と伝統をもつようになる。 黒人こそは「真のヘブライ人である」という考えは、奴隷独自の侵攻の伝統からうまれたものでした。
そして、1920年代の黒人ユダヤ教が現れました。それは黒人民族主義の表現であり、キリスト教への不満の表現でした。 「ブラック・ムスリム」(黒人回教団)を産んだのもその両者でした。
ある社会学の研究によると、黒人ユダヤ人は黒人プロテスタント教徒に比べ、おおかた適応の状態が良好で、ユダヤ人というアイデンティティは無力感、生きるための規範が失われているという感情を和らげているという結果が出たそうです。
このように、同祖論は日本独自のものではなく、信じる者にとって心理的効用がないわけでもない。 世界のいろいろな場所で、疎外され、無視され、抑圧された人々によって、唱えられてきたとされています。
しかしながら、日ユ同祖論は、江戸時代から西洋人・ユダヤ人の方から唱えられ、今日ではイスラエル政府機関網シャーブも認め、東北大学の田中名誉教授も証拠を次々と示し、ており、日ユ同祖論は信頼に足るもののような気がします。 これについては別途紹介します。
同祖論は、ヨーロッパのキリスト教の権威を拒絶しつつつも、なお一神教という力強い伝統は捨てまいとした伝統であるとされています。
ハーレムの黒人たちが自分はユダヤ人およびユダヤ教と結びついていたのだと思い、我々は黒人ユダヤ人であると宣言したとき。何が起こったのか。
ブロッツがいうように、彼らは誇るべき過去と意気揚々とした未来を展望する、あらたな民族意識を持つことになったのです。
黒人が自分たちはユダヤ人であると宣言する。 すると彼らの人種的な特徴は劣っているしるしではなく、むしろ白人のキリスト教徒でさえも尊敬すべき、優越のしるしになります。 いいかえれば、黒人ユダヤ人は白人が最も神聖なものと考えるものを拒否することで、白人文化に対する軽蔑を現します。
白人の道徳や宗教の原則を嘲笑うことで、白人からの独立を宣言する。 そして、白人が原則だといっていることに正しく従っているのは、実は白人ではなく、自分たち国人の方だ、と主張しているのです。
第一次世界大戦の時代になると、欧米諸国はユダヤのロスチャイルドの強さを十分に知るところとなっていて、黒人の紺プレックスとユダヤ民族への憧れが、1920年代の黒人ユダヤ教徒を産んだのかもしれません。
しかしながら、旧約聖書によれば、ノアの呪いで、白人は支配層となり、その上にユダヤ人が君臨し、そして黒人は白人・ユダヤ人の奴隷となれとしています。 紀元前に書かれた旧約聖書ですが、現代社会を予測しているかの如くで、驚かされます。
明治以降、日本語訳の旧約聖書に書かれなかった一節https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/02df639b5ab25372db80ce9dca89b4af
ノアの呪いと黒人差別https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5717d0661572032c599ef59efd580a2e
ユダヤ教(実は軍事同盟)とグローバリズム、そして軍需産業https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/703f7d4234db701908bfd7cbaa536e30
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