【再編集】エジプト政府がついに公開した〝無限に広がる地下帝国〟がヤバすぎる!?現代の科学技術をもってしても絶対に再現不可能な古代都市の秘密とは
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トーマス・グラバー 第五章 グラバー商会の稼働開始 グルームとパートナーを組む
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からの続き
三番目の兄、ジェイムズの来日
子供の死、船舶、武器の輸入売却、茶葉工場の移転、再稼働。 猫の手も借りたいほどに多忙なグラバーのもとへ、一通の手紙が届けられた。 なんとグラバー家の三男ジェイムズ・リンドレーが、近く長崎を訪問するとの手紙であった。
グラバーは長崎に来て三年目。 勿論、故郷スコットランドにいる両親や兄弟のことを考えなかったわけではない。 しかし、実のところグラバーは長崎でのグラバー商会のことでいつも頭がいっぱいになっていた。
そんな中、グラバー家の三男で、彼よりも五歳年上のジェイムズ・リンドレー(二十九歳)が長崎へ立ち寄るとのこと。 全く予想していなかったジェイムズの来日は、思わず涙がこぼれ落ちるほど嬉しかった。
早速グルームにもその手紙を見せると、グルームは「丁度良いときに兄さんが来るんだね。 グラバー商会に出資してもらおうじゃないか」と言う。
さらに「この際、ブレイン・テート商会のハリスンにも参加してもらって四人で共同出資の会社として再出発しようじゃないか」と提案したのだ。
八月上旬、グラバー商会と兄ジェイムズ、グルーム、ハリスンの四人がグラバー商会の挙動出資者として顔を揃えた。 出資額の内訳は、グラバーとグルームが三〇%ずつ、ハリスン二十二%、ジェイムズ十八%と決められた。
利益の配、当が出資額に応じて支払われるのは言うまでもない。なお、パートナーシップの契約期間は三年、それを過ぎたらパートナーを離脱するも、再契約するも自由と言うことにした。
この席上、外人居留地で有望な土地(借地)をいち早く確保すること、良質な石炭が産出されているという高島炭鉱への参加、生糸、海産物などの輸出が今後の検討の議題となった。
最後に、グラバーは茶葉再生工場の好調ぶりを自慢。 事実、再生工場は昨年の三倍余の売り上げを達成していた。
(関連情報)
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27.トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 エルサレム神殿の現像者がフリーメーソン の元祖?
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28.トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 ユダヤ教の改革者「イエス」https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5a59687effc144a4a42cebd426f7fd32
29.トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 全民族のための宗教へhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/762d06ea266f2d119a43a44f6d260f30
30.トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 ユダヤ教とローマ帝国を批判https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a80af1ec02338d0d1e22fc3167fd52bd
31.トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 十字架の刑へhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a7daa23cef5788d216b6e087c44285f0
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33.トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 原始キリスト教団の活躍https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/2467b848d6fa1869c7f478463bc770e0
34.トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 アメリカのユダヤ贔屓https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/714c82f60bce4f34379f7f7998ae2cbb
35.トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 イスラエル、中東戦争に連勝https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b5554f9ebe314a90c97bc105eae1ebdd
36.トーマス・グラバー 第三章 世界の大きな謎」 米国内で大活躍のイスラエル人https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/a6d4bf8238ce1f4391b72d1d6cb825a1
37.トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍 茶の輸出を決心https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/da3eefe98934104161e2e20d70fbd755
38.トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍 茶の女商人、大浦慶https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/12684f6e7a20014012e3335a71a7cef4
39.トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍 茶葉の再生工場を建設https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b079ad539190a76d9a3b0e2e685e7fdf
40.トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍 五代才助に会うhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/d62ff770c858327957e8dcd970415eb7
41.トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍 琉球王国の危うい歴史https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/5204c5043191bb6155d8066f23d1b037
42.トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍 船舶を一隻受注https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/40288565c64b99bde0bc9817e1056752
43.トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍 横浜へ見学の旅https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/c957375a45e4c830da89bf0cbd098b47
44.トーマス・グラバー 第四章 グラバー長崎での活躍 井伊大老の暗殺https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/21d3943978ef0e71d379b0b2189f7f08
45.トーマス・グラバー 第五章 グラバー商会の稼働開始 イングランド号、無事薩摩藩に納入https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/19602b78ee78bbacb48e848e31a947bd
46.トーマス・グラバー 第五章 グラバー商会の稼働開始 長崎一の茶葉工場稼働開始https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/db7bcc48925088ee0cd4228ac7403553
47.トーマス・グラバー 第五章 グラバー商会の稼働開始 一大茶葉工場を建設https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/36fe6c04bfdc033f7e99de382bd1d6cd
48.トーマス・グラバー 第五章 グラバー商会の稼働開始 岩崎弥太郎、阪本竜馬に会うhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/bd632c979ef16f5c33935d21603f235e
49.トーマス・グラバー 第五章 グラバー商会の稼働開始 船舶・武器輸出へhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e048230522a67d46bc0630450ef64190
50.トーマス・グラバー 第五章 グラバー商会の稼働開始 茶葉工場の移動命令https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/8acda48a5ffb018b5e09e2a6975dd8d3
51.トーマス・グラバー 第五章 グラバー商会の稼働開始 グルームとパートナーを組むhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/0ad3300c80406541bee9d8ce6eca4515
52. トーマス・グラバー 第五章 グラバー商会の稼働開始 三番目の兄、ジェイムズの来日 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/1d738fd79252edd6002105d3dfce4dca
この本には、歴史的に貴重な写真、図、文献なども数多く掲載されている秀逸な作品ですが、それらをPDF化して皆さんに紹介することもできますが、著者と発行所の『長崎文献社』に敬意を払って、全てを紹介するのは、控えたいと考えております。
★ト-マス・グラバー ここまでの投稿記事一覧
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/659dadfd8abcded85689534cb5c627a6
★フリーメーソン・イルミナティ・秘密結社 ここまでの記事一覧
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/d52e37f7e9a7af44f93554ed333744b3
ラピダスは今後4兆円の資金調達が必要と試算する(10月中旬、北海道千歳市で建設中のラピダス工場)
最先端半導体の量産を目指すラピダスが出資企業に議決権を付与することが18日、分かった。
株主が経営に関与できる体制を整える。同日、トヨタ自動車やデンソーが追加出資する意向を示したことも明らかになった。
既存株主8社全てが追加出資する意向を示したことで、目標とする1000億円の民間資金の調達に前進する。
トヨタは同日「次世代半導体の生産基盤を日本に作る設立趣旨に賛同しているため、追加出資に向けて検討を進めていく」とコメントした。
佐藤恒治社長は「(関係各所と)連携を取ってしっかりと産業として守っていく必要がある」と話した。デンソーも追加出資の意向をラピダス側に通知した。
自動車では、自動運転やソフトウエア定義車両「SDV」向けに半導体の重要性は高まっている。トヨタやデンソーは台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県で建設中の工場運営子会社にも出資を表明するなど、半導体関連の調達網拡大を進める。
ラピダスは2022年8月に設立され、トヨタやデンソーのほかソフトバンク、NTTやソニーグループ、NEC、キオクシアが各10億円、三菱UFJ銀行が3億円の計73億円を出資した。
事業会社全てが18日までに追加出資の意向を示した。三菱UFJ銀行などメガ3行と日本政策投資銀行も最大計250億円を出資する方針。新たに富士通も出資する方向だ。
民間による追加出資は装置の購入代金など資金需要が発生する25年後半になる見通し。各社の出資額は今後協議して決める。
ラピダスは27年の量産までに計5兆円が必要だと試算する。これまで経済産業省が計9200億円の支援を決めたが、量産の実現にはさらに4兆円規模の資金が必要となる。
巨額の投資を国の補助金のみに頼ることを懸念する声もあり、民間企業からの出資など資金調達の多様化が求められている。
ラピダスは10月1日付でソニーGで執行役員財務担当を務めた村上敦子氏を最高財務責任者(CFO)として招いた。
国内の電機・半導体や自動車メーカーなど、既存株主以外にも出資を要請する考えだ。
追加出資を決めた株主の中には、ラピダスへの大規模な出資に慎重な見方もある。ラピダスが技術開発や顧客開拓で目に見える成果を示せていないためだ。
ラピダスが量産を目指す最先端半導体についてトヨタ関係者は「自動車向けでは30年代になっても需要はそこまで大きくない」と話す。
こうした背景もあり、ラピダスは出資企業に対して出資額に応じた議決権を付与する方針を固めた。
既存株主8社には議決権がほとんど与えられていなかった。各社がラピダスの経営に関与できるようにすることで、追加出資に向けた議論を円滑に進める。経営の透明化を進める狙いもある。
ラピダスと民間企業の出資交渉は今夏から本格化し、経済産業省も交渉に同席してきた。
政府は6月に閣議決定した「骨太の方針」で今後の半導体支援について「複数年度にわたり、大規模かつ計画的に」と明記した。
政府はこの方針を踏まえて政府機関による出融資や、ラピダスに対する金融機関の融資に債務保証をつける法案の早期提出を目指す。
民間出資の拡大により、法整備の議論に弾みがつくことを期待する。
パソコンやスマホの半導体や、電気自動車(EV)に使われるパワー半導体とは。TSMCやラピダス、キオクシアなどのメーカーの動向や供給不足、シェア推移など関連業界や市場の最新ニュース・解説をタイムリーに発信します。
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EUV露光装置はオランダASMLが市場を独占する(写真:ASML)
最先端半導体の製造に欠かせない極端紫外線(EUV)露光装置が間もなく日本に上陸する。
ラピダス(東京・千代田)が2024年内にも千歳工場(北海道千歳市)に導入し、これが国内第1号となる見通しだ。同装置を世界で唯一製造しているオランダASMLが供給する。
ラピダスを皮切りに、EUV露光装置は日本の半導体工場に相次ぎ導入される。米マイクロン・テクノロジーは25年に広島工場(広島県東広島市)に導入し、26年から半導体メモリーの一つ、DRAMの量産に使う。
台湾積体電路製造(TSMC)は27年の稼働を目指す熊本第2工場(熊本県菊陽町)に導入すると推測される。産業技術総合研究所は米インテルと連携し、EUV露光装置を使う研究開発拠点を整備する。
ASMLがEUV露光装置の開発に成功し、競合のニコンとキヤノンが失敗した理由については様々な分析がなされてきた。
日本の2社は前哨戦ともいえるフッ化アルゴン(ArF)露光装置でASMLに水をあけられ、2010年代初頭の時点でEUV露光装置の開発を続ける体力を失った。それ以前、ニコンとキヤノンはEUV露光装置の共同開発を模索した時期もあったようだが実現しなかった。
「彼のリーダーシップは強烈だった」。3社による開発競争をよく知る関係者の1人が指摘するのは、ASML前社長兼最高技術責任者(CTO)のマルティン・ファンデンブリンク氏の手腕だ。
1984年のASML創業当初からの社員で、2013年に社長兼CTOに就任。前最高経営責任者(CEO)のピーター・ウェニンク氏と共にEUV露光装置の実用化を成功させ、24年4月にそろって退任した。ASMLを半導体装置業界で世界首位、時価総額で欧州2位をうかがう存在に押し上げた立役者だ。
EUV露光装置はTSMCが19年に業界で初めて量産に導入し、韓国サムスン電子や韓国SKハイニックス、インテルも続いた。
そのすべての需要をASMLが独占している。23年の出荷台数は53台で、価格は現行機で200億〜300億円、次世代機で500億円を超えるとされる。
光源出力の向上あきらめず
関係者が指摘するファンデンブリンク氏のリーダーシップとは、装置の生産性(処理能力)を決める光源の出力を一挙に引き上げた指導力を指す。
EUV光源の出力は2010年代初頭まで、10〜20ワットで停滞していた。半導体工場で使えるレベルではない。当時、国内露光装置メーカーのある幹部は「EUV露光装置が半導体の量産に使われることはこの先もないだろう」と記者に語った。
ところが光源出力は現在、600ワットをうかがう水準にまで高まった。過去10年ほどで30倍近く向上した計算になる。
転機は13年、ASMLが露光装置光源大手の米サイマーを買収したことだった。その前年、ASMLはEUV露光装置の潜在顧客だったインテル、TSMC、サムスンから大型出資を引き出すことにも成功した。
「光源の出力向上にもたついているのはなぜだ」。サイマーを傘下に収めた直後、ファンデンブリンク氏は同社の開発部隊にハッパを掛けた。
同氏は露光装置のシステムには通じているが、光源の専門家ではなかった。ただ、目指す装置の姿は揺るぎない。ドイツのカールツァイスが手掛けるレンズなどを含め、要素技術のインテグレーションをけん引した。
ベルギーの研究機関アイメックが主催したイベントで講演するマルティン・ファンデンブリンク氏
(写真:日経クロステック)
2024年5月、ASML退任直後のファンデンブリンク氏はベルギーの研究機関アイメックが主催したイベントで講演した。
業界への置き土産のように語ったのはEUV露光装置の将来展望だ。
解像力を決める開口数(NA)は現行機の0.33から、23年末に第1号機をインテルに出荷した次世代機で0.55に高め、30年代には0.75に高める。
NA0.55の装置は27年、0.75の装置は35年ごろから量産に使われると見込む。処理能力については、30〜35年に1時間当たり400〜500ウエハーを達成するとした。
日本企業は蚊帳の外に置かれたかのように映るが、周辺技術での貢献は大きい。
フォトマスクではTOPPANホールディングスや大日本印刷、その基板となるマスクブランクスではAGCやHOYA、フォトマスクやマスクブランクスの検査装置ではレーザーテックが市場を寡占する。
24年7月には、沖縄科学技術大学院大学(OIST)がEUV露光装置の消費電力を10分の1に低減する技術を開発したと発表し、国内外のメディアが大きく取り上げた。
九州大学は同月、EUV照射技術を持つ新会社「EUVフォトン」(福岡市)を設立し、フォトレジストなどの素材開発を支援すると発表した。
米中対立でEUV露光装置を輸入できなくなった中国は、独自に開発を進めているとも噂される。
日本でも加速器による超高出力光源の検討が進むなど、将来のEUV露光技術に日本勢が貢献する余地は小さくないだろう。
(日経クロステック 大下淳一)
[日経クロステック 2024年10月7日付の記事を再構成]
関連リンク
日記記事2024.10.18より引用