燃料電池の基幹部分からニッケルなどを取り出す
京セラは鹿児島大学と共同で、使用済み燃料電池からレアメタル(希少金属)やレアアース(希土類)を取り出す技術を開発する。
電池の基幹部分で発電機能を担う「セルスタック」と呼ぶ構造からニッケルやイットリアなどを抽出する。取り出した素材を再利用すれば電池の製造コストを抑えられるとみて、早期の事業化を目指す。
セルスタックはセラミックス素材を使って強く固めるため分離が難しく、これまで廃棄するか粉砕してコンクリートの主原料の骨材などとして使ってきた。
京セラと鹿児島大は特殊な液体を使ってセラミックスを溶かし、ニッケルなどを分離・回収する。
1年程度をかけて、主に技術の実現性や経済性を調べる。
その後は燃料電池の工場を構える九州地方で事業化を検討する。九州電力が廃止した川内発電所跡地を使うことも見据える。同地では九電などが廃棄物を金属やプラスチックなどに再資源化する拠点にする計画を打ち出している。
レアメタルやレアアースの多くは中国からの輸入に依存する。京セラは取り出した素材を有効活用し、燃料電池の製造コストの引き下げを狙う。
同社は家庭と産業向けに燃料電池を販売しており、将来は使用済みの燃料電池の回収網を広げる。
政府もレアメタルの回収と再利用を企業に義務付ける。まずは蓄電池の製造過程で出る端材などが対象だが、将来的には電気自動車(EV)の蓄電池などにも対象を広げる考えだ。
日経記事2024.10.17より引用