三菱電機の24年4~12月期は円安効果などもあって最高益を更新した
三菱電機が4日発表した2024年4〜12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比33%増の2480億円だった。
この期間として最高益を更新した。市場予想の平均(QUICKコンセンサス、1975億円)を上回った。主力のインフラ事業が好調だったほか、物流子会社の売却益も利益水準を押し上げた。
売上高は6%増の4兆3億円、営業利益は37%増の3035億円だった。24年10月に物流子会社のMDロジス(旧・三菱電機ロジスティクス、東京・中野)の株式の一部をセイノーホールディングスに譲渡した。
営業利益段階で240億円の増益要因となった。期中平均の為替レートが前年同期より9円円安の1ドル=153円となるなど、為替影響は310億円のプラスだった。
営業利益を事業部門別にみると、電力機器や防衛ビジネスを手がけるインフラ事業は前年同期の33倍の476億円だった。
再生可能エネルギーの需要拡大やデータセンターの新設が相次ぎ機器の販売が伸びたほか、受注時における契約条件の改善も進んだ。
空調などを扱うライフ事業は前年同期比46%増の1396億円。米国での省エネ需要を取り込み、欧州市場で空調の販売伸び悩みを補った。
ファクトリーオートメーション(FA)事業の営業利益は51%減の376億円と振るわなかった。リチウムイオンバッテリーなど脱炭素分野での需要停滞が継続した。4日の決算説明会で、増田邦昭・最高財務責任者(CFO)は「利益面で値上げや契約見直しによる効果が出てきたものの、FA事業は依然として厳しい状態が続いている」と述べた。
主力事業は総じて堅調で24年4〜12月の営業キャッシュフロー(CF)は3081億円のプラスとなり、前年同期から1091億円改善した。
買い入れ債務の支払いが減少したこともCFの改善要因になった。手元資金は12月末時点で7339億円と1年前より883億円増えた。
25年3月期の連結業績予想は売上高のみ小幅に上方修正した。25年1〜3月期の想定為替レートは1ドル=155円と従来予想から円安方向に見直した。
24年10月時点では下半期の想定を1ドル=150円としていた。海外からの売上高を円換算した金額が膨らむ。
24年4〜12月期の受注高は前年同期比12%増の2兆5275億円だった。三菱電機は電力機器や車載向けパワー半導体を開発・生産し、政府も工場投資の一部を補助する支援策を打ち出す。
国内では半導体関連や電子部品の企業間の提携が活発になってきている。増田CFOは「すぐに企業間の再編に向けてアクションをとることはないが、多様な選択肢を考えていく」と述べた。
日経記事2025.2.4より引用