7月9日の東京株式市場で日経平均株価が大幅に反発し、史上最高値を4日以来3営業日ぶりに更新した。
終値は前日より799円47銭(2%)高い4万1580円17銭と、初めて4万1000円台をつけた。前日の米株式市場でハイテク株が上昇した流れを受け、主力の半導体関連株などが買われて相場を支えた。
前日の米株式市場でナスダック総合株価指数が連日で最高値を更新し、市場参加者はリスク選好姿勢を強めている。
みずほ証券の倉持靖彦マーケットストラテジストは「企業業績の上方修正期待も意識され、割安感に着目した海外投資家の見直し買いが大型株に入っているようだ」と話す。
相場の地合いが強含む中、市場では大口の海外投資家、オイルマネーの流入観測も浮上。成長戦略に積極的に取り組む銘柄に投資家の物色が集まっている。
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人工知能(AI)関連銘柄を筆頭に日本を代表する主力株へ、海外投資家からの評価は根強い。
T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは「7月初旬の取引時間中には、とある証券会社から主力14銘柄に100億円のオイルマネーが入ったと聞いた。おそらく他の証券会社にも分けて注文を入れているだろう」と明かす。
投資家はAI関連で積極的に商機をつかみに行く貪欲な銘柄を掘り出すのに躍起だ。この日の相場で象徴的な急騰ぶりをみせたのが、レゾナック・ホールディングス。一時前日比326円(9%)高と約2カ月ぶりの高値をつけた。
8日に半導体を最終製品に組み立てる後工程の開発や評価に取り組む日米10社の企業連合を設立したと発表した。
半導体材料メーカーなどが集まり、後工程の技術開発に向けて米テック大手などとの連携を円滑にする。シリコンバレーに開発・評価の拠点を設けることで、情報収集や開発の迅速化につなげる狙いだ。
設立した企業連合「US-JOINT」には、日本からは東京応化工業やTOWAなど6社、米企業は製造装置のKLAなど4社が参画する。東京応化工業は一時5%高、TOWAも一時5%高と約1カ月ぶり高値となった。
「高い技術力を有し、AI事業への投資を収益のテコとして中長期での利益成長をつかみに行っている点を評価した」。
アイザワ証券の三井郁男投資顧問部ファンドマネージャーは約1カ月前にレゾナック株を買ったと明かした。
「収益拡大が加速していくならば、足元のバリュエーション(投資尺度)は気にせず買える銘柄は多い」と話す。
半導体では回路を形成する前工程での微細化は物理的な限界に近づき、生成AIなど向けに複数の半導体チップを組み合わせて高性能化する後工程技術が重要になっている。
大和証券の柴田光浩シニアストラテジストは「後工程の開発は重要度が増す中で順調に進展している」と指摘する。
この日の相場では後工程に強みを持つ銘柄が軒並み高となった。
製造装置大手の東京エレクトロンやディスコなどのほか、基板大手のイビデンが一時4%高、半導体用封止材の住友ベークライトが一時2%高となった。
(河井優香)