「42周年を迎えた、ある～、スモールな製麺所＠東京都板橋区徳丸」の真実の物語です

「42周年のスモールな製麺所＠板橋区徳丸」

今から42年前、日本中がオリンピック・イヤーとして、東京オリンピックに夢中になっていた1964年、東京都の板橋区徳丸に、ある一軒の小さな、小さな、自宅兼製麺所がオープンしました。夫婦で開いた製麺所にはまだ幼い長男（現二代目）がいました。そしてオープンから1年後に私のカミサンが同地で産声をあげました。

お父さんは家族を養う為に、高度経済成長の最中、無我夢中で働きました。朝5時半に起床、早朝から製麺機の前で格闘しながら打ちたての麺を車でお得意先の中華料理店まで配達。1日に2回も3回も麺を打っては配達に行く事もありました。

そんな努力が実を結び？、バブル期には立派なスーツに身をまとった銀行のお偉いさんが融資話に徳丸製麺所を訪れました。銀行のお偉いさんは「あなたが作った麺は美味い。余った資金が銀行に沢山あるので、この製麺所を担保にわが銀行からお金を借りて、もっと大きくて立派な製麺所を建てて、もっと裕福な生活をしませんか？」と誘って来ました。

でもお父さんは絶対に首を縦には振りませんでした。これ以上大きくしたら、麺に自分の目が届かなくなる。それにこんなバブル時代がいつまでも続くものか。お父さんは下手な経済学者よりも鋭い視線で日本経済を日々分析していたのです。

でも製麺所のお仲間の中には銀行の甘い話に目が眩んでか、融資を受けて製麺の事業を拡張。デパートにも麺を卸して一時期、非常に儲かったそうです。ですが案の定、バブルは弾けその製麺所もデパートとの契約を早々に打ち切られ、売り先を失った製麺工場は閉鎖、その方には銀行からの借金だけが残り自己破産されたそうです。

1964年から2006年の今日まで42年間もの間、お父さんが製麺所を営む事が出来たのは「偶然」あるいは「まぐれ」ではないか？そう思われる方もいるかもしれません。

でも私はその考えを否定します。お父さんは麺作りを愛して、また鋭い視点で日本経済を毎日の製麺のように日々分析しながら来たからこその「必然」だと思います。

4人の孫にも恵まれたお父さんが42年間命がけで守ってきたもの、それは「スモール・徳丸製麺所＠板橋区徳丸」という名の、ファミリーみんなの「幸せ（HAPPINESS)」だったと強く思います。

お父さん、70歳のお誕生日、おめでとうございます。

おしまい