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2004年/イタリア/93分
監督:デヴィデ・フェラーリオ
出演:ジョルジョ・パソッティ/フランチェスカ・イナウディ/ファビオ・トロイアー
夜に優しく包まれ、都会に広がる夜の中に一緒に漂う心地よさ。
主人公マルティーノはトリノのモーレ・アントネッリアーナの中にあるシネマ・ミュージアムで夜警の仕事をし、そこに突然飛び込んできたアマンダは24時までハンバーガー・ショップでアルバイトしている。その恋人のアンジェロは車泥棒でその稼ぎ時は夜中である。男2人に女1人の不思議で危うい関係がトリノの夜の世界に展開する。
大都会の夜の景色、暗闇に浮かんでいるように感ずるトリノの街、夜空を彩る頭上に輝くイルミネーションの美しさ、そして何よりマルティーノの働くトリノのシンボル、モーレ・アントネッリアーナの中にあるシネマ・ミュージアム・・・螺旋階段、深海に沈んでいるような建物の雰囲気、そして乗ってみた~いエレベーター
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昼間の景色も何故か夜を感じさせる。マルティーノが愛用している手回しのカメラに映し出されるモノクロの世界、挿入される無声映画の場面、そして寡黙な彼の姿があいまってのことだろうか・・・。
「色々な名作が引用され、映画へのオマージュが捧げられている」ということなので、そうしたものを知っていればまた違った面から観られて楽しみ方も異なっていたかもしれないとは思う。しかし引用・出典がわからない私だが、そういうことを越えて全編通じてその根底に流れている映画に対する温かい思いで胸が温かくなり、映画というものの魅力に触れた喜びを感じて満足した。