恒例となった同展今年も観て参りました。
今年は、我々縄文フリークとしては少々物足りない内容ではありましたが今回新しい視点での「発掘された水中遺跡」として日本近海の水中遺跡に着眼された展示がありました。
エントランス
今回のメイン展示は、徳川幕府のキモイリ旗艦だった「開陽丸」からの遺物展示でした。
開陽丸(出典:WIKIより)
開陽丸は1866年10月オランダでつくられ、1867年3月日本に到着しました。それからその時の政府・徳川幕府の旗艦として働くのですが、徳川幕府が力を失い天皇が政治の実権を握るようになり、徳川の家臣たちは開陽丸を奪い北海道へ逃亡します。その抵抗も長続きせず最後には開陽丸も江差で座礁・沈没したのです。(開陽丸記念館より引用)
何でも10年の歳月をかけ引き揚げられた遺物は3万点を超える数になるそうです。
これほどまでに時間がかかった理由は、効率の悪さと海水ゆえの腐食対策、現状維持など地上での作業とは異なるため試行錯誤での困難な発掘調査だった様です。
その膨大な遺物の中で今回展示されているものは、砲弾やピストル、銃弾、日本刀などの武器から、オランダ人の乗組員が使っていたと見られるスプーンやフォーク、食器などが、かなり良好な状態で展示されていました。
会場内の様子 以前までは、殆どが高齢者だったのがここ数年若い人が多くなって来ている様に思えるのは気のせいでしょうか?
江戸東京博物館 発掘された日本列島2017 開陽丸
(インターネットミュージアムより)
それでは、展示物の中でも気になったものをご紹介します。
深鉢型縄文土器 押出遺跡出土(山形県東置賜郡)縄文前期後半
粘土を紐状に貼付た紋様が特徴的な土器です。
こうしてクローズアップしてみると当時の人が丹精に「粘土状に紐をこね貼り付し紋様を作る」その様が、とてもまざまざと感じられる遺物です。
漆塗り土器(同遺跡出土)なんとこの土器。全体を赤と黒の漆で彩色されているのです。
貝製品 史跡 面縄貝塚出土(鹿児島県大島郡) 弥生時代
用途は装飾用だろうか? 正確で美しい線刻がみごと!
高野遺跡(岩手県宮古市)
縄文土器 同遺跡出土 縄文中期 独特の紋様が素晴らしい。
中里遺跡(神奈川県小田原市中里)
弥生式土器(同遺跡出土)ここまで大胆な文様のある弥生式土器も珍しいのでは?
銅鐸 神明遺跡出土(岡山県総社市)弥生中期
分銅型土製品(同遺跡出土)
祭祀などに使われたものでしょうか?これもまた細かい穿孔やデザインの加工技術がみごとです。
銅鐸片 天満・宮西遺跡出土(香川県高松市)
香川県で初の銅鐸出土だそうです。
同 鳥の線刻絵画が描かれています。
鉄製品 入の沢遺跡出土(宮城県栗原市)古墳時代前期後半
出土された鉄製遺物から、大和政権の勢力が及んだ北限域と考えられているようです。
装飾具 石屋古墳出土(島根県松江市矢田町)古墳時代
頭椎大刀(かぶつちのたち) 根戸船戸遺跡1号墳出土(千葉県我孫子市)古墳時代
形象埴輪 史跡 石屋古墳出土(島根県松江市)古墳時代中期
ここの古墳は、5世紀中頃で国内最古なのだそうです。近畿圏と同時期に出雲地方でも同様な形象埴輪が発見された事実は、かなり重要らしいです。
須恵器・土師器 史跡・名勝 飛鳥京跡苑池出土(奈良県明日香村) 奈良時代
三彩瓦 史跡唐招提寺旧境内出土(奈良県奈良市)奈良時代
三色の釉薬がかけられた瓦です。鮮やかな発色を現在にまで残しています。波状や縞状の塗り分けは唐招提寺独自の文様なのだそうです。
以下からは、各地の水中遺跡からの展示遺物です。
会場風景
江戸東京博物館 発掘された日本列島2017 「発掘された水中遺跡」
(インターネットミュージアムより)
粟津湖底遺跡(滋賀県)
縄文土器 同遺跡出土 興味深い紋様です。
てつはう(鉄砲)史跡 鷹島神崎遺跡出土(長崎県)
火薬とともに鉄片や陶器片も詰められ殺傷能力が高い武器だったようです。現在で言えばクラスタ爆弾ですね。
硯 神津島沖海底遺跡(東京都神津島)江戸時代
関西地方で造られた遺物が多いことから、船が輸送中沈没し残されたものである事は想像出来ます。
日本全国には、46万ヶ所にも及ぶ世界的にも卓越した多さの遺跡があるそうです。
しかしその中で「水中遺跡」として知られているのはわずか387ヶ所だそうです。まだまだ未発掘の水中遺跡が日本近海には眠っているものと思われ今後の発見が待たれます。
参考記事:
・【イベント】発掘された日本列島2016@江戸東京博物館
・【考古学】発掘された日本列島2015
・【考古学】発掘された日本列島2014@江戸東京博物館
・発掘された日本列島2013
・発掘された日本列島2012
・発掘された日本列島2009
・発掘された日本列島2007
・発掘された日本列島2006
今年は、我々縄文フリークとしては少々物足りない内容ではありましたが今回新しい視点での「発掘された水中遺跡」として日本近海の水中遺跡に着眼された展示がありました。
エントランス
今回のメイン展示は、徳川幕府のキモイリ旗艦だった「開陽丸」からの遺物展示でした。
開陽丸(出典:WIKIより)
開陽丸は1866年10月オランダでつくられ、1867年3月日本に到着しました。それからその時の政府・徳川幕府の旗艦として働くのですが、徳川幕府が力を失い天皇が政治の実権を握るようになり、徳川の家臣たちは開陽丸を奪い北海道へ逃亡します。その抵抗も長続きせず最後には開陽丸も江差で座礁・沈没したのです。(開陽丸記念館より引用)
何でも10年の歳月をかけ引き揚げられた遺物は3万点を超える数になるそうです。
これほどまでに時間がかかった理由は、効率の悪さと海水ゆえの腐食対策、現状維持など地上での作業とは異なるため試行錯誤での困難な発掘調査だった様です。
その膨大な遺物の中で今回展示されているものは、砲弾やピストル、銃弾、日本刀などの武器から、オランダ人の乗組員が使っていたと見られるスプーンやフォーク、食器などが、かなり良好な状態で展示されていました。
会場内の様子 以前までは、殆どが高齢者だったのがここ数年若い人が多くなって来ている様に思えるのは気のせいでしょうか?
江戸東京博物館 発掘された日本列島2017 開陽丸
(インターネットミュージアムより)
それでは、展示物の中でも気になったものをご紹介します。
深鉢型縄文土器 押出遺跡出土(山形県東置賜郡)縄文前期後半
粘土を紐状に貼付た紋様が特徴的な土器です。
こうしてクローズアップしてみると当時の人が丹精に「粘土状に紐をこね貼り付し紋様を作る」その様が、とてもまざまざと感じられる遺物です。
漆塗り土器(同遺跡出土)なんとこの土器。全体を赤と黒の漆で彩色されているのです。
貝製品 史跡 面縄貝塚出土(鹿児島県大島郡) 弥生時代
用途は装飾用だろうか? 正確で美しい線刻がみごと!
高野遺跡(岩手県宮古市)
縄文土器 同遺跡出土 縄文中期 独特の紋様が素晴らしい。
中里遺跡(神奈川県小田原市中里)
弥生式土器(同遺跡出土)ここまで大胆な文様のある弥生式土器も珍しいのでは?
銅鐸 神明遺跡出土(岡山県総社市)弥生中期
分銅型土製品(同遺跡出土)
祭祀などに使われたものでしょうか?これもまた細かい穿孔やデザインの加工技術がみごとです。
銅鐸片 天満・宮西遺跡出土(香川県高松市)
香川県で初の銅鐸出土だそうです。
同 鳥の線刻絵画が描かれています。
鉄製品 入の沢遺跡出土(宮城県栗原市)古墳時代前期後半
出土された鉄製遺物から、大和政権の勢力が及んだ北限域と考えられているようです。
装飾具 石屋古墳出土(島根県松江市矢田町)古墳時代
頭椎大刀(かぶつちのたち) 根戸船戸遺跡1号墳出土(千葉県我孫子市)古墳時代
形象埴輪 史跡 石屋古墳出土(島根県松江市)古墳時代中期
ここの古墳は、5世紀中頃で国内最古なのだそうです。近畿圏と同時期に出雲地方でも同様な形象埴輪が発見された事実は、かなり重要らしいです。
須恵器・土師器 史跡・名勝 飛鳥京跡苑池出土(奈良県明日香村) 奈良時代
三彩瓦 史跡唐招提寺旧境内出土(奈良県奈良市)奈良時代
三色の釉薬がかけられた瓦です。鮮やかな発色を現在にまで残しています。波状や縞状の塗り分けは唐招提寺独自の文様なのだそうです。
以下からは、各地の水中遺跡からの展示遺物です。
会場風景
江戸東京博物館 発掘された日本列島2017 「発掘された水中遺跡」
(インターネットミュージアムより)
粟津湖底遺跡(滋賀県)
縄文土器 同遺跡出土 興味深い紋様です。
てつはう(鉄砲)史跡 鷹島神崎遺跡出土(長崎県)
火薬とともに鉄片や陶器片も詰められ殺傷能力が高い武器だったようです。現在で言えばクラスタ爆弾ですね。
硯 神津島沖海底遺跡(東京都神津島)江戸時代
関西地方で造られた遺物が多いことから、船が輸送中沈没し残されたものである事は想像出来ます。
日本全国には、46万ヶ所にも及ぶ世界的にも卓越した多さの遺跡があるそうです。
しかしその中で「水中遺跡」として知られているのはわずか387ヶ所だそうです。まだまだ未発掘の水中遺跡が日本近海には眠っているものと思われ今後の発見が待たれます。
参考記事:
・【イベント】発掘された日本列島2016@江戸東京博物館
・【考古学】発掘された日本列島2015
・【考古学】発掘された日本列島2014@江戸東京博物館
・発掘された日本列島2013
・発掘された日本列島2012
・発掘された日本列島2009
・発掘された日本列島2007
・発掘された日本列島2006
こちらこそすっかりご無沙汰しております。
早速修正致しました。
関東より上は、全く土地勘がありませんf^_^;)
宮古市は岩手だよ