ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

高僧の生まれ変わり チベットの少年

2010-08-07 19:27:55 | Weblog
イザベル・ヒルトン著、三浦順子訳、世界文化社刊

ダライ・ラマ法王によって、パンチェン・ラマの転生者と認定された
ゲンドゥン・チューキ・ニマ少年は、中国共産党によって政治犯とされ、
行方不明のままだ。

いまチベットというと、ダライ・ラマ法王のお人柄によって、
この世の理想郷のように思う人もいれば、
不便できたなく、文化がない落ちこぼれの地方と思う人もいる。

この本は、チベットの近代史を、
パンチェン・ラマという高僧を軸にまとめたノンフィクションだ。

チベットは、仏教の国とはいえ、
人が住んでいるところなわけだから、権力闘争もあれば、生臭な坊主もいる。
そして、中国による侵略は、いまも加速しながら続いている。

パンチェン・ラマは、ダライ・ラマに継ぐ高位の僧で、
ダライ・ラマの転生者の認定にはパンチェン・ラマが、
そして、パンチェン・ラマの転生者の認定にはダライ・ラマが
大きく関わってきた歴史がある。

だから、チベット人の心の支えであるダライ・ラマを徹底的に排除し、
中国共産党の支配を盤石なものにしたい中国にとって、
パンチェン・ラマの掌握は、非常に政治的な意味をもっている。

何が起きているのかは、この本やダライ・ラマ法王日本代表部事務所のサイト、
また多くのチベットサポーターが書いていることなので、ここでは割愛しようと思う。

この本を読みながら、改めて、
よくまあ中国は、過去にあった「周知の事実」すら、堂々と改ざんするよな、と思った。
みんなが知らないようなことを、勝手にでっち上げるなら、まだわかる。
学生時代によくあった話に似ていて、つまり、
「彼に告白されちゃった」と、妄想から言いふらす同級生のようなものだ。

でも、中共がやっていることには、
その人には付き合っている人がいて、
しかも仲のよさをみんなが認めているカップルなのに、
「でもね、彼は本当は私が好きなのよ」と言い張るむなしさのようなものを伴う。
単なる妄想によるストーカー行為だ。

中国と関わりをもつと、同じような「なぜ」によく出会う。
勝手に直近の事実をねじ曲げてくる。
私は、この現象を中国人の大好きな歴史から、
勝手にこれを解釈するようにしている。

中国は、史書がしっかりとまとめられている国だ。
そして、各王朝の歴史は、リアルタイムで記されたものを、
必ず次の王朝が、「これは本当にあった歴史です」と認定することによって、
受け継がれてきている。

その際には当然、勝てば官軍の論理が大きく働いているだろう。
「前の王朝は、こんなことをやりました。
そして最終的に人心が離れてしまったので、私たちが世をただし、
人民を統べる役割を仰せつかることになったのです」と言うために、
史書は最終的にまとめられるからだ。

つまり、いまのオレさまが認めるかどうか、が問題なわけなので、
それは、いろいろな論証が出てきたり、消えたりするだろう。

ダライ・ラマ法王の後継者になりたい中共は、
これから、また、いろいろなことをやってくるだろう。
小さい力だけど、私はここから「否」と言いつづけよう。

梅干し完成

2010-08-07 12:11:59 | Weblog
本日、朝、無事に梅干しの陰干し7日間が終了した。

梅干し完成!


それっぽい見た目になっている。


これから1日1つ食べるとしても、約2ヶ月で食べ終わってしまう。
なんという短い幸せ。

作るのに2ヶ月以上かかったことを思うと、来年はせめて5キロはやろうと思う。
仕事をしながらだと、来年はできるかわからないけど、望みは捨てずにおこう。やはり。

ゴーヤさんもカーテンになり、すくすくと実が育っている。


なんだか、とてもいい夏の休日だ。

さて、これからバランスボールを膨らませる。

優等生について

2010-08-07 01:31:33 | Weblog
どうも私の心は狭いと思う。
昨晩,職場の人と飲みに行った。
知り合って1カ月,共通の話題もまだなく,上辺の話から始まるのは常として,
それでもやはり,居心地が悪いなあ,と思うことが多かった。

一番最初にある人から言われた一言で,おそらく気持が萎えたのだと思う。
大意としては,
「いま付き合っている人とダメになったら,うちの会社にもいい人はたくさんいるからね。
しかも,若い人のお給料は他社と比べてもいいほうだ。
年齢があがるにつれて,証券会社とか商社には負けるのだけど,
会社がなくなることはまずないから,安定している」と。

いま,日本の教育がうみだした優等生が多い職場にいる。
知識があり,節度があり,お給料もよくて余裕がある。
多くの人が,当然のように結婚して子どもを産み,マイホームを購入する。
職場が消えてなくなることも,将来自分の生活が大きく変わることも,
あり得るとは思っているのだろうけれど,あまり切実には感じていない。

だから当然なのかもしれないけれど,
自分の生活は安定して維持・継続できるし,可能な範囲で趣味を広げるのが楽しみ,
といったふうだ。
世界に興味を持っていても,それは旅行の対象に過ぎない。
そこにたとえ民族独立運動があっても,それは「見えない」。
知識としては知っているだろうけど,
自分の生活とは関係のないことだと思っているのだと思う。

日本の優等生は,だから優等生なんだ。
実際、いま勝ち組だから、これこそが豊かさの象徴なのだろう。
そして,だからこそ優等生は,自分と同じような優等生を再生産したがる。
それが安定だから。

なるほど,構造とはこういうものか。
そして,だからここは,一般的にはよい環境なのに,私もそう思うのに,
反比例して,私にとってはとても居心地が悪いのか。

そこは,一度脱落したら,二度と本当には入れない世界。
私には最初から縁がなかった世界なので,これはこれで社会勉強だけど,
このままの生活が続くと,おそらくどんどんつらくなるから,
なにかできる「活動」をさがそう。

ということを、仕事中に眠気覚ましで書いていた。
今日は、梅干しの陰干し7日目。これで完了!

よくやった。