ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

中国の水のバランス

2010-08-12 19:45:12 | Weblog
中国甘粛省チベット自治州で発生した洪水の被害は、
どんどん深刻になっている。
どうやら、強引な森林開発や資源採掘が、
引き金のひとつだと言われているようだ。

黄河は、もともと暴れる川だ。
中国の三皇五帝のひとりで夏朝の創始者と言われる禹は、
黄河の治水に成功した聖人と言われている。
だから、中国のみなさんには、
もう一度自分たちの文明の出発点に立ち返ってほしいと思う。

チベットやモンゴルでは、もともと放牧が主体の生活を営んできた。
彼らの土地は農耕に適さない。
漢族が強引に移住し、農耕地として耕し、
その結果、ますます乾燥した表土が飛んで行ってしまい、塩害が進み、
牧草地としても活用できなくなってしまったところは多い。
これは、いま始まったことではなくて、2000年以上も続く文明の衝突だと思う。
もともと、漢族とモンゴル人の境界線は万里の長城だったんだ。

漢族は、放牧を文明生活ではないと言い切る。
確かに、遊牧民は農家のような冷蔵庫や洗濯機は買わないだろう。
そして、遊牧民のほうがより町文化を必要とする。
冬には魔法瓶が必要になるし、
石けんや日用品を求めに町にやってくることもある。

以前、中国の新聞で、
チベット高原や天山山脈からの伏流水が、
黄河流域の中原地方を潤しているので、
チベットで雨が降らないと、黄砂がひどくなる、
というレポートを読んだことがある。

そして、それらの土地への漢族の移住が進み、
田畑をつくり、工場をつくり、多くの水を使うようになって、
中国の水のバランスは、いま大きく変化している。

良識ある議論が深まり、政策に反映されますように。