私はよく、中国人から歴史問題の議論をふっかけられる。
もちろん初対面の人からだ。
一番印象に残っているのは、むかしむかし、1993年に北京へ留学していた時のこと。
留学先の大学の教学活動で、北京郊外の小学校へ行った。
たしか中学年の教室だったと思う。
教室に入り、生徒たちの机の間に行き、フリートークを通じて交流を深め、
その後、授業の様子を見学する、というものだった。
白人さんたちは、大人気だ。
白人にあこがれる気持ちというのは、日本も中国も変わらない、
と思ってうかうかしていたら、一人の女の子につかまった。
彼女に「あなたは日本人か?」と聞かれ、「そうだ」と答えると、
数人の生徒が寄ってきて「おまえは、歴史を知っているのか!」と、結構やられた。
どこまで反論しようか考えながらチラリと先生のほうを見ると、
女性の先生は、とっても誇らしそうな満面の笑みで生徒たちを見ていた。
その次は、2000年に四川省と雲南省をぶらぶらしていたときのことだ。
地元の人が利用する長距離バスに乗っていたら、運悪く隣に、人民解放軍の兵士が来た。
そのとき彼は20歳で、兵士になってから2年経ち、
甘粛省にある実家で休暇を過ごし、これから任地に戻るところだと言っていた。
5時間くらい隣に座っていれば、1時間が経ったころには、
当然、私が日本人だということがバレる。
さっそく歴史について、彼の大講釈が始まった。
話を聞いていると、どうも1945年よりも前の話を聞いているようだった。
「僕は日本のことをよく知っているよ」とスタートした話で、
彼の口から出てきた言葉は、「日本帝国主義」「大和魂(これなんかは日本語で言ってくれた)」
「日本は今でもアジアを植民地化したがっていて、アメリカと一緒に戦争を仕掛ける気だ」などなど。
なるべくやんわりと反論してみた。
「いまの日本は、そんなんじゃないよ。日本は民主主義の国。
それに、大和魂なんて、日本の若者は自分にあるとは思ってないよ」と。
でも、猛烈に反論されるので、うんざりしながら、
「あなたは日本に来たことがある? ぜひ一度来てね。
そうしたら、いまの日本人が戦争をしたがっているなんて
まったくの誤解だとわかってもらえると思うから」と言った。
それでも、やっぱり猛烈に反論されるので、
「あなたが60年も前の日本の話しかしなくて、それを今の日本もそうだと言い張り、
私の話を聞こうとしない以上、議論にならないから、もう私はこの話はしない。
だいたいあなたは当時の日本もいまの日本も、ほとんど知らないでしょう」と言って、
その後、いっさい口を開かなかった。
とにかく、こんな経験がたくさんある。
「あなたたちは、昔の日本の真似をして、チベット、ウイグル、モンゴルを弾圧してるんだ。
文革では漢族もたくさん犠牲になったんだっけね。
日本はもうやめたけど、まだ中国はやってるんだね」と、
イヤミたっぷりに言ったこともあるけれど、殴られそうだったから、もう言わないことにした。
という話を友人にすると、
中国語学習仲間からも、「そんな議論、私はふっかけられたことないけど」と言われる。
どうやら、ふっかけられやすい人と、そうではない人がいるらしい。
あるとき初対面の中国人が「日本帝国主義」について私と議論したがったので、いっそのこと訊いてみた。
「中国語を話す日本人でも、こういう話をふっかけられたことがない、という友人がいる。
なぜあなたは、私とこの話をしようと思ったのか、まずそれが知りたい」と言ったら、
じっと私の顔を見て、その話題をひっこめてくれた。
ということで、その後は、これで切り抜けている。
まあ、そんなおかげで、中国人がどんな歴史認識なのか、
それが日本人による日中戦争の理解とどれだけ離れているのか、なんとなく知っている。
もちろん、中国に侵略したとき、いろいろと悪いことをしたことは認識してる。
でも、中国人の言い分を聞くと、「えっ、なんだか違うような気がするんだけど」と、
言いたくなることが結構ある。
いちいち反論しても平行線で意味がないから、そんな疲れることはしないけど、
一度整理しようと思って、この本を読むことにした。
『逆検定 中国歴史教科書―中国人に教えてあげたい本当の中国史』
井沢元彦著、金文学著、祥伝社黄金文庫刊。
コンパクトにわかりやすく、よくまとめてあると思った。
中国に修学旅行へ行って、自虐的な歴史勉強をさせられてしまう高校生は、
ぜひ読んでおくといいと思う。
中国人は、日本人を残虐だと言うけど、私は、中国人のほうがよっぽど好戦的だと思う。
そんなことが、とてもよくわかるし、
中国人が、中国共産党の都合によって、どんな歴史を正史として学んでいるかがわかるから、
わかりあえなくて当然だし、ゆるしてもらえなくても当然だと思える。
と、ちゃんと知って、なおかつ感情的な部分は割り切ったところで、
もういちど、日本は日本なりに歴史を見つめ直そう。
もちろん初対面の人からだ。
一番印象に残っているのは、むかしむかし、1993年に北京へ留学していた時のこと。
留学先の大学の教学活動で、北京郊外の小学校へ行った。
たしか中学年の教室だったと思う。
教室に入り、生徒たちの机の間に行き、フリートークを通じて交流を深め、
その後、授業の様子を見学する、というものだった。
白人さんたちは、大人気だ。
白人にあこがれる気持ちというのは、日本も中国も変わらない、
と思ってうかうかしていたら、一人の女の子につかまった。
彼女に「あなたは日本人か?」と聞かれ、「そうだ」と答えると、
数人の生徒が寄ってきて「おまえは、歴史を知っているのか!」と、結構やられた。
どこまで反論しようか考えながらチラリと先生のほうを見ると、
女性の先生は、とっても誇らしそうな満面の笑みで生徒たちを見ていた。
その次は、2000年に四川省と雲南省をぶらぶらしていたときのことだ。
地元の人が利用する長距離バスに乗っていたら、運悪く隣に、人民解放軍の兵士が来た。
そのとき彼は20歳で、兵士になってから2年経ち、
甘粛省にある実家で休暇を過ごし、これから任地に戻るところだと言っていた。
5時間くらい隣に座っていれば、1時間が経ったころには、
当然、私が日本人だということがバレる。
さっそく歴史について、彼の大講釈が始まった。
話を聞いていると、どうも1945年よりも前の話を聞いているようだった。
「僕は日本のことをよく知っているよ」とスタートした話で、
彼の口から出てきた言葉は、「日本帝国主義」「大和魂(これなんかは日本語で言ってくれた)」
「日本は今でもアジアを植民地化したがっていて、アメリカと一緒に戦争を仕掛ける気だ」などなど。
なるべくやんわりと反論してみた。
「いまの日本は、そんなんじゃないよ。日本は民主主義の国。
それに、大和魂なんて、日本の若者は自分にあるとは思ってないよ」と。
でも、猛烈に反論されるので、うんざりしながら、
「あなたは日本に来たことがある? ぜひ一度来てね。
そうしたら、いまの日本人が戦争をしたがっているなんて
まったくの誤解だとわかってもらえると思うから」と言った。
それでも、やっぱり猛烈に反論されるので、
「あなたが60年も前の日本の話しかしなくて、それを今の日本もそうだと言い張り、
私の話を聞こうとしない以上、議論にならないから、もう私はこの話はしない。
だいたいあなたは当時の日本もいまの日本も、ほとんど知らないでしょう」と言って、
その後、いっさい口を開かなかった。
とにかく、こんな経験がたくさんある。
「あなたたちは、昔の日本の真似をして、チベット、ウイグル、モンゴルを弾圧してるんだ。
文革では漢族もたくさん犠牲になったんだっけね。
日本はもうやめたけど、まだ中国はやってるんだね」と、
イヤミたっぷりに言ったこともあるけれど、殴られそうだったから、もう言わないことにした。
という話を友人にすると、
中国語学習仲間からも、「そんな議論、私はふっかけられたことないけど」と言われる。
どうやら、ふっかけられやすい人と、そうではない人がいるらしい。
あるとき初対面の中国人が「日本帝国主義」について私と議論したがったので、いっそのこと訊いてみた。
「中国語を話す日本人でも、こういう話をふっかけられたことがない、という友人がいる。
なぜあなたは、私とこの話をしようと思ったのか、まずそれが知りたい」と言ったら、
じっと私の顔を見て、その話題をひっこめてくれた。
ということで、その後は、これで切り抜けている。
まあ、そんなおかげで、中国人がどんな歴史認識なのか、
それが日本人による日中戦争の理解とどれだけ離れているのか、なんとなく知っている。
もちろん、中国に侵略したとき、いろいろと悪いことをしたことは認識してる。
でも、中国人の言い分を聞くと、「えっ、なんだか違うような気がするんだけど」と、
言いたくなることが結構ある。
いちいち反論しても平行線で意味がないから、そんな疲れることはしないけど、
一度整理しようと思って、この本を読むことにした。
『逆検定 中国歴史教科書―中国人に教えてあげたい本当の中国史』
井沢元彦著、金文学著、祥伝社黄金文庫刊。
コンパクトにわかりやすく、よくまとめてあると思った。
中国に修学旅行へ行って、自虐的な歴史勉強をさせられてしまう高校生は、
ぜひ読んでおくといいと思う。
中国人は、日本人を残虐だと言うけど、私は、中国人のほうがよっぽど好戦的だと思う。
そんなことが、とてもよくわかるし、
中国人が、中国共産党の都合によって、どんな歴史を正史として学んでいるかがわかるから、
わかりあえなくて当然だし、ゆるしてもらえなくても当然だと思える。
と、ちゃんと知って、なおかつ感情的な部分は割り切ったところで、
もういちど、日本は日本なりに歴史を見つめ直そう。