東京国立博物館で開催されている法然と親鸞展に行ってきました。
展示されている親鸞聖人筆の阿弥陀経註には多くの人から「凄い」の声があがっていました。
又、法然上人伝絵詞(ことば)は、親鸞聖人の曾孫が書いたという詞書とユニークな絵がとても印象的でした。
仏像の前で、長い間じっと立ちつくしている40歳代と思われるスーツ姿の男性、両手を合わせたまま頭を垂れている女性、皆それぞれの思いを抱えて生きているのだと思うと、胸の中で熱いものがこみ上げてきました。
私も、人には言えない苦労をいくつも乗り越えてきました。
そしてその苦悩の中、心のより所としてめぐり会ったのが仏教の世界でした。
この世界にめぐり会う事がなければ、私は別の人生を歩んでいたと思います。
これが良かったのか、悪かったのかは今でも分かりませんが……。
今回、私の目を強く引き付けたのは、法然上人の一周忌に造立したとされ、像内に4万6千人ほどの名が記された結縁交名を納めているという阿弥陀如来立像です。
言葉では言い表すことの出来ないほどの、慈悲の心と慈愛のまなざしに、とても穏やかな気持ちにさせられました。
今でも悩みは尽きる事はありませんが、仏像と向きあうとき、とても素直な気持ちになれる自分がいます。
当日は、小雨模様にも関わらず会場は大混雑でした。
今、なぜこれ程までに仏教への関心が高まっているのでしょうか?
明日も見えない今に、癒しや救いを求めたり、闇の中で一筋の光を探ししているのかも知れません。
上野公園のモミジやイチョウは、小雨に濡れてしっとりとした輝きを放ち、晩秋の美しさを漂わせていました。