1964年の東京オリンピックの時、当時中学生だった私は、学校に割り当てられた入場券の抽選に当たり、陸上競技を観戦にいきました。
男子100m走の準決勝で飯島秀雄選手に熱い声援を送った思い出があります。
そして、4年前の北京オリンピック開催を真近に控えたある日、当時勤務していたホテルで、担当者から突然に「これから体操選手の壮行会があり、日の丸に寄せ書きをするので、上のほうに大きく必勝と書いてもらえますか」と言われました。
とりあえず筆と墨を持って会場へ行くと、いくつも並べられたテーブルの上に新聞紙がひきつめられ、その上に畳2.5畳ほどもある大きな日の丸が置かれていました。
さあ、困りました。 普段使う事がないのでそんなに大きな筆は用意してきていません。
仕方なく、持ち合わせている中で一番太い筆を使い、何とか書き上げましたが、ほとんどペンキ屋さん状態でした。
そのオリンピックののさなか、私は唾石症という病気で石を取り除く手術を受け入院中でした。
病院のベッドの上で見ていた北京からのテレビ中継に、一瞬目が留まりました。
内村航平選手が勝利のインタビューで、床に引きずるようにして両肩から羽織っていたのが、あの日の丸でした。
思わず「私の書いた必勝だ!」と声に出していました。
それ以来、すっかり内村選手のファンになりました。
今年のロンドンオリンピックでも、内村選手や体操界の活躍に大いに期待をしていました。
予想通り、素晴らしい技と美しさで金メダルを手にした内村選手には本当に感動しました。
他の選手と共に、4年後のリオデジャネイロに繋げてほしいと願っています。
私も、これからはいつでも対応できるよう、特大筆を準備しておく事にします。