週刊 最乗寺だより

小田原のほうではなく、横浜市都筑区にある浄土真宗本願寺派のお寺です。

勝田山 最乗寺
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おはぎ

2012-03-24 02:12:04 | ひとりごと

お彼岸が終わりました。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、今年は何とも言えない陽気が続きましたね。

さてさて、お彼岸というと見かける「おはぎ」、皆さんは食べられましたか?
私も小さい頃は、中のツブツブ感が苦手だったのですが、今は大好きなのでしっかりいただきました。

今では通年で「おはぎ」と言いますが、同じ食べ物でも春のお彼岸にいただくのは「ぼたもち」です。
これは春に咲く牡丹の花を見立てられているためで、漢字で書くと「牡丹餅」になります。

おはぎ」は漢字で書くと「お萩」。
これもやはり秋にさく萩の花に見立てられているためで、9月のお彼岸にいただくのが「おはぎ」になります。

じゃあ夏と冬はどう言えばいいんだと思われませんか?
面白いことに、きちんと名前があるんです。

夏は「夜船」で、冬は「北窓」といいます。

もともとおはぎは、杵でつくお餅と違って、炊いた(蒸した)もち米を半分潰した状態にすれば作れます。
なので、周囲に音が漏れることもありません。

  いつ搗(つ)いたか分からない → 搗き知らず

夏の夜船は、「搗き知らず」を「着き知らず」と読み替えるところに派生します。
夏の夜に、静かに着岸する船をイメージしましょう。

そして、冬の北窓は、「搗き知らず」を「月知らず」に読み替えます。
北の窓からは、東から昇り西に沈む月を見ることはできません。
北と冬の関連は、それぞれが同じ水に属する季節と方位となる五行説がもとにあるのかは定かではありませんが、同じく寒さを感じさせる言葉ですね。

春は牡丹餅、夏は夜船、秋はお萩、冬は北窓。
季節によって名前を変えるのは、日本が四季に恵まれていることの証です。
そして、その移り変わりを受け流すのではなく、機敏に察する情緒を「おはぎ」から感じました。

ちなみに、お中日の初参式にお出ししたのは、おはぎではなく冷たい白玉に温かい粒餡をかけたもの。

     ← これは私のオヤツ用 温×温(笑)
うーん、情緒が足りなかったかぁ。