昨年来、税務署の酒の小売価格の調査(売価が原価+販管費より安くないか)に振り回されていることもあって
ウチの残り少ない伊万里の紹介が滞っておりますが、なんとか更新にこぎつけました。
以前も書いたように思いますが、そば猪口は伊万里の中でも最もディープなカテゴリーで(少なくともワタシはそう思う)
そば猪口専門のコレクターも少なくないようです。そんなこともあって、ウチにはそば猪口は数個しかないんですが
今回はそんな数少ないそば猪口の中から、一番古そうな品を見つけてきました。
「染付菖蒲文そば猪口」
ちょっと判りにくい画像ですが、二方を圏線で区切り、その中に菖蒲(?)を描いており
直径7cm、高さ5.7cm、高台径が4.3cmですので、やや小ぶりなそば猪口ということになるでしょうか。
一般的には「初期手」と呼ばれるタイプの品だとは思いますが、なにせそば猪口に関してはほぼ素人ですので、判然とはしません
見込み中央には、元禄~享保期に見られる、こんにゃく印判による五弁花が絵付けされており、縁の内側は薄濃みの中に丸が並んでいます
見ての通り、縁の部分にホツのある傷物ですが、そば猪口に思い入れのないワタシには十分だったりします。
さて、この品の「初期手」たる所以ですが、高台部分を見ると判ります
いわゆる「上げ底」で、底の部分が厚く成形されています
さらに古い手になると、生掛けだったりしますが、この品は生掛けではありません。
そば猪口の場合、生掛けだからといって江戸初期(1620~50年代)に焼かれたものではなく
その多くは元禄~享保期に焼成された品だと言われています。ワタシのそば猪口に対する知識はそんなものですが
この品が「回想の古伊万里4」で紹介した「色絵花文そば猪口」とさほど違わない時代の品だと思うと
直径10cmもある大振りなそば猪口は「向付」だったのでは、と思わざるを得ません。
厚底の上げ底。初期のそば猪口ならぬ、そば猪口の初期物だそうですが、ややこしいですね(^^;
これくらいの品になると、さすがに風格がありますね。見込みの蒟蒻印判五弁花も実に堂々としています。
その後も、そば猪口は人気が高く、研究も進んで、この手のものは、古伊万里の中での位置付けとしては、江戸中期で、初期のそば猪口ということになったようですね(古伊万里全体の中では、そのように位置付けるのが正しいかどうかはともかく、、)。
私には、「上げ底で厚底」or「高台付」そば猪口=高額という昔の思い入れがありますので、この手のものが安く登場してきますと、ついつい買ってしまうんです(~_~;)
ま~、伊万里の初心者の頃はその怪しさゆえに手を出せなかったのは確かです
実際、この手は市場価格が高かったようで、骨董市で贋作を掴まされることもあったようです。
そば猪口にハマらなかったのは、幸運だったのかも知れません。
上げ底と高台付き、さらにはこんにゃく印判などは高値の華だったように記憶しています。
一個くらいは欲しいものだと思い、傷物を購入した次第ですが
そば猪口は数集めてなんぼというジャンルであることを痛感する結果となりました。
ワタシも高かった時代のトラウマがあって、そば猪口には手が伸びません。