おしゃべりピアノの今日の一言♪

考えたこと感じたことを 気ままに徒然に〜

感激・興奮・そして…感無量…

2013年07月16日 | ピアノ
まだ興奮状態がおさまらず…そして、昨日から解禁したアルコールが少々入っているので、支離滅裂の文章になるかもしれませんこと、お許し下さいませ。

ついに……終わりました!!!

今回は今まで生きてきた生涯の中で、もしかしたら一番苦しかったかもしれません。もちろん音大受験より…です。というのも、たった3ヶ月あまりであのチャイコフスキーを仕上げるなんて無謀すぎる、でも挑戦したい、でも果たして今の自分にできるのか…の繰り返しだったから…。3ヶ月とはいえ、ふだんはほとんど教える時間で終わってしまう私は、学生のように毎日練習できるわけではなく、思うように練習できるのは週に2日、あとはレッスンの合間にちょこっと触る程度では、正味1ヶ月もなかったかもしれません。

最初にグリーグから曲目がチャイコフスキーに変更を言われたときは、「すみません!1週間だけ待って下さい」とお願いし、その次の日から1週間で全楽章をある程度のテンポで弾けることを目標に譜読みに励み、そしてCDを聴きの繰り返し…
その時点ではまだ間に合うのかはなはだ不安ではあるものの、あまりにも美しい旋律に心が奪われ「これは、全てを犠牲にしても、この3ヶ月で仕上げてみせるぞ~」という意気込みのもと、団長さんに「チャイコフスキーでお願いします!」と返事をした。

そして1ヵ月後、「う~ん、まだチャイコなのかチャコちゃんなのか(あっ、失礼!)わからない」状態。譜読みは終わったものの、アンプはまだ…怪しい…

そして2ヵ月後、ザラフィアンツ先生に聴いていただくと~「う~ん…ひどい」←ときっと思われたに違いない…何しろ、ロマン派のようでありながら、ベートーヴェンのように全ての音をきちっと鳴らし、しかも叙情的に歌いつつ少しのミスタッチも許されない曲だから、私のように適当に流れては全然、ロシア人の先生からご覧になったら、ダメ!100年早い!と思われたに違いない…

そして3ヵ月後、そろそろ野木響と初あわせ。この時が、一番緊張した。
何しろ、久しぶりにアップライトを弾いた感触があまりにも普段と違いすぎて、手も譜面台にぶつかりそう、楽譜は風にあおられてピラピラ飛び、音はその時点ではCDから聴こえなかった音もいろいろ聴こえ、もうパニックで足ががたがた震えた…
そして、それから毎週、土曜日7時になると、エニスホール方向に向かって車を飛ばす日々が続き、それと同時に毎回、人前でさらされる自分のピアノがあまりにもなさけなくて、もしかしたら過敏性大腸炎になってしまったのではないかと思った。

そして7月。もう、絶対絶命。オケのみんながミスったところで、それは全然気にすることではない、でも、もし私がミスったら…せっかくの定演が台無しになってしまう。もしかしたら、野木響の運命まで…と思ったら、もうどうにも精神状態が不安定になった。
じゃあどうする?でも、チャイコを弾きたかったんでしょ?だったら練習しか方法はないでしょ?と自分に言い聞かせ…
そこから1週間が自分でもたまげるほど練習の鬼になった。ちょうど、最後の1週間だけはレッスンをお休みにさせていただいたので、毎日、まず学生時代の試験のときのように、10時間練習設定をした。ロシア人は手が大きいから、いくら私の手が日本人離れしたほど大きくてもまだ足りない…手を無理に広げてオクターブばかり練習すると腱鞘炎になりそうだし、小指は使いすぎてだんだん豆ができてきた…
ただ、それにしても、チャイコの美しい旋律に触れるたびに心が奮い立ち、結果的には10時間弾いてもまだ足りない、電流流れすぎで針が振り切れたような状態が続く…梅雨が明けたばかりだというのに今年の猛暑は凄すぎる…

そして、少しづつ落ち着いてオケの音にも慣れてきたのがリハーサル直前。でもこの時も自分の中では、最高にできるか暗譜を失敗して楽譜をとりに戻る最低になるかの二者択一しかないほどの危機感、スリル満点の状態。オケはかなりよく仕上がってきている、だったら、自分がどう弾くかではなく、お客様に「こんなに素敵な曲があるんですよ!皆さんにバレエを観ていただくように、物語を読むように、音楽を奏でてみよう」そんな前向きな姿勢のほうがよっぽど楽しんでいただけるのでは?と考え方を変えることにしてみた。

そして開演。本番。思っていたよりす~っと自然に音楽は流れ始めた…
必死にかじりつき、でも、ずっとこの曲が好き、ピアノが好きという気持ちが伝わるように全身をできるだけ集中して演奏した…時折、オケと初めて一体になれた、そんな感情の交錯に痛いほど敏感になる…そして、第3楽章クライマックスでは、かつてないほどの高揚感と喜びに溢れる音、音、音…で会場を埋め尽くすことができた!
すごい!野木響!がんばった、オケも私も………

舞台には、FさんとKさんが花束を持って駆け寄ってきてくれた。2人とも、涙ぐんでいる様子を見て私も泣きそうになった…この数ヶ月、仕事以外は全てチャイコに費やしてきた時間が走馬灯のように流れた…
なんだか、拍手がいっぱい続いている、これはオケに送られてる拍手でしょ?と思いつつ、再度舞台に出ると、客席前方から嬉しそうなお客様の「アンコール、アンコール!」という声が笑顔と共に響いている…これって、もしかして私に?

そうなると、またアルコールならいつでも飲めるがアンコールは練習していないと弾けない…にも関わらず、せっかくアンコール用の照明も考えていただいているのだから~とこれまた賭けに出る勝負で、突然カンパネラを弾き始めた…うわ、スポットライトだ!
しかし、疲労困憊の指は、感情だけではコントロールできない…最後の最後は、もう10本の指が拳骨の塊のようになり、あぁ~おしまいかぁ~~~~~~というところで、曲は終わった。
またまた、予想外の拍手。なんだか、嬉しいような申し訳ないような…でも、大ホールでほぼ満席のお客様に聴いていただけるなんて、自分ひとりの力では絶対にできることではない。この日のことは、きっとこれからも、何度も振り返ることになると思う…

演奏会前日、当日、そして今日とまだ興奮冷めやらず、目が覚醒してなかなか眠れないが、明日からはいよいよレッスンも再開。生徒さんからは、またたくさんのお花をいただき感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとう!
そして、これからも、やっぱり音楽って素晴らしい!それを1人でも多くの方に伝えられるように、頑張りたい。

そして、最後になりましたが…

☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・

野木響のみなさまへ(昨日の打ち上げではちょっと恥ずかしくて言えなかったのですが)

このような素晴らしい舞台に出演させていただき、本当に感謝でいっぱいです。
入場無料で、たくさんの方々に素晴らしい演奏をお届けしたい、この時代、そんな理想はあってもなかなかできることではありません。私の友人、知り合いの中にも「ちらっとポスターを見かけたから入ってみたら、とても感動した…」そんなメールもいただきました。そう、クラシックってそこが大切だと思います。そのふと入って聴いた、そのことがきっかけでどんな素晴らしい音楽の道が開けるか、それは未知数です。
そして、音楽の豊かさは、元気を失った心も癒してくれます。その美しい幸せをたくさんの方々にお届けできる、って、全国でもしかしたらたった1つ…ではないでしょうか?
これからも、ますます発展されることと思います。たくさんの素晴らしい曲を、そしてかけがえのない一時を、感動と共にお届け下さい!期待しています!
そしてまたいつの日か…一緒に演奏させていただけるように、また私も一歩づつ頑張ります。本当に…

ありがとうございました~♪