白衣の天使のような優しい看護婦さんへの期待が見事に裏切られ、腕の筋肉が黒いTシャツの袖からはみ出しそうなマッチョな筋肉マン看護夫が案内してくれた先は診察用の簡易ベッド。そこで待つこと10分程度で、今度は中肉中背の、40台半ばと思われる、いかにも外科医っぽい風貌の担当の先生が登場したので一安心です。
「一番最後に打った破傷風予防注射は、いつ?」いきなりのご下問です。ええっ!?注射していないとヤバイの? 動揺が走ります。戦後のゴタゴタの時期に幼児期を過ごした私には、いわゆる三種混合の予防注射だってまともに打ったのかどうかも定ではないし、小学校時代のツベルクリン注射くらいしか予防注射の記憶はありません。
私の動揺を見透かして、私の気持ちを和らげようとしたのか、先生は「イタイ?」と日本語で訊くではありませんか。「ううん、痛くはない。カユイの」。サイパンで9年間過ごした時に覚えた日本語を交えて訊く先生に、ある種のユーモアを交えたつもりで応えましたが、頬は引きつっていたに違いありません。
足の裏を押しながら触り、一通りのチェックを済ませた先生の診断は:
「踏んだ釘の傷跡近くに確かに腫れが認められるが、症状からは破傷風の可能性は少ないと思われる。腫れの原因を特定できないので、とりあえず破傷風予防注射をうち、処方する抗生物質を服用して様子を見よう。発熱、患部の変色、脱力感の増幅等の悪化症状が出ない限り、再度の来院は必要なし。念のため血液検査もやっておきましょう。」
と、こんな内容でした。(と、思います)
先生が退室した後、何がどんな順序で起こるのか想像もつかないまま、ベッドに横になっていると、先ほどのキンニクマンが、あのゴ太い指先に小さな注射針と、更に小さな錠剤を持って現れ、か細い私の上腕部に無造作にブスッと破傷風予防注射を刺しながら、「これは抗生物質です。これを飲んで様子を見ます」。ここまでは先生の診断どおりで問題なしです。「ところで、同じ抗生物質を処方するって先生言ってた?」と訊くではありませんか。「はあああっ?」そんなこと俺に聞くなよ!先生に確かめてよっ!質問の趣旨の理解に苦しんで私が答えを模索している間に、カーテン越しの隣のベッドで痛さをこらえているはずの、先ほどの口の周りに怪我して碌にしゃべれないお兄ちゃんが「フーフン」と応えてくれました。閑に任せて私の診断結果を傍受してくれていたようですね。裏返せば、プライバシーなんて無いんです。
マッチョが引き下がって、今度こそは正真正銘の白衣の天使が採血に来ましたが、人の血だけサクッと採ってササッと部屋を出て行ってしまいました。天使はきっと忙しいんですね。それにしても天使は白衣着けているのに、なんでマッチョは黒のTシャツなんだ?謎です。次のステップに関する説明が無いままに、ベッドに横になってこの謎解きに取り組んでいる間に、いつの間にか眠りに落ちたようです。待合室で待機していた女房と友達夫婦の3人が気を揉んでくれていた、その真っ最中にノー天気に居眠できたのも、どうやら「シロ」らしいとの診断のお陰であったのでしょう。
居眠り時間を含めて病室滞在時間がおよそ一時間半。最後にマッチョが再び登場して、今日の処置内容をメモしてくれたうえに抗生物質の処方箋を発行してくれたのです。血液検査の結果にもサット目を通し、「それぞれの数値は、破傷風菌の影響があるようには見られない。抗生物質飲んで、患部を清潔にして、お大事に!」と、言うこともやることも看護士の上を行くようです。結構やるじゃん。でも、お前の正体ナンなんだ?
午後9時から深夜12時までの、救急病院初体験3時間コースの報告を終わります。
抗生物質を飲み始めて早5日が過ぎました。体温は平熱、足の腫れは引き、患部の変色は認められません。どうやら完全に「シロ」のようです。ご心配頂き、ダラダラと書いた日記にお付き合いいただき、有難うございました。
ダルさがあるとすれば、それはもって生まれたズボラゆえの無力感、脱力感で破傷風菌を責めることは出来ません。
それにしても、日本とのやり取りでは今回もスカイプが大活躍してくれました。スカイプから固定電話にかける「スカイプアウト」で、日本との国際電話代が殆んどタダ同然であったことには感動しました。
「一番最後に打った破傷風予防注射は、いつ?」いきなりのご下問です。ええっ!?注射していないとヤバイの? 動揺が走ります。戦後のゴタゴタの時期に幼児期を過ごした私には、いわゆる三種混合の予防注射だってまともに打ったのかどうかも定ではないし、小学校時代のツベルクリン注射くらいしか予防注射の記憶はありません。
私の動揺を見透かして、私の気持ちを和らげようとしたのか、先生は「イタイ?」と日本語で訊くではありませんか。「ううん、痛くはない。カユイの」。サイパンで9年間過ごした時に覚えた日本語を交えて訊く先生に、ある種のユーモアを交えたつもりで応えましたが、頬は引きつっていたに違いありません。
足の裏を押しながら触り、一通りのチェックを済ませた先生の診断は:
「踏んだ釘の傷跡近くに確かに腫れが認められるが、症状からは破傷風の可能性は少ないと思われる。腫れの原因を特定できないので、とりあえず破傷風予防注射をうち、処方する抗生物質を服用して様子を見よう。発熱、患部の変色、脱力感の増幅等の悪化症状が出ない限り、再度の来院は必要なし。念のため血液検査もやっておきましょう。」
と、こんな内容でした。(と、思います)
先生が退室した後、何がどんな順序で起こるのか想像もつかないまま、ベッドに横になっていると、先ほどのキンニクマンが、あのゴ太い指先に小さな注射針と、更に小さな錠剤を持って現れ、か細い私の上腕部に無造作にブスッと破傷風予防注射を刺しながら、「これは抗生物質です。これを飲んで様子を見ます」。ここまでは先生の診断どおりで問題なしです。「ところで、同じ抗生物質を処方するって先生言ってた?」と訊くではありませんか。「はあああっ?」そんなこと俺に聞くなよ!先生に確かめてよっ!質問の趣旨の理解に苦しんで私が答えを模索している間に、カーテン越しの隣のベッドで痛さをこらえているはずの、先ほどの口の周りに怪我して碌にしゃべれないお兄ちゃんが「フーフン」と応えてくれました。閑に任せて私の診断結果を傍受してくれていたようですね。裏返せば、プライバシーなんて無いんです。
マッチョが引き下がって、今度こそは正真正銘の白衣の天使が採血に来ましたが、人の血だけサクッと採ってササッと部屋を出て行ってしまいました。天使はきっと忙しいんですね。それにしても天使は白衣着けているのに、なんでマッチョは黒のTシャツなんだ?謎です。次のステップに関する説明が無いままに、ベッドに横になってこの謎解きに取り組んでいる間に、いつの間にか眠りに落ちたようです。待合室で待機していた女房と友達夫婦の3人が気を揉んでくれていた、その真っ最中にノー天気に居眠できたのも、どうやら「シロ」らしいとの診断のお陰であったのでしょう。
居眠り時間を含めて病室滞在時間がおよそ一時間半。最後にマッチョが再び登場して、今日の処置内容をメモしてくれたうえに抗生物質の処方箋を発行してくれたのです。血液検査の結果にもサット目を通し、「それぞれの数値は、破傷風菌の影響があるようには見られない。抗生物質飲んで、患部を清潔にして、お大事に!」と、言うこともやることも看護士の上を行くようです。結構やるじゃん。でも、お前の正体ナンなんだ?
午後9時から深夜12時までの、救急病院初体験3時間コースの報告を終わります。
抗生物質を飲み始めて早5日が過ぎました。体温は平熱、足の腫れは引き、患部の変色は認められません。どうやら完全に「シロ」のようです。ご心配頂き、ダラダラと書いた日記にお付き合いいただき、有難うございました。
ダルさがあるとすれば、それはもって生まれたズボラゆえの無力感、脱力感で破傷風菌を責めることは出来ません。
それにしても、日本とのやり取りでは今回もスカイプが大活躍してくれました。スカイプから固定電話にかける「スカイプアウト」で、日本との国際電話代が殆んどタダ同然であったことには感動しました。
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