今日は物語のために作曲された曲集を1つご紹介します。
朗読とピアノのための音楽童話
「こいぬのうんち」
作曲 寺嶋陸也
文 クオン・ジョンセン
絵 チョン・スンガク
訳 ピョン・キジャ
(全音楽譜出版社)
韓国の同名の絵本に曲をつけたものです。朗読の間に演奏がはさまるような感じになっていますが、朗読と演奏が同時進行する場面も何か所かあり、「朗読とピアノのアンサンブル」といった感じです。
お話のおおまかなあらすじはこうです。こいぬのうんちは、すずめから「うんちだ。きたねぇ。」と言われショックをうけます。春になってこいぬのうんちのそばにたんぽぽの芽が出て、たんぽぽがきれいな花を咲かせるためには、水と陽の光ともう1つ必要なものがある。それはうんち君がとけて肥やしになってくれることだ、と言います。こいぬのうんちはとても嬉しくなり、たんぽぽの芽をぎゅっと抱きしめたまま雨にうたれ、とけて肥やしになりました。そして、暖かい春の日にたんぽぽの花が咲きました。
演奏してみると、物語が映像となって目の前に広がってくるような曲ばかりでした。テクニック的にはそれほど難しくはなく、子どもの小さい手でも演奏できるように作られています。音符もあまり多くなくシンプルなのですが、シンプルだからこそ、想像力をはたらかせる余地がたくさんあるのだと思います。
昨年のミニコンサートで演奏しましたが、とても楽しい物語体験となりました。(今は中古品しか手に入らないようなので、残念です。)