高須台 渡辺 ピアノ/オカリナ教室

大人から子どもまで楽しく

ベートーヴェンの変奏曲

2012年11月07日 | 日記

 今、「ベートーヴェンの32の変奏曲WoO80」をひいています。私にとってはとても珍しいことです。今まで「物語と音楽」という題で投稿してきたように、私は物語性のある音楽が大好きです。旋律や響きを聴いて、目の前にお話の場面や情景が広がる音楽を好んで演奏してきました。学生の頃はドビュッシーが大好きでしたし、10年ほど前より北欧、特にフィンランドの音楽ばかりを演奏してきました。夢中で好きな曲を演奏している間に、たくさんの年月が経っていたようです。シベリウスのピアノ曲に魅せられはじめた頃おなかの中にいた娘はもう10歳になりました。私も同じだけ年を重ねたということで、あと何年元気いっぱい好きな曲をひけるだろうか、などと考えることもあります。後で後悔しないように、以前にひいてみたいなぁと思って手付かずだった曲を、今のうちにひいておこう!と思ったわけです。
 変奏曲は私の好きな物語性のある音楽とは正反対ですから、今まであまりひいたことがありませんでした。子どもの頃に
発表会でひいた「ちょうちょうの主題による変奏曲」と「キラキラ星変奏曲」ぐらいでしょうか。18年ほど前に、学生時代の友だちとジョイントリサイタルを開いたことがありました。その時私が演奏したのがドビュッシーの小品と、バルトークの「15のハンガリー農民歌」でした。標題音楽、民族音楽の大好きな私らしい選曲です。そして、友だちが演奏したのが、ベートーヴェンの「32の変奏曲 WoO80」とショパンの「幻想ポロネーズ」だったのです。当日のリハーサルで友だちが演奏するベートーヴェンの変奏曲をきいて、引き込まれてしまいました。もちろん、目の前に情景など広がるわけもないのですが、音楽そのものにぐいぐいと引っ張られていったような、そんな感じでした。「標題音楽」という言葉に対して「絶対音楽」という言葉がありますが、「絶対音楽」の世界に引き込まれてしまった、そんな経験でした。その時に、「いつかこの曲をひいてみたい!」と思ったのでした。
 そして、18年経った今、やっとこの曲に取り組んでいるというわけです。今まで演奏してきた私の好きな曲をひいている時は、いつも頭の中にさまざまな映像が浮かんでいました。演奏することと同時に、その映像を観る事も楽しんでいたような気がします。しかし、べートーヴェンの変奏曲をひいても映像は浮かんできません。ひたすら自分の音に耳をすまし、音楽自体に集中して演奏しているようです。久しぶりに味わったこの感覚をもうしばらく楽しみながら、曲を仕上げていきたいと思っています。
 年をとって後悔しないように、ひきたいと思った曲にはどんどん取り組まなければ!次は何をひこうかなぁ

コメント
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