本当の名前を知らないのですが、私は勝手にカエルのギロと呼んでいます。このカエルたち、楽器なのかおもちゃなのか、ただの置物なのかわからないのですが、私はいつも楽器として使っています。背中のギザギザを棒でこすると、ゲロゲロゲロ、コロコロコロというような、カエルの鳴き声のような音がします。小さいカエルは高い音で、大きいカエルは低い音がでます。また、木の材質によるのでしょうか、同じ低い音でもふくよかな音の物もあれば、硬い感じの物もあるようです。私の持っている3匹のカエルたちは、タイのパタヤにあるお土産品の卸屋さんで買いました。カエルの鳴き声に似ておもしろいし、結構いい音がしたので、発表会でアンサンブルをするのに使えそうだと思ったのです。
そういえば、篳篥(ひちりき)などの演奏で有名な東儀秀樹さんの本の中に、このカエルのことが書いてあったのを思い出し、久しぶりに本をみてみました。「どこの書いてあったっけ?」と思いながら目次をみてみると、ありました!プロローグのところに「カエル君とのセッション」という項が。本にはこんなことが書いてありました。「最近我が家の近くで、こんなわくわくする場面に出会った。それまで気がつかなかったのだが、夜になるとコロコロ、コロロロと鳴く声がする。東京のこんな住宅地でまさかあのモリアオガエルの声が聞こえるはずが・・・。何年か前に京都の山奥で声を聞いたことがあったが、姿は見せてくれなかった。硬い石と石をぶつけてこすり合わせるような、軽快で歯切れのいい鳴き声がとても心地よい。そっと声の方へ近づくとピタッと鳴きやんでしまう。・・・(略)・・・ところがある日、またあのコロコロ、コロロロという鳴き声がする。そのとき、急に僕は自分がいい物を持っていることを思い出した。以前、タイのプーケット島で見つけて買った、オモチャだか楽器だか、飾り物だかわからない木彫りのカエルである。背中のギザギザを木の棒で こするとコロコロといい音がするお気に入りのものだ。そこで今度はそいつを持って出かけた。例の家からはすでにカエルの呼び声がかかっていた。近づくとやはりピタッとやんだ。そこで自慢の木彫りガエルを取り出してコロロコロロとやってみた。すると、なんと暗がりからコロロ・・・。さらにこちらでコロロロロ、コロロロロ。すると本物君がコロロロ、コロロロ。それからはもう鳴きっぱなしとなった。そして音の方向にしぼって近づいていくと、ついに姿発見!アオガエルだったが、一生懸命鳴いていた。」(雅楽ー僕の好奇心 東儀秀樹 著 集英社新書 より)これを読んだとき、「これはうちのカエル君と一緒じゃないか!」ととても嬉しくなりました。「そうそう!結構いい音がするのよね!」と思いながら。
私の活動しているおはなし会のグループ「おはなしころころ」では、6月のおはなし会で毎年このカエル君を使います。6月は「雨」や「カエル」をテーマにおはなし会をするので。こどもたちもお母さんも「おもしろーい!」と喜んでくださいます。おはなし会が終わった後には、こどもたちにコロコロコロと鳴らして遊んでもらっています。音がでるカエルにこどもたちは興味しんしんです。どうぞ興味のある方はレッスンに来られた時に鳴らしてみてくださいね