先手番中原先生の手を考えます。
第1問
5筋の受け方です。
A 55同歩 B 67銀 C 58飛
第2問
後手陣の薄いところを攻めたいのです。
A 17香 B 25歩 C 85歩
第3問
手堅い指し方です。
A 87銀 B 64銀 C 44角
第4問
厳しい手がありました。
A 52角 B 61角 C 53香成
先手番中原先生の手を考えます。
第1問
5筋の受け方です。
A 55同歩 B 67銀 C 58飛
第2問
後手陣の薄いところを攻めたいのです。
A 17香 B 25歩 C 85歩
第3問
手堅い指し方です。
A 87銀 B 64銀 C 44角
第4問
厳しい手がありました。
A 52角 B 61角 C 53香成
今日の棋譜20191003
昭和44年8月、中原誠先生と第8期十段戦です。
大山先生の中飛車です。
中原先生は玉頭位取りへ。
中央を守り切れなさそうですが
飛を回ればどうにか受かっています。ここで大山先生の33桂が変わった手で
45桂を見せて、先手から5筋を収めさせます。
先手は飛の動きで2手損、後手は銀の動きで2手損ということになりそうで
33桂が見ない形ですが、差し当たっての問題はなく収まりそうです。
大山先生は6筋の歩を切るのですが、これは玉頭位取りの威力が上がってしまいます。
玉の堅さが違うので中原先生の作戦勝ちでしょう。銀冠にしたのもマイナスか。
作戦負けの大山先生は穴熊に組み換えです。銀冠から穴熊へ組み替えるというのも大山先生の発案という可能性があります。穴熊は珍しかった時代ですから。
現代的には6筋の歩を切らず、62銀を82へもって行く組み方をします。
中原先生は端攻めです。先手玉が堅いので、手を作れたら十分です。
大山先生は飛を移動して31角の利きを通して端を受けました。
でも2筋が受からなそうですね。
14香は取り切りましたが
2筋を破られそうです。
25歩を打ってどうにかしのぎ
桂を跳ね違えて
33桂成を避けて金を動かす準備をしておきます。
中原先生は端攻め。駒損は回復できそうです。
大山先生は金を使い
65に捨てて香を打つのは勝負手です。
75歩を取れて、形勢は互角に近づきました。ここで37桂成から飛角をいじめるような順を考えるのが自然でした。
63銀をさばいたのですが
銀を埋められてみると、玉の堅さが違います。こういうところは厚みの将棋が苦手なのだろうと思うのです。
桂を成って角を追い
57歩は成桂を使うための手筋です。
中原先生は22成桂~54香を入れてから歩を払い
58銀には63歩。悩ましい応酬です。大山先生は金をはがしてしまうのも有力ですが
73飛に68金引
47成桂35角63飛。ここまでは変化があるけれど理解できます。
44角と出られて、このままでは58銀が質駒のままですから、後手が勝てるのは56歩~57歩成の筋だろうと思うのです。
43飛に71角成。43飛は成り込むことができません。ならば受けに使う駒です。43飛は1手パス(よりひどかった)、71角成は大きな手です。これで形勢を損ねました。
73銀と埋めましたが、角を取られて
61角は痛いです。
83角成~72銀。受けは82金打ですが、83銀成同金72金で受け無し(82金81金同金83桂)なのでここまで。
まだ穴熊が広まっていない時代で、大山先生の指し方がぎこちないです。(これまで第3巻で並べたように、穴熊の将棋は気風にあっていませんでした。)
中原先生のほうは、対穴熊の指し方を知っているなあ(そんなはずはないですが)という印象を受けます。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1969/08/25
手合割:平手
先手:中原誠7段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 6八玉(59)
10 5二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 6八銀(79)
16 7二玉(62)
17 5七銀(48)
18 8二玉(72)
19 7五歩(76)
20 7二銀(71)
21 7七銀(68)
22 5三銀(42)
23 7六銀(77)
24 6四銀(53)
25 6六歩(67)
26 5五歩(54)
27 5八飛(28)
28 3三桂(21)
29 5五歩(56)
30 同 銀(64)
31 5六歩打
32 6四銀(55)
33 6五歩(66)
34 5三銀(64)
35 6八金(69)
36 1四歩(13)
37 2八飛(58)
38 2四歩(23)
39 5八金(49)
40 3一角(22)
41 6七金(58)
42 6四歩(63)
43 同 歩(65)
44 3二金(41)
45 6六銀(57)
46 6四銀(53)
47 6五歩打
48 5三銀(64)
49 8六歩(87)
50 8四歩(83)
51 7七角(88)
52 8三銀(72)
53 8八玉(78)
54 7二金(61)
55 7八金(68)
56 4三金(32)
57 3六歩(37)
58 6二銀(53)
59 6八角(77)
60 2二飛(52)
61 1六歩(17)
62 9二香(91)
63 5五歩(56)
64 9一玉(82)
65 3七桂(29)
66 8二金(72)
67 1七香(19)
68 6三銀(62)
69 1五歩(16)
70 同 歩(14)
71 1八飛(28)
72 7二飛(22)
73 1五香(17)
74 1四歩打
75 同 香(15)
76 1三歩打
77 6四歩(65)
78 同 銀(63)
79 6五歩打
80 5三銀(64)
81 2五歩(26)
82 3五歩(34)
83 同 角(68)
84 1四歩(13)
85 2四歩(25)
86 2二飛(72)
87 2八飛(18)
88 2五歩打
89 6八角(35)
90 2一飛(22)
91 2五桂(37)
92 4五桂(33)
93 4六角(68)
94 6二銀(53)
95 5四歩(55)
96 3二歩打
97 1二歩打
98 同 香(11)
99 1三歩打
100 同 香(12)
101 1二歩打
102 5四金(43)
103 1一歩成(12)
104 同 飛(21)
105 5五歩打
106 6五金(54)
107 同 銀(66)
108 6三香打
109 3五角(46)
110 6五香(63)
111 同 銀(76)
112 7五角(31)
113 6六香打
114 6三銀(62)
115 7六金打
116 7四銀(63)
117 同 銀(65)
118 同 歩(73)
119 8七銀打
120 6四歩打
121 1三桂成(25)
122 3七桂成(45)
123 2九飛(28)
124 3六成桂(37)
125 6八角(35)
126 5七歩打
127 2二成桂(13)
128 5一飛(11)
129 5四香打
130 7一飛(51)
131 5七角(68)
132 5八銀打
133 6三歩打
134 7三飛(71)
135 6八金(67)
136 4七成桂(36)
137 3五角(57)
138 6三飛(73)
139 4四角(35)
140 4三飛(63)
141 7一角成(44)
142 7三銀打
143 3九飛(29)
144 3三歩(32)
145 7五金(76)
146 同 歩(74)
147 6一角打
148 5二歩打
149 8三角成(61)
150 同 金(82)
151 7二銀打
152 投了
まで151手で先手の勝ち
20191003今日の一手
8月3日の名南将棋大会から、私とOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
角銀と飛金の交換で と金を作られています。ほぼ駒の損得なしです。
玉の堅さは28飛の守備力も加味して同程度。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒飛金で3枚。
後手の攻め駒は13角89と 持ち駒角銀で4枚。
総合すれば互角か後手もちか。
☆ 大局観として
直前は43銀打です。46角と出ると44飛で王手角取りになるのを避けて、後手玉を固められました。当然後手のねらいは46角ですね。これを上回る攻めを考えたいです。46角以外に76歩もありますから、受けて勝つわけにはいかないでしょう。
飛金を持っていますから自然な攻め方はいくつかあります。64歩が拠点なので手段が多いのです。
☆ 簡単なまとめ
飛を敵陣に打ち込むのはどれも有力ですが、63歩成同銀61飛
詰めろ銀香取りで手を決めてしまうのがまぎれが少ないです。52銀右11飛成48飛
角か銀をもらえば後手玉が詰みます。
△か○ 21飛と打ち込んでみます。
46角には48飛19角成44歩
途中48飛に57銀などでは飛を切って51角で後手玉が詰みます。この図も54銀63歩成同銀引43金
普通に応じていると詰み筋です。
後手としては21飛に41歩
51角や銀の筋を消しておくくらいです。11飛成46角48飛57角打
後手玉が少し堅くなったので強く攻めることができます。しかし41歩の欠点をついて49香48角成同香49飛58玉
68角成同金29飛成44歩
単に43香成とするよりも44歩を打ったほうが得です。底歩に香は名前がついていない手筋ですが、強力です。
○ 63歩成と捨てると
63同銀に61飛が銀香取りというよりも詰めろなのです。
52銀右11飛成46角48飛
前の変化に似ていて、角銀をもらえば詰みですから、19角成44歩で先手の勝ち筋になります。こちらのほうがまぎれが少なさそうです。
△か○ 71飛だと
46角48飛57銀
46飛同銀成51角31玉33角成41歩
左から飛を打つと角や銀を持っても後手玉は詰まないです。66馬と引いてやや先手有利か。
71飛に41歩ならば
73飛成46角37金
桂を取っていますし63歩成もありますから、48飛ではなく37金がしっかりしています。とはいえ後手は39角とか68角成とか、無理にでも攻めてくるのでしょう。受けに自信があれば。
△ 81飛だと
前の変化の73飛成がありません。41歩には54歩
46角48飛57銀46飛同銀成53歩成
53同銀には63歩成です。53同玉には63歩成同玉74角53玉44歩
攻めの手は続きますが、後手の反撃もあるので形勢互角くらいです。
△ 82飛(72飛も同じか)二段目から打つと
46角に63歩成や48飛から角を手に入れるのでは少し甘いので、44歩と踏み込んでみます。
28角成43歩成同玉44歩同玉52飛成
55銀打から後手玉が詰みそうですが、49飛とかから後手の攻防の手(詰めろ逃れの詰めろになるか)があるので形勢不明です。調べればどちらかの勝ちですが。
△か○ 実戦は54歩です。
54同銀は46角に44飛を打てる。54同歩は53歩が嫌味。よって無視して46角は当然という感じです。53歩成同玉48飛57銀
これまでの変化では46飛同銀成としていましたが、ここでは57同金同角成63金
ちゃんと読み切っていなかったのですが、63同銀同歩成同玉61飛62角(金合でも)43飛成同金64銀
これはぴったり詰みます。
よって後手は63金を取れず42玉
52金31玉(同玉は63歩成)41銀
詰めろをかけました。実戦は47歩(でしたが48馬でも詰みます)32銀成同銀42金打22玉32金12玉21銀13玉22銀24玉
金銀を使い切って心細いのですが、33銀不成25玉28飛から詰みでした。28飛としたために25桂で詰まず、私の負けです。手が見えているのにしっかり読めない、ひどい一日でした。(苦しい局面でも将棋は楽しいのですがね。)
△か× 74歩と攻めるのは
73歩成~63歩成は確実な攻めで、攻め駒も増えるとは言えるのですが、46角37金39角38飛57角成
先手の攻めが遅いので、37金を打っても後手に強引に攻められてしまいそうです。
× 57歩など単に46角を受ける(受けやすくする)手は76歩があるので手負けです。
74歩77歩成というのは後手のほうが速いですから。
△か× 35歩は同角
△か× 24歩も同角
このあたりの利かしはほかの変化に関係ないかもしれませんし、マイナスになっているかもしれません。
☆ まとめ
中級者以上の方ならば、飛をとったら敵陣に打ち込むことを考えるでしょう。(初心者は案外に考えません。)打ち場所はいろいろありますが、63歩成同銀61飛が相手に必然手を強いている感じがします。
52銀右11飛成で駒得になり、後手の46角をしのげるか/利用できるかを考えれば良いだけです。64歩の拠点を失いますが、相手の攻め手を利用するのが速い勝ち方になります。カウンター攻撃は強力なのです。
別のカウンターですが、実戦の54歩からの手順
48飛の縦の利きを通して一気に寄せてしまおうというのも面白いです。