名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集20191031

2019-10-31 | 大山将棋研究

後手番大山先生の手を考えます。

第1問

 

13歩は少し甘い手ですが、強く攻めてよいかどうか。

A 65銀  B 62飛  C 65歩

 

第2問

 

大山先生なら、という手でした。

A 86歩  B 65桂  C 64馬

 

第3問

 

難しい将棋でしたが、急によくなりました。

A 88金  B 88角  C 79角

 

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大山将棋研究(1393);相矢倉(灘蓮照)

2019-10-31 | 大山将棋研究

今日の棋譜20191031

昭和45年1月、灘蓮照先生と第18回王座戦です。名人戦のさなかに当たるとは。

76歩34歩66歩に84歩。相振り飛車を指さない大山先生が84歩を突くのは

矢倉でも構わないと思っているからでしょう。

大山先生は64歩を突く古い矢倉です。

灘先生は46銀37桂を考案した人(だと思っているの)ですが、46歩を突くとのんびりした駒組になります。

袖飛車は好きなのですね、3筋の歩を交換しておきます。

大山先生は四手角で

灘先生の88玉は当然のようでも、68銀~77桂と受けるのもあります。

65歩を取りにくくなるのが難点で、後手に先攻されている感じがちょっと嫌ですが。

銀を出て

45歩~15歩と攻めだします。

13歩ではぬるい感じがします。55歩とか75歩とかで主導権を取りたいです。

大山先生は角を交換して

64角のけん制。18香くらいしかなくて

矢倉46銀37桂の定跡を知っている現代なら、19角成には37角を打ちそうです。玉頭方面の75歩は今の感覚ではないでしょう。

馬を引き付けられて、桂頭攻めは失敗です。

でも銀を出て馬を圧迫しようと。

一目は後手有利なのですが、

灘先生は63歩、44歩、33歩、持ち歩が多いのでなんとか食いついていきます。

桂を交換して25桂。金を逃げるのはどちらからも怖い変化ですが

大山先生は25同銀から攻め合いを選びました。これは先手に遊び駒がないから危なさそうです。

46歩に74歩。73同馬は利かされで、

桂を取らせて と金で攻めました。

51角を打たれて後手玉も危なくなってきましたが、67金を取って87歩。87同玉は85歩です。

97玉が良い位置で、ちょっと甘い57桂成では先手もちか。

灘先生としては62角成を想定して22銀が厳しそうですが

63歩同飛73角成、角と馬を交換するのはちょっと変です。

73同飛74歩を同飛52角で寄り筋、と思ったのかもしれません。72飛でどうしたものか。22と同玉11香成17歩同飛13歩くらいか、と思ったら

76銀は時間が無くてという感じです。17歩は取りにくいですが38飛でまだまだか

というところを98飛88金。これはうっかりで困っています。

あっさり終わってしまいました。

 

大山先生の相居飛車はまだ多くを並べていないので、まだ何が強いのかよくわかりません。本局は終盤120手近くまでは良い勝負でした。現代将棋では、相居飛車では特に、スピード感覚が磨かれているので、違和感のほうが多いです。その意味では天野宗歩先生や升田先生の将棋のほうが勉強になるかも。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1970/04/27
手合割:平手  
先手:灘蓮照8段
後手:大山名人
先手省略名:灘
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 8五歩(84)
7 7七銀(78)
8 6二銀(71)
9 5八金(49)
10 4二銀(31)
11 4八銀(39)
12 3二金(41)
13 2六歩(27)
14 4一玉(51)
15 7八金(69)
16 6四歩(63)
17 5六歩(57)
18 6三銀(62)
19 3六歩(37)
20 5二金(61)
21 6九玉(59)
22 3三銀(42)
23 4六歩(47)
24 4四歩(43)
25 7九角(88)
26 3一角(22)
27 1六歩(17)
28 1四歩(13)
29 3八飛(28)
30 4三金(52)
31 3五歩(36)
32 同 歩(34)
33 同 飛(38)
34 7四歩(73)
35 3八飛(35)
36 3四歩打
37 4七銀(48)
38 4二角(31)
39 6七金(58)
40 5一角(42)
41 5七角(79)
42 8四角(51)
43 7九玉(69)
44 7三桂(81)
45 8八玉(79)
46 6五歩(64)
47 3七桂(29)
48 5四銀(63)
49 9六歩(97)
50 3一玉(41)
51 2五桂(37)
52 2四銀(33)
53 3六銀(47)
54 2二玉(31)
55 4五歩(46)
56 同 歩(44)
57 1五歩(16)
58 6六歩(65)
59 同 銀(77)
60 1五歩(14)
61 1三歩打
62 6五歩打
63 7七銀(66)
64 5七角成(84)
65 同 金(67)
66 6四角打
67 1八香(19)
68 1九角成(64)
69 7五歩(76)
70 6六歩(65)
71 同 金(57)
72 6四馬(19)
73 7四歩(75)
74 同 馬(64)
75 7六銀(77)
76 7七歩打
77 同 金(78)
78 6二飛(82)
79 6三歩打
80 同 馬(74)
81 4四歩打
82 同 金(43)
83 3三歩打
84 同 桂(21)
85 同 桂成(25)
86 同 金(32)
87 2五桂打
88 同 銀(24)
89 同 銀(36)
90 3二玉(22)
91 1五香(18)
92 6五桂打
93 6七金(77)
94 4六歩(45)
95 7四歩打
96 4七歩成(46)
97 7三歩成(74)
98 同 馬(63)
99 1八飛(38)
100 5七と(47)
101 5一角打
102 6七と(57)
103 同 銀(76)
104 8六歩(85)
105 同 歩(87)
106 8七歩打
107 9七玉(88)
108 5七桂成(65)
109 3六桂打
110 4五金(44)
111 1二歩成(13)
112 4二歩打
113 6三歩打
114 同 飛(62)
115 7三角成(51)
116 同 飛(63)
117 7四歩打
118 7二飛(73)
119 7六銀(67)
120 1七歩打
121 9八飛(18)
122 8八金打
123 7三歩成(74)
124 9八金(88)
125 同 玉(97)
126 7九角打
127 投了
まで126手で後手の勝ち

 

 

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20191031今日の一手(その941);振り飛車の中盤感覚

2019-10-31 | 今日の一手

 20191031今日の一手

10月12日の名南将棋大会から、KさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。

 

 

一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

先手の1歩得です。後手は持ち歩がないのでカウントします。

玉の堅さは後手のほうが堅く(56銀と53銀の位置関係)、先手は戦場から一路遠いです。同じくらいと見るのでしょう。

先手の攻め駒はありません。

後手の攻め駒は82飛22角の2枚で、73桂が働くかどうか。

 

総合すれば互角です。

 

☆ 大局観として

四間飛車に65歩急戦の定跡型と比べると、先手は56銀型ですし木村美濃(この頃の言い方だと右雁木なのでしょうか?)に囲っています。後手は53銀右の形(42銀か53銀左が普通)が気になります。

先手は中央が厚くて玉が薄い、後手は6筋が薄くて玉が堅い、というのが定跡型との違いです。それによって選ぶ変化も変わってきます。

問題図以前ですが、先手は56銀型なので65歩の前に45銀

玉頭銀で急戦をけん制するのが有力でした。

 

☆ かんたんなまとめ

振り飛車党の感覚によります。どれが正解かも一概に言えませんが、素直に65同歩よりも、45銀、75歩、36歩を選びたいです。力戦が好きならば67金もあります。

 

 

△か× 実戦は素直な65同歩です。

77角成同桂86飛64歩62歩

後手の銀の位置が違うので、64歩62歩の利かしが入りました。65桂同桂同飛89飛成

1歩得ですが竜を作られています。後手からは77角~99角成もありますから、先手の駒損で、普通ならば美濃囲いの堅さで終盤勝負です。ここでは美濃囲いよりも薄いわけですから指しにくさを感じます。

 

あまり素直に応じずに、65桂ではなくて45銀33銀75歩

ちょっと複雑に戦う方が良さそうです。

 

 

△か○ 複雑なのは75歩です。

素直に65同歩で悪い時に使う常套手段。84飛(あるいは63金)と受けたら65歩

これは先手の得です。

 

後手は75同歩74歩と素直に応じて85桂

先手の歩切れなので桂を捨てて8筋を破ろうとします。(これは後手玉の堅さを生かしています。)88角87歩73歩成81飛79角66角

63と(同金には66飛同歩72角)99角成65飛89馬52と同金75飛

これならば先手が良さそうです。

 

 

△ 待っているならば36歩とか

98香とか69飛とか45歩とかです。66歩の時に75歩とすれば

84飛66角

66同角同飛65歩76飛

75歩同飛86飛73飛成89飛成

実戦のように素直に65同歩とするよりも、竜を作っているのですから得というか、ここでは損得なしで互角のはずです。この図では36歩が生きています。

 

後手からは66歩ではなく66角、先手も88飛とか

別の戦いになる可能性もあります。

 

 

△ 45銀は指したい手です。

56銀としてあったのが生きる強気な手です。66歩34銀62飛

34銀の形で角交換できれば56角~23銀成の筋ができます。後手は66歩を支えますが、67歩同歩成22角成同玉67飛

後手は飛交換するかどうか悩むところですが、交換すれば激しい終盤戦に突入です。

 

先手は67歩ではなく15歩

端を攻めるのもあります。ねらいは15同歩13歩同香14歩同香25銀です。このほうがスマートに見えてきました。

 

 

○ 大山先生ならば67金

金を使って守りそうです。66歩同金65歩67金77角成同金

金で8筋を守れば1歩得を主張できます。75歩や45銀で後手陣を乱して角の打ち込みをねらう感じです。

 

金を飛の上に出ると重くなるので85歩

継ぎ歩攻めが嫌味です。これは85同歩同桂86角97桂成

こういう攻め方です。

 

先手は飛先が重いとさばけないので65金

77角成同桂65桂同桂64銀73角

駒損ですが強引に攻めてみます。73同銀同桂成92飛61飛成

後手の継ぎ歩攻めで飛先が重くなった瞬間に、先手は駒損でも飛をさばきました。駒損でも と金攻めもありますし攻め駒は4枚、先手有利でしょう。

 

 

△ 67銀は調子がおかしいのですが

66歩同銀65歩同銀

こう進むのならば、後手の銀の配置をとがめています。つまり65同桂同飛77角成同桂86飛61飛成89飛成65桂

少し駒損でも先手が飛を成りこめて、左桂も使えれば十分です。

 

後手は何か工夫が必要です。55歩は

56歩54銀75歩

63金55歩同銀56歩44銀65歩

後手が苦労してやっと互角くらいか。

 

ならば後手も手損で62銀

先手から65歩を取りにくくなっているので、タイミングをずらしたほうが良いのでしょう。

 

 

☆ まとめ

振り飛車党の力量を問われるような問題図でした。

終盤に自信があれば65同歩もあり得るのですが、左翼の戦いは不利になりやすいです。

攻めるのが好きならば45銀を考えるのですが、本来のタイミングはもう2手前です。でも65歩急戦に玉頭銀はかなり相性が良いです。

素直に応じて少し悪いと思えば75歩を考えます。それがこの局面なのか、66歩と取り込ませてからか。もう一呼吸引きつかるかどうかという感覚です。

力戦が好きならば67銀や67金で、相手の意表をつけそうです。

級位者から有段者との境界はこのあたりに出るものかもしれません。(私は振り飛車を指さないので級位者みたいなものですが)振り飛車の一般的な感覚や固有の棋風が現れたりするところでしょう。

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