名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(1391);三間飛車に玉頭位取り

2019-10-29 | 大山将棋研究

今日の棋譜20191029

昭和45年4月、灘蓮照先生と第29期名人戦です。

ちょっと変わったオープニングですが、大山先生の三間飛車で

灘先生は玉頭位取りです。

大山先生は銀を繰り替えてダイヤモンドにして

石田流へ。

大山先生のほうから軽く動きます。36歩同歩45歩というよくある筋で

飛先を切りました。

灘先生は6筋の歩を切って角筋を通しておきます。

大山先生は7筋の歩を交換し

2歩持ったので24歩。24同歩に27歩~26歩を打てます。

灘先生は55歩同歩66銀で中央をねらい

端にも手を付けます。

大山先生は38歩の手筋から

2筋をねらいます。

突破はできませんが、竜を作れました。

端は謝って(94香は68角)

35歩も打っておとなしい対応です。

灘先生は65歩から

銀の位置をずらして、苦心の手待ちです。動くとすぐにやられなそうので我慢。

大山先生は27歩から36歩で軽く動き

金を立つのは55歩同銀同金同飛44角ねらい(本当に指すかどうかわかりませんが)

77角に36歩を取って

結局はじっと待っているだけです。灘先生から動き出しました。55歩から

金銀を交換して、69銀を避けて59飛。これでは効果はないか。

角を交換して自陣角ですが、これは保留した方が良かったでしょう。

53金と打ったのも意味が分かりません。

金銀を交換して、結局は竜を作られている駒損です。

玉頭の継ぎ歩に垂れ歩というのは玉頭位取りの切り札ですが、飛角が連携していなのでまだそのタイミングではないはず。

大山先生は47角~58歩で守り

手厚く金を打ち

竜を潜り、馬を作っておきます。

馬は16~34と使っておきます。

灘先生の87玉~88金は28竜の利きを避けているのですが、43馬の筋です。55金などは一応耐えているので

大山先生は8筋の圧力を避けて玉をかわしていきます。

灘先生は銀を打ち込んで香取り。うまくやったようでも

先手玉は上から攻められるとまずいです。

75歩を取れず銀を引き

85歩も取れず銀を引く、これでは駒を持たれたら終わりです。

香は取りましたが金に出られて困っています。

王手をかけたところで投了でした。駒を渡せないので仕方ないです。

 

玉頭位取りのうまくいかないパターンで、自力だけで攻めるのは難しいのです。竜馬を作られただけの駒損でも、気が付けば大差でした。大山先生の慎重な指し方を学びましょう。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1970/04/09
手合割:平手  
先手:灘蓮照8段
後手:大山名人
先手省略名:灘
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 5七銀(48)
10 5三銀(42)
11 5八金(49)
12 3二飛(82)
13 2五歩(26)
14 3三角(22)
15 6八玉(59)
16 6二玉(51)
17 7八銀(79)
18 7二玉(62)
19 6六歩(67)
20 6四歩(63)
21 7五歩(76)
22 8二玉(72)
23 9六歩(97)
24 5二金(41)
25 6七銀(78)
26 3五歩(34)
27 1六歩(17)
28 4二角(33)
29 2六飛(28)
30 7二銀(71)
31 7八玉(68)
32 6二銀(53)
33 7六銀(67)
34 6三銀(62)
35 8六歩(87)
36 3四飛(32)
37 6八金(69)
38 3三桂(21)
39 6七金(58)
40 5三角(42)
41 8五歩(86)
42 9四歩(93)
43 7七角(88)
44 3六歩(35)
45 同 歩(37)
46 4五歩(44)
47 2八飛(26)
48 3六飛(34)
49 3七歩打
50 3四飛(36)
51 1五歩(16)
52 1二香(11)
53 6五歩(66)
54 同 歩(64)
55 同 銀(76)
56 6四歩打
57 7六銀(65)
58 4二金(52)
59 8八玉(78)
60 7四歩(73)
61 同 歩(75)
62 同 銀(63)
63 7五歩打
64 6三銀(74)
65 7八金(68)
66 2四歩(23)
67 5五歩(56)
68 同 歩(54)
69 6六銀(57)
70 2五歩(24)
71 9五歩(96)
72 同 歩(94)
73 9四歩打
74 7三歩打
75 5五銀(66)
76 5四歩打
77 6六銀(55)
78 3八歩打
79 同 飛(28)
80 2六歩(25)
81 2八歩打
82 2四飛(34)
83 5八飛(38)
84 2七歩成(26)
85 同 歩(28)
86 同 飛成(24)
87 2八歩打
88 2四龍(27)
89 9五角(77)
90 9二歩打
91 6八角(95)
92 3五歩打
93 7七角(68)
94 4三金(42)
95 6五歩打
96 同 歩(64)
97 同 銀(66)
98 6四歩打
99 5六銀(65)
100 2七歩打
101 同 歩(28)
102 3六歩(35)
103 6八角(77)
104 2七龍(24)
105 2八歩打
106 2六龍(27)
107 3六歩(37)
108 4四金(43)
109 7七角(68)
110 3六龍(26)
111 3七歩打
112 3四龍(36)
113 5五歩打
114 同 歩(54)
115 同 銀(56)
116 5四歩打
117 4四銀(55)
118 同 角(53)
119 5九飛(58)
120 4六歩(45)
121 4四角(77)
122 同 龍(34)
123 7七角打
124 2四龍(44)
125 5三金打
126 5二銀打
127 同 金(53)
128 同 銀(63)
129 4六歩(47)
130 3二歩打
131 5五歩打
132 同 歩(54)
133 8四歩(85)
134 同 歩(83)
135 8五歩打
136 同 歩(84)
137 8四歩打
138 4七角打
139 5五角(77)
140 5八歩打
141 6九飛(59)
142 5四金打
143 7七角(55)
144 2八龍(24)
145 1七桂(29)
146 3八角成(47)
147 6六金(67)
148 1六馬(38)
149 8五銀(76)
150 3四馬(16)
151 5六歩打
152 6三銀(52)
153 8七玉(88)
154 4三馬(34)
155 8八金(78)
156 7一玉(82)
157 7六銀(85)
158 6二金(61)
159 9三歩成(94)
160 同 歩(92)
161 9二歩打
162 同 香(91)
163 8三銀打
164 5九歩成(58)
165 同 飛(69)
166 6五歩(64)
167 6七金(66)
168 7四歩(73)
169 9六玉(87)
170 7五歩(74)
171 8七銀(76)
172 8六歩打
173 同 銀(87)
174 8五歩打
175 9七銀(86)
176 7三金(62)
177 9二銀成(83)
178 8四金(73)
179 8二歩打
180 7三桂(81)
181 8一歩成(82)
182 同 銀(72)
183 投了
まで182手で後手の勝ち

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大山将棋問題集20191029

2019-10-29 | 大山将棋研究

後手番大山先生の手を考えます。

第1問

 

この筋は互いの陣形によって使い分けます。ここではどれから?

A 24歩  B 36歩  C 45歩

 

第2問

 

軽く動いていきます。

A 26歩  38歩  C 46歩

 

第3問

 

なるべく安全にリードしていきます。

A 71玉  B 47角  C 28竜

 

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20191029今日の一手(その940);「両取り逃げるべからず」

2019-10-29 | 今日の一手

20191029今日の一手

10月12日の名南将棋大会から、IさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。

 

 

一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

角(歩)と飛桂の交換で竜馬を作り合っています。先手の駒得です。

玉の堅さは後手のほうが深い(遠い)です。先手は37桂を跳ねているので堅さでも少し劣ります。

先手の攻め駒は81竜と持ち駒飛桂で3枚。35金も攻めに使えるかもしれませんが。

後手の攻め駒は57馬55角の2枚。

総合すれば先手もちです。

 

☆ 大局観として

駒得と攻め駒の数で優っていますが、駒の損得の評価の重みは終盤では下がります。と言っても両取りをかけられたところですし、長い戦いにして駒得を保って有利というわけにはいかなさそうです。

こういう時に「両取り逃げるべからず」という怪しい将棋格言があるのですが、金か銀を逃げる(かひもをつける)べきか、手抜いてほかの手を探すか、という分岐点です。常識的には35金を取られる方が痛いので、金を守るのですが。

後手玉が穴熊で深い(遠い)ということもあり、慎重に考えねばなりません。有利になるとすれば、攻め駒の優位を生かして穴熊を攻略することです。不利になるのは駒損を回避できても先手玉を寄せられることです。

 

☆ 簡単なまとめ

ここでは格言通りで71飛

両取りにかまわず寄せ合いに出ると、後手は受けるのが難しいです。

また47桂というのが良い受けで

角取りで金にひもがつきます。

 

 

 

× 常識的には36金

金のほうを逃げます。35歩26金67馬

角銀と飛桂交換でやや駒損になり、桂香を取られたらほぼ銀損、桂を36に打たれるのも嫌です。

32歩同金33歩同金上51飛32銀25桂

それでもこう進むのならば形勢は互角ですが、

 

33歩を取らずに31金

51飛49馬同銀36金

強く攻められたら穴熊ペースで勝ちにくいです。

 

 

×か△ 桂頭に傷を作らないように36歩は

67馬61飛51歩

51同飛成に42銀打から粘られそうで、少し悪いくらい。

 

 

△ 36飛は

67馬44歩42金引34桂

自陣飛車の効果で先手玉が少し安全ですが、22桂成がそんなに厳しくないし、桂を渡して24桂というマイナスもありますから形勢は互角くらいです。

 

 

× 実戦は58銀でした。

先手玉が横からの攻めには強くなりました。35馬に47桂

両取りで返すのが次のねらいだったのです。37角成同銀45馬46歩89馬

金桂と角の二枚換えで少し駒損です。穴熊が堅く、25桂などの攻め筋もあるという図は少し指しにくいです。

 

後手としては「両取り逃げるべからず」で36歩

55桂37歩成同銀36歩

強く攻めてしまえばはっきり有利でした。格言通りで穴熊の遠さが生きています。

 

 

○ 手順を変えて先に47桂だと

角取りで金を守れます。37角成しかなさそうで、同銀67馬38金

このほうが先手玉がしっかりしていますね。銀飛の交換で駒得ですし、先手有利です。

 

 

△か× 56歩は

角取で返して、99角成、64角などの効果もよくわかりません。でも35馬55歩36歩

これが自信なしです。

 

 

△ 56飛でも

56同馬とは取ってもらえません。35馬55飛36歩

これも自信なし。

 

 

× どうせ取られるからと56銀同馬

金は守れましたが、0手で銀を取られています。71飛に47銀同銀同馬38銀36歩(48銀もある)

やはり穴熊の遠さを生かして強く寄せに来られると、寄せ合い負けになっています。穴熊なので攻め筋の31飛成同銀同竜に22銀、二枚換えだけでは決定打にならないのです。

 

 

○ 攻める方を考えてみましょう。71飛

あるいは61飛、51飛でも似たようなものですが、これこそ「両取り逃げるべからず」です。

42銀には32歩がぴったり。

駒得で攻めるのは優勢になります。

 

後手の受けは51歩が普通で

51同飛成42銀で困るというのが普通なのですが、ここでは55竜

角を取れます。35馬には36歩同馬91竜

駒得なのでゆっくり守りながら指していきます。

 

後手の受けとしては、どうせ角を取られるならば37角成同銀41桂

壁を作って粘りたいのですが、32歩42金31歩成同銀41飛成同金同竜

歩の手筋で乱しておいて二枚換えに持ち込めばよいでしょう。後手の戦力が足らないので強く攻めることができます。

 

 

× 44歩は

金をさばいて銀を逃げようという手です。(44金同金同歩36歩では悪い。)35馬43歩成36歩

先に詰めろをかけられるのでは寄せ合い負けでしょう。

 

 

○か△ 32歩から入って

32同金33歩同金上34歩32金44歩

これならば35馬43歩成

この図が詰めろになっています。

 

後手は44歩に対応しなければならないわけで、44同銀

が普通です。44同金同金(同角は51飛が詰めろ馬取り)51飛31歩58銀

取られそうな金をさばき、銀を守りにつけることができました。桂頭に傷があるとはいえ、先手が指しやすいはずです。(24馬が案外大変なので飛の打ち場所を変えるほうが良いかも。)

 

☆ まとめ

「両取り逃げるべからず」というのは怪しい将棋格言です。まず9割は大きいほうの駒を逃げる(守る)のですが、たまには逃げないことが正解になる場合があるので厄介です。

つまり71飛

手抜いて寄せに出ると受けにくかったのです。(55角が浮いているというのが偶然でもよくできています。)

実戦のもう少し先で、後手の立場でも

両取りを逃げない方が正解でした。

放置しても1枚しかとられないので、その1手を攻めに使えばよい、という考え方です。

もう一手前から反対の立場で見ると、両取りをかけるのは怖いわけです。どちらか必ず逃げてもらえる両取りならばまだリスクが小さいですが、それでも持ち駒を使ったり、取った駒が遊ぶということもあります。

取った駒が遊ぶと言えば、2つ前の図では35馬や67馬が遊ぶわけではないですし、上の図では35桂や55桂が金取りになるのでリスクは小さいです。でもそれならば取られるほうも悪いので、必死で勝負手を探すのでしょう。

どこまで行ってもリスクがあります。それこそ「虎穴に入らずんば虎子を得ず」なんでしょうか。

 

 

 

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