先手番大山先生の手を考えます。
第1問
石田流に3筋の歩を交換されたときの、わかりやすい対策です。
A 37歩 B 38飛 C 79角
第2問
と金作りを防ぐことはできません。
A 46歩 B 66角 C 75角
第3問
後手玉よりもまとまっているので、強く攻めることができます。
A 54歩 B 44歩 C 24歩
第4問
これで確実な寄せ合い勝ちです。
A 62と B 66金 C 69金
今日の棋譜20191027
昭和45年2月、芹沢博文先生と第13期棋聖戦です。
芹沢先生が三間飛車?高柳一門は居飛車を指さないと怒られるそうですが。理論家の芹沢先生は、先手の66歩が甘いとみて、相振り飛車を指す気になったのでしょうか?
相振り飛車のようにも見えますが
大山先生は対抗型が好きなので居飛車です。
飛車先を切られた場合は引き角というのがわかりやすい対応です。24歩同歩同角もあるので35歩を打てと。
33角でしのがれたら57銀。46銀~35銀があるので
22角~13角では大山先生の2手得です。少しリードしました。
35歩を打つというのも手得しています。
芹沢先生は抑え込まれているので穴熊へ。
大山先生は中央位取りにして
57銀~66銀とかを見せます。芹沢先生は22飛28飛38歩。作戦負けで動くというのは危ないものですが。
57角の受けに15角。これで手ができればよいのですが
角は引くしかなくて
手損がひどいです。大山先生は右銀も使えました。
この と金作りは防ぐ手段がないのですが
構わず4筋の歩を突きだせば、十分な体制です。
53金には66角。ねらいはとにかく44歩です。
33角には34歩から
24歩。24同歩23歩~44歩で有利になります。芹沢先生は34飛も無理だし、困っています。
34銀ではいかにも危なくて、75角。52歩ならまだもったかもしれませんが
52金に54歩で受けが無くなりました。
もう35銀しかありません。23歩成とされて
飛の取り合いで後手を引いています。
大山先生が金を取る間に、と金を引かれるので、まだ難しそうですが
攻め合いの42飛でした。銀を取られて
58飛57歩47銀と攻められるのですが、69金が先手を取る受けです。
これで と金が間に合いました。
56銀成に、71と同銀61金82銀打53角成72金まで決めて
成銀を取る56歩はわかりますが、57角成に64歩?
王手で銀を取られて難しくしたようでも
77銀を打って大丈夫です。芹沢先生はここで投了。72銀打では取られるし、62歩同金同銀同飛成71金は72銀から食いつくのでしょう。先手玉は安全で、4枚の攻めです。
大山先生の快勝です。手得から抑え込んで、相手を動かせて斬る、理想的な勝ち方でした。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1970/02/25
手合割:平手
先手:大山名人
後手:芹沢博文8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 5六歩(57)
6 3二飛(82)
7 6八銀(79)
8 3六歩(35)
9 同 歩(37)
10 同 飛(32)
11 6七銀(68)
12 1四歩(13)
13 4八銀(39)
14 6二玉(51)
15 6八玉(59)
16 7二玉(62)
17 7八玉(68)
18 4二銀(31)
19 2六歩(27)
20 8二玉(72)
21 2五歩(26)
22 3四飛(36)
23 7九角(88)
24 3三角(22)
25 5七銀(48)
26 2二角(33)
27 4六銀(57)
28 1三角(22)
29 8八玉(78)
30 5二金(41)
31 7八金(69)
32 4四歩(43)
33 3五歩打
34 3二飛(34)
35 3八飛(28)
36 4三銀(42)
37 5八金(49)
38 9二香(91)
39 9六歩(97)
40 9一玉(82)
41 5五歩(56)
42 8二銀(71)
43 5六銀(67)
44 7一金(61)
45 6七金(58)
46 3一角(13)
47 9五歩(96)
48 4二角(31)
49 6八角(79)
50 6二金(52)
51 6五歩(66)
52 2二飛(32)
53 2八飛(38)
54 3八歩打
55 5七角(68)
56 1五角(42)
57 3七桂(29)
58 5四歩(53)
59 1六歩(17)
60 4二角(15)
61 2六飛(28)
62 5五歩(54)
63 同 銀(46)
64 3二飛(22)
65 3六飛(26)
66 5八歩打
67 4六歩(47)
68 5九歩成(58)
69 4五歩(46)
70 5三金(62)
71 6六角(57)
72 3三角(42)
73 3四歩(35)
74 2二角(33)
75 2四歩(25)
76 3四銀(43)
77 7五角(66)
78 5二金(53)
79 5四歩打
80 7四歩(73)
81 8六角(75)
82 3五銀(34)
83 2三歩成(24)
84 3六銀(35)
85 3二と(23)
86 1三角(22)
87 5三歩成(54)
88 5八と(59)
89 5二と(53)
90 5七と(58)
91 4二飛打
92 5六と(57)
93 同 金(67)
94 5八飛打
95 5七歩打
96 4七銀(36)
97 6九金打
98 4八飛成(58)
99 6二と(52)
100 5六銀成(47)
101 7一と(62)
102 同 銀(82)
103 6一金打
104 8二銀打
105 5三角成(86)
106 7二金打
107 5六歩(57)
108 5七角成(13)
109 6四歩(65)
110 5六馬(57)
111 6三歩成(64)
112 5五馬(56)
113 7七銀打
114 6三金(72)
115 同 馬(53)
116 投了
まで115手で先手の勝ち
20191027今日の一手
10月12日の名南将棋大会から、KさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
角と銀香の交換で二枚換え。この図では先手が少し駒得ですが、後手は98香を取ることができます。実質は後手の駒得なのかもしれません。(これは大局観がはいっていますが。)
玉の堅さは同じくらいですが、後手の穴熊のほうが深い(遠い)です。
先手の攻め駒は91竜と持ち駒銀桂香で4枚。
後手の攻め駒は89竜44角と持ち駒角桂で4枚。どちらも十分です。
総合すれば後手もちです。
☆ 大局観として
25歩ではなくて98竜とされていたら駒得の後手のほうが良いのでしょう。25歩は攻めの急所ですが、後手囲いの急所でもあります。つまりこの歩は取りたいのですが、それでよいかどうか。後手の穴熊のほうが響きが弱いので、急所を突かれたのでしょう。
悪いのならば受けておくか、寄せ合いか。そういう選択肢で悩みそうです。
棋風で分かれるところですが、先手は56銀の働きが悪く、寄せ合いは危ないなあと感じます。駒損になるかもしれませんが、少し受けておくほうが無難だと思います。
☆ 簡単なまとめ
堂々と25歩を取るか
33桂打から攻めた後で取るか
いずれにせよ25歩を取るのが大きな手です。後手は26桂で攻めるのですが
取らずに受ければ大丈夫です。26同銀から反撃しようというのは危ないです。
○ 25同歩が自然な手で
後手は歩切れですから駒得が広がります。26歩を打たれないということが大きいです。
後手は歩がないのですが、26桂が嫌な手で、26同銀同角
反撃で27香を打ちたくなりますが29銀
詰めろで、26角を取っても詰まされます。
27香を打たなければ詰めろはかかりにくいので33桂打が反撃です。
後手玉は詰めろ。33同金右同桂不成同金31金
71桂92竜22銀
銀を打たせて先手玉が少し安全になりました。攻め続けるのならば21金同玉45桂32金33香とするのですが44角打
攻防で詰めろを打たれます。32香成同銀33桂打11玉35銀
格好よく詰めろを回避して32竜とできれば先手の勝ちですが、35同角引同歩26銀
後手の詰めろはなかなか消えず、寄せ合い負けになっています。
さすがに駒を渡し過ぎで(読み切れなくても)危ないと感じるでしょう。41金と逃げておいても
詰めろです。53角27香32銀24歩17角成
詰めろが消えると(2手すきですが)こんな角捨てもあります。17同香19角18玉49竜
受けがないです。
27香ではなく45桂でも26桂
ここに桂を打たれると金を逃げにくく、後手の寄せ合い勝ちになりそうなのです。
ということで、26桂には39金
強気に出て失敗しましたから、桂を取らずに金を逃げます。98竜48銀打55歩54桂
先手玉が堅くなればこれだけでも攻めは続きます。52金ならば24歩同銀41竜
竜と桂香で後手の金銀をはがしていく攻めです。
△ 25歩を取ると危ないとしたら(大丈夫でしたが)37金と寄ります。
余裕があれば56銀も47に引きたいです。しかし26歩同銀27歩同金寄64角
61竜46角37銀打57角成
馬を作られて少し悪いです。
△ 37銀打(あるいは17銀打でも同じか)は
駒を打った方が手堅い原則です。しかし26歩同銀左同角同銀27歩
角を切られて攻め続けられます。27同玉19竜33桂打
33同金右と取ってもらえれば、同桂不成同金22歩
詰めろが続くので先手の勝ちになりそうなのですが
33桂打を取らずに29竜28歩31桂
受けられてみると詰めろは続かず、後手有利です。19香を取られるのは結構痛いのです。
× 18桂という受けは
26歩でも困りそうですが、17角同玉26歩
こんな荒っぽい攻めでも困ります。
× 感想戦を見ていて、25歩を取れないのならば35歩が手筋でしょうという話をしたのですが
「大駒は近づけて受けよ」ですね。26歩同銀27歩同玉(37玉のほうがまぎれるけれど)19竜
やはり19香を取られるのが痛いのです。24歩でも手抜いて29竜28銀18角36玉36香
穴熊が遠いので明らかな寄せ合い負けです。
では27歩を同金ならばどうか。
これは55桂37金寄39角
57角成を見られて悪いです。
△か× 39桂の受けは
26歩同銀同角27香
反撃をしやすくなっています。しかし25歩26香同歩
角は取ったとはいえ玉頭に拠点を作られます。例えば24歩同銀23歩同金31竜27香
穴熊の遠さを生かされて寄せ合い負けになりそうなのです。
△か× 39銀と受けたら
26歩同銀同角27香25歩26香同歩と同じように進んだ時に、33桂打とできるのですが31桂
31に駒を埋められると戦力が足りません。
× 攻める方を見てみます。実戦は53銀
受けがだめだと思ったようで、強引に攻めました。53同金同桂成同角45桂44角33香
26歩32香成27歩成
駒を渡し過ぎたので、先手玉が簡単に詰んでいます。
○ 33桂打は詰めろです。
33同角同桂不成同金右25歩
二枚換えで我慢されたら、25歩を取っておきます。44角が消えたら(33金が33角の形でも)この位が大きいです。
33同金右と取って
44角の位置を保てば、33同桂不成同金31金71桂92竜
最初にやった25歩26桂同銀同角以下の変化と同じ手順ですが、まだ銀を渡していないのです。22桂には25歩。22角のほうが金取りで強い受けですが、21金同玉45桂
32金には25歩26桂同銀同角33桂打から攻めて何とかなっているか。
後手はどこかで手抜いて26歩としたいのですが
26同銀同角33桂不成同角24香
22銀23香成同銀22歩同角24銀
ここまで進めば先手の勝ちです。
後手としては33桂打を取ると危ないので31桂
駒を埋めて受けるのでしょう。21桂成同玉33桂打11玉25歩
先手も手を戻し、26桂39金98竜48香
41桂成や92竜~42竜の攻めを見て先手有利です。
△か× 33香でも同じようですが
これは詰めろではありません。後手の26歩は詰めろで、26同銀同角32香成同金27金29銀
金を持ったら手厚く受けられる、のではなくて、27に駒を打つと29銀が詰めろで、受けにくいのです。
× 33香以外の攻めも詰めろになるような手はなく、後手の26歩が詰めろですから、(26同銀同角で詰めろが途切れるとはいえ)33桂打よりも明らかに劣ります。
☆ まとめ
歩切れで25歩はちょっと早いのではないか、と思える手を指されたところですから、それは疑問手ですよ、と返したいのです。その意味で25同歩が本線です。
強い返し技(角を26に呼んで27香など)があっても、穴熊の深さに負けるようです。元の形勢が思わしくないので、普通の攻防の応酬だと寄せ合い負けになるのでしょうね。
なので26桂を打たれても39金で我慢です。(26桂を打たなければ、先手から26香と打つのが攻防の手になります。)そのあとの攻め筋があるのならば、少し駒損になっても勝負にはなります。そのあとの攻め筋というのは、25歩の拠点を生かした攻め方です。24香の打ち込み、24歩の突き出しをみての攻めは確実なので、少し受けてからのほうが確実です。