名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(1381);四間飛車に中央位取り(加藤一二三)

2019-10-19 | 大山将棋研究

今日の棋譜20191019

昭和44年12月、加藤一二三先生と第8期十段戦第5局です。

大山先生の四間飛車です。

加藤先生は中央位取りで

持久戦の6筋の歩を交換するタイプ。スムーズに交換できれば居飛車が作戦勝ちになりやすいです。

大山先生が石田流を目指すのは当然でしょう。

加藤先生は46銀として石田流をけん制します。(これまでは46歩を突く将棋が多かったけれど、この将棋で工夫したのかもしれません。)

角を66~57に移動すれば34銀を強制できます。

3筋の位を取れて

加藤先生のほうが石田流みたいになります。ならば46銀が攻めるに邪魔ですが

37桂も跳ねたし、形を直しにくいです。26飛22飛36飛32飛で千日手模様になり

大山先生が51角で手を変えて

92香(大山先生は銀冠から穴熊に組み替える将棋も指しています)77桂62角というのが入りますが

26飛22飛36飛32飛という手順が繰り返されて千日手になりました。

 

私の認識としては、

対四間飛車の中央位取り急戦は昔からあった

急戦対策が見つけられて、居飛車が攻めにくくなった

6筋の歩を交換する持久戦が指されるようになった;この時代はこのあたり

玉頭方面で戦う(66銀~75歩同歩同銀74歩66銀~65歩同歩同銀直64歩76銀~66角など)指し方が出てくる

振り飛車は6筋の歩を素直に交換させてはいけないと気が付いた

44銀型が有力だと発見されて、中央位取りが消えた

という流れです。

加藤先生は案外に千日手が多いような気がします。昔はタイトル戦の千日手は別の日に指していたということもあるし、理論的に考えるので最善手が千日手ならば仕方ないと思うのでしょうね。強引に打開をしないです。工夫は実りませんでした。

千日手に終わりましたし、今日の分の問題集はありません。

 

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1969/12/15
手合割:平手  
先手:加藤一二三十段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 3二銀(31)
9 5六歩(57)
10 4二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 7二銀(71)
15 5八金(49)
16 7一玉(62)
17 5五歩(56)
18 4三銀(32)
19 5七銀(48)
20 8二玉(71)
21 5六銀(57)
22 5二金(41)
23 6八銀(79)
24 6四歩(63)
25 9六歩(97)
26 9四歩(93)
27 6六歩(67)
28 6三金(52)
29 6五歩(66)
30 同 歩(64)
31 同 銀(56)
32 6四歩打
33 5六銀(65)
34 7四歩(73)
35 5七銀(68)
36 3五歩(34)
37 6八金(69)
38 1四歩(13)
39 1六歩(17)
40 1三香(11)
41 6七金(58)
42 3二飛(42)
43 4六銀(57)
44 5一角(33)
45 2六飛(28)
46 8四歩(83)
47 6六角(88)
48 8三銀(72)
49 5七角(66)
50 3四銀(43)
51 3六歩(37)
52 同 歩(35)
53 3五歩打
54 4三銀(34)
55 3六飛(26)
56 7二金(61)
57 3七桂(29)
58 6二角(51)
59 2六飛(36)
60 2二飛(32)
61 3六飛(26)
62 3二飛(22)
63 2六飛(36)
64 2二飛(32)
65 3六飛(26)
66 3二飛(22)
67 2六飛(36)
68 5一角(62)
69 3六飛(26)
70 9二香(91)
71 7七桂(89)
72 6二角(51)
73 2六飛(36)
74 2二飛(32)
75 3六飛(26)
76 3二飛(22)
77 2六飛(36)
78 2二飛(32)
79 3六飛(26)
80 3二飛(22)
81 2六飛(36)
82 2二飛(32)
83 3六飛(26)
84 3二飛(22)
85 千日手
まで84手で千日手

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20191019今日の一手(その935);「両取り見えない病」

2019-10-19 | 今日の一手

20191019今日の一手

8月31日の名南将棋大会から、私とTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。

 

 

一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

角歩と飛の交換で持ち歩がありますから損得なしに近いです。

玉の堅さは同程度。端を突いてあるので後手玉のほうが広いとみることはできます。

先手の攻め駒は64飛と持ち駒飛で2枚。

後手の攻め駒は55角と持ち駒角で2枚。

 

総合すれば互角です。

 

☆ 大局観として

後手に両取りで角を打たれました。序盤なので駒の損得の評価が高く、駒損は避けたいのです。どういう手があるでしょうか?

私は「両取り見えない病」なのですが、実戦でこういう両取りが見えにくいのです。63歩を打ってもらえるとは思っていないのですが、角を打たれる手はすっぽり抜けている、という感じです。先手のKさんは、将棋上達法の実践編で教えていたH君です。まだまだ弱いのですが、両取りが見えないということについては彼と同レベルなのでしょうね。

さてこういう両取りが見えないというのは、頭の中での将棋盤が狭いから思いつかないのでしょう。実際にその局面を迎えたら、思いつく限りの手を読まねばなりませんから、読みの力も必要です。だんだんに訓練していくしかないのでしょうが、適性が低いので私は苦労しています。

 

☆ 簡単なまとめ

61飛成から

61同銀65飛

これが最初に見える方は幸せです。そんな方はぜひコメントを。

 

 

× 実戦は素直に68飛で99角成

香損で馬を作られたら大損です。この図で代償がなければいけません。それがないのならこの順は切り捨てます。

77桂54角64歩62香

飛の打ち込みや6筋突破をねらいましたが、手堅く受けられて手がありません。

 

 

△ 65飛打は

こういうのは急戦向い飛車で王手になる形(24歩同歩同角同飛同飛15角25飛打という手順)で出てくるのでなじみがあるでしょう。66飛打も同じことになりそうですが、67飛打、68飛打では51金左が余計な変化です。

64角同飛55角

もう一回角を打たれます。これで失敗のようですが、61飛成同銀43角

指し継ぐならばこれしかありません。72銀21角成36歩

(36歩で31金は43馬~53馬と使って先手もちです。)65馬99角成64桂63銀84歩同歩36歩74銀

こんな進行です。攻め駒3枚で心細いですが、後手玉が薄いので良い勝負です。43馬~61馬で寄せられるかどうか。

 

 

△ 62飛打は

62同金同飛成は先手有利です。51金左22飛成64角

飛銀交換(ここでは角銀交換)で竜を作り、桂香を拾えます。11竜36歩68香

田楽刺しで先手有利に見えますが、37歩成から攻められるのも嫌なので勝負はこれから。

 

後手としては51金左ではなく52金右

77桂に51金寄

これが粘りのある受け方です。52飛成同金65飛54歩62金64歩

55飛62金54飛

なぜか駒の損得が消えました。形勢は互角です。

 

 

× 63飛打だと

52金右61飛成51金寄

52竜だと先ほどの変化で指していた77桂を指していない、1手損なので後手有利です。

 

 

× あとは43飛で

51金左53飛成99角成

これは香を取っているので後手有利なのです。

 

 

○ もう飛を打つのはないですが、61飛成

61同銀で何も手が無ければ77桂で粘るというのだって、実戦の68飛99角成よりましかもしれません。でもここでは65飛

この両取りが受けにくいのです。こういうのが私には見えにくいです。受けとしては64角うちしかなくて56歩

56歩が怖ければ63金などでも良いのですが、先手の駒得+後手玉が薄い 条件で先手有利です。66飛も55飛同角同歩

飛と角金の交換で有利というか優勢です。

 

 

☆ まとめ

すぐに61飛成から見える人はどれくらいの割合なのでしょうね。玉の堅い将棋を好み、無理気味に見えても攻める人ならば見えるのでしょうか?まだ序盤のつもりでも大駒を切って寄せる感覚です。

何も考えずに飛を逃げてしまう人はKさん(つまりH君)のような初級者です。悪くなってから考えてもよい手は見つかりません。

ひねって飛打ちをあれこれ考えて、そのうちに飛を切ったらどうか、と読んでいくのが普通の人ではないかと思うのですが、読者の方々はどう思いますか?

 

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