後手番木村先生の手を考えます。
第1問
角を殺されていますが、後手の攻めは続きます。
A 97銀 B 77歩 C 95香
第2問
この手から後手有利になっていきます。
A 69金 B 26銀 C 55桂
第3問
じりじりと寄せて後手優勢になっています。もう一息。
A 59と B 39角 C 19角
第4問
王手ですが、切り返して先手玉が詰みます。
後手番木村先生の手を考えます。
第1問
角を殺されていますが、後手の攻めは続きます。
A 97銀 B 77歩 C 95香
第2問
この手から後手有利になっていきます。
A 69金 B 26銀 C 55桂
第3問
じりじりと寄せて後手優勢になっています。もう一息。
A 59と B 39角 C 19角
第4問
王手ですが、切り返して先手玉が詰みます。
今日の棋譜20221028
1951年5月、木村義雄先生と名人戦第6局です。
升田先生の先手で角換わりです。
もう筋違い角ということもなく、相腰掛け銀に進みます。
ここまでは今流行している48金29飛62金81飛の先後同型のように進んでいますが、
47金65歩で一旦先後同型から離れます。
47金63金の形になり、45歩14歩と進めば先後同型、でも先手が45歩を突くと攻めにくいのです。この図から攻めるならば、45桂42銀では無理なようですし、45銀55銀は今一つでしょうか。
15歩44歩48飛64角。昭和の終わりごろから角換わり腰掛銀が流行した時に似た形がありましたが、先手が先攻するなならば17香~18飛(端の位を取っているので14歩同歩同香とは攻めにくい)か、18香~26飛~35歩同歩45歩と攻める形が指されていました。本局の升田先生は端の位を取っての待機策です。木村先生は64角を打って
7筋の歩を交換し
74金と出る升田先生の得意の形を採用しました。前局の意趣返しでしょうか。なお後手陣は41角の筋が気になるので、42金32玉の形にしています。
少し手待ちの後で木村先生が95歩から仕掛けます。
95同歩86歩同銀85金
85同銀同桂74金。この攻めは攻撃力はあるのですが、角を殺されるのが難点です。
95香同香77歩、金は逃げるわけにもいかず、77歩も取りにくい。
ゆえに64金78歩成同玉までは妥当なところでしょう。後手の駒損ですが、攻め駒は4枚に近いです。一度59銀を打ってから77歩が良かったのですが、
単に77歩68玉は先手玉を逃がしている感じです。72飛と使いますが、
74香62飛73金
61飛72角31飛94角成。飛を封じられてしまっては、小駒だけで先手玉を捕まえられません。後手不利です。
78金59玉89金
85馬79金92香成(甘い)78歩成。升田先生はこの辺り(92香成の前かも)で28飛としておかねばならなかったのです。
86馬26銀。ちょっとうっかりしやすいのかもしれませんが、左右挟撃です。左から上に逃げるルートを作りにくい形なので、玉は右に逃げる予定だったはずなのですが。
29桂27銀成49玉26桂。二枚替えでも38桂成は受かりません。
66歩同歩93角は、まだ左から逃げ出すことをあきらめていないのですが、
77歩66角成72飛、後手の飛が働きだして、
24歩同歩28歩38桂成
清算して68飛が王手馬取り。
48金66飛成67歩61竜
82成香73飛同香成68と。まだ先手の駒得ですが、後手玉のほうが堅く、確実な攻めがあります。
72成香上31竜77馬78金66馬69金、後手の攻め駒は4枚になりそうです。先手玉が左に逃げ出せないから勝ち目がなく、
77馬58金47金59金寄
27歩49金寄26歩39角
27玉48金と段々に追われて受けが無くなっていきます。25歩同歩24歩は形つくりを考えたのでしょう。
24同銀44馬33金52飛、それでも攻め駒は4枚あるので厳しいのですが、駒を渡せない形です。
42歩53飛成43銀
23歩同玉45馬で攻めが一息つきました。
28金16玉14歩で詰めろ。
35桂13玉25桂、ちょっと面白くなったようでも、
25同銀同玉24金26玉48馬まで。
理想形のようでも後手からの攻めは難しいです。升田先生の待機策は間違っていたわけでもないのですが、48飛や17香が隙になってしまいました。後手の攻めを誘ったという意味もあります。実際に後手は正確に攻めきれず、先手有利になっていたのですが、後手の96手目26銀が厳しかったとは。
この名人戦は木村先生が筋違い角を研究していて3勝を稼いだというのが大きいです。年齢から衰えを感じていたけれど、嫌いな升田先生には負けたくなかったという執念を感じます。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.60 棋譜ファイル ----
開始日時:1951/05/28(月) 00:00:00
棋戦:名人戦
戦型:角交換腰掛銀
手合割:平手
先手:升田幸三
後手:木村義雄
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 8四歩(83)
3 2五歩(26)
4 8五歩(84)
5 7六歩(77)
6 3二金(41)
7 7七角(88)
8 3四歩(33)
9 8八銀(79)
10 7七角成(22)
11 同 銀(88)
12 2二銀(31)
13 3八銀(39)
14 3三銀(22)
15 4六歩(47)
16 6二銀(71)
17 4七銀(38)
18 6四歩(63)
19 7八金(69)
20 6三銀(62)
21 3六歩(37)
22 7四歩(73)
23 4八金(49)
24 4二玉(51)
25 3七桂(29)
26 6二金(61)
27 5六銀(47)
28 7三桂(81)
29 4七金(48)
30 6五歩(64)
31 6八玉(59)
32 3一玉(42)
33 7九玉(68)
34 5四銀(63)
35 9六歩(97)
36 9四歩(93)
37 1六歩(17)
38 6三金(62)
39 1五歩(16)
40 4四歩(43)
41 4八飛(28)
42 6四角打
43 4九飛(48)
44 7五歩(74)
45 同 歩(76)
46 同 角(64)
47 7六歩打
48 6四角(75)
49 8八玉(79)
50 4二金(32)
51 4八飛(49)
52 2二玉(31)
53 1八香(19)
54 3二玉(22)
55 2八飛(48)
56 7四金(63)
57 4八飛(28)
58 2二玉(32)
59 2八飛(48)
60 3二玉(22)
61 4八飛(28)
62 2二玉(32)
63 1七香(18)
64 9五歩(94)
65 同 歩(96)
66 8六歩(85)
67 同 銀(77)
68 8五金(74)
69 同 銀(86)
70 同 桂(73)
71 7四金打
72 9五香(91)
73 同 香(99)
74 7七歩打
75 6四金(74)
76 7八歩成(77)
77 同 玉(88)
78 7七歩打
79 6八玉(78)
80 7二飛(82)
81 7四香打
82 6二飛(72)
83 7三金(64)
84 6一飛(62)
85 8三角打
86 3一飛(61)
87 9四角成(83)
88 7八金打
89 5九玉(68)
90 8九金(78)
91 8五馬(94)
92 7九金(89)
93 9二香成(95)
94 7八歩成(77)
95 8六馬(85)
96 2六銀打
97 2九桂打
98 2七銀成(26)
99 4九玉(59)
100 2六桂打
101 6六歩(67)
102 同 歩(65)
103 9三角打
104 7七歩打
105 6六角成(93)
106 7一飛(31)
107 2四歩(25)
108 同 歩(23)
109 2八歩打
110 3八桂成(26)
111 同 飛(48)
112 同 成銀(27)
113 同 玉(49)
114 6八飛打
115 4八金(47)
116 6六飛成(68)
117 6七歩打
118 6一龍(66)
119 8二成香(92)
120 7三飛(71)
121 同 香成(74)
122 6八と(78)
123 7二成香(73)
124 3一龍(61)
125 7七馬(86)
126 7八金(79)
127 6六馬(77)
128 6九金(78)
129 7七馬(66)
130 5八金打
131 4七金(48)
132 5九金(69)
133 2七歩(28)
134 4九金(59)
135 2六歩(27)
136 3九角打
137 2七玉(38)
138 4八金(58)
139 2五歩(26)
140 同 歩(24)
141 2四歩打
142 同 銀(33)
143 4四馬(77)
144 3三金(42)
145 5二飛打
146 4二歩打
147 5三飛成(52)
148 4三銀(54)
149 2三歩打
150 同 玉(22)
151 4五馬(44)
152 4七金(48)
153 同 銀(56)
154 2八金打
155 1六玉(27)
156 1四歩(13)
157 3五桂打
158 1三玉(23)
159 2五桂(37)
160 同 銀(24)
161 同 玉(16)
162 2四金(33)
163 2六玉(25)
164 4八角成(39)
165 投了
まで164手で後手の勝ち