後手番大山先生の手を考えます。
第1問
どれでもつぶれなさそうですが、玉頭の受け方は?
A 34歩 B 33歩 C 41玉
第2問
攻めても良さそうですが、受けを選びます。
A 35同歩 B 43銀 C 43玉
第3問
大山先生は手順を間違えて詰ましませんでしたが、即詰みがあります。
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
どれでもつぶれなさそうですが、玉頭の受け方は?
A 34歩 B 33歩 C 41玉
第2問
攻めても良さそうですが、受けを選びます。
A 35同歩 B 43銀 C 43玉
第3問
大山先生は手順を間違えて詰ましませんでしたが、即詰みがあります。
今日の棋譜20201222
昭和30年2月、花村元司先生と第4回NHK杯です。
花村先生の先手で、大野流の振り飛車
のような力戦居飛車のような
ところでしたが、向い飛車に落ち着きます。
端歩を受けなかったので、現代ならば穴熊にするところですが、当時はプロが穴熊を指すことはありません。
美濃囲いから46銀とでます。大山先生が44歩を突いたので、まだ駒組が続きます。
花村先生の37銀と引いた美濃囲いは結構堅いので、
あとは左の駒をさばこうとするのが自然ですが、
25歩~26銀というのは当たり前の指し方をしない花村先生らしいです。
73桂を待って78飛、7筋から動こうかというところを
大山先生のほうから65歩、花村先生は75歩同歩65歩と応じて
63金に35歩?
35同歩に27銀というのは袖飛車をねらっています。
大山先生は8筋を継ぎ歩で攻めますが
85同歩に65桂66角
85飛86歩同飛88歩、継ぎ歩の効果は特にはなかったです。75角や75飛があるので
64金に38飛、これが花村先生の構想でした。左翼の形は損をしているので、玉頭で戦果をあげるしかありません。
55歩に24歩同歩35銀34歩
銀を交換して
守られたらまた銀を打つのですが、これではうまくはいっていません。
56歩35歩43銀、3筋を破るのは難しいです。
とりあえずは3筋に位を取って、後手57歩成の対策が必要ですが、単純に58歩では54銀直~55銀とか87歩でも間に合わされそうです。
56金は仕方ないのでしょうが、55歩を打たれたら桂を取るしかない。
先手を取って
73歩からの と金作りですが、角を追われて
56歩~57歩成も受けにくいです。
73と54銀直64歩、大した攻めでもないですが
大山先生は57歩成を急がず64同金、この飛取りに88飛成でも十分すぎますが(75角38竜同銀75角34桂以下を余せばよい)
85飛とは慎重です。花村先生は25歩を打ち
25同歩同銀57歩成同角24歩、34銀か34歩と攻めなければおかしいのですが
36銀引56歩39角、1歩もらって角を引いたという良くわからない手順です。
23金25歩同歩75歩
24金74と65金77桂打、やっと局面が進みますが、桂を捨てての両取りでは大したことはないです。
77同歩成同桂で、大山先生は飛を逃げずに26歩同銀25歩
37銀82飛、花村先生は飛を取るほうが勝負になるのではないかという気もしましたが。
65桂同銀64と ここで大山先生は手抜いて26桂から
飛を追い、38歩も利かして
57桂も利かし、また先手の飛を追って
68金の打ち込みは、68同金に88飛成とするのでしょう。花村先生は金を取れず26桂のほうを食いちぎります。
58金25銀左
39歩成24銀、激しい寄せ合いですが
38飛27玉59金は詰めろ。
23金41玉37角、先手玉の上部脱出ルートができて、難しくなったか。
88飛上成36玉48竜47金、これは寄せにくいか、と思ったら47同竜同玉48金37玉37飛成以下詰みそうです。
大山先生は37飛成同金69角
47桂38と で詰めろ。受けはないです。
81飛51金まで。
花村先生の動きが無理です。左右分裂ですから失敗するでしょう。袖飛車も後手が持久戦模様なので厳しくはなかったのです。でも振り飛車の玉頭袖飛車という筋は新しいでしょう。これで快勝していたら、もっと早く広まっていたかもしれません。大山先生はこの経験を後年の振り飛車に生かします。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1955/02/06
手合割:平手
先手:花村元司8段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 5四歩(53)
7 6八銀(79)
8 3四歩(33)
9 6六歩(67)
10 6二銀(71)
11 5七銀(68)
12 4二玉(51)
13 7八金(69)
14 5二金(61)
15 6七金(78)
16 3二玉(42)
17 8八飛(28)
18 4二銀(31)
19 4八玉(59)
20 7四歩(73)
21 3八玉(48)
22 1四歩(13)
23 2八玉(38)
24 1五歩(14)
25 3八銀(39)
26 5三銀(62)
27 4六銀(57)
28 4四歩(43)
29 3六歩(37)
30 4三銀(42)
31 2六歩(27)
32 6四歩(63)
33 3七銀(46)
34 9四歩(93)
35 4六歩(47)
36 9五歩(94)
37 2五歩(26)
38 4二金(41)
39 2六銀(37)
40 7三桂(81)
41 7八飛(88)
42 6五歩(64)
43 7五歩(76)
44 同 歩(74)
45 6五歩(66)
46 6三金(52)
47 3五歩(36)
48 同 歩(34)
49 2七銀(38)
50 8六歩(85)
51 同 歩(87)
52 8五歩打
53 同 歩(86)
54 6五桂(73)
55 6六角(77)
56 8五飛(82)
57 8六歩打
58 同 飛(85)
59 8八歩打
60 6四金(63)
61 3八飛(78)
62 5五歩(54)
63 2四歩(25)
64 同 歩(23)
65 3五銀(26)
66 3四歩打
67 同 銀(35)
68 同 銀(43)
69 同 飛(38)
70 3三金(42)
71 3八飛(34)
72 3四歩打
73 3六銀打
74 5六歩(55)
75 3五歩打
76 4三銀打
77 3四歩(35)
78 同 銀(43)
79 3五歩打
80 4三銀(34)
81 5六金(67)
82 5五歩打
83 6五金(56)
84 同 金(64)
85 7七角(66)
86 8一飛(86)
87 7三歩打
88 7六歩(75)
89 7二歩成(73)
90 8四飛(81)
91 5九角(77)
92 5六歩(55)
93 7三と(72)
94 5四銀(53)
95 6四歩打
96 同 金(65)
97 4八角(59)
98 8五飛(84)
99 2五歩打
100 同 歩(24)
101 同 銀(36)
102 5七歩成(56)
103 同 角(48)
104 2四歩打
105 3六銀(25)
106 5六歩打
107 3九角(57)
108 2三金(33)
109 2五歩打
110 同 歩(24)
111 7五歩打
112 2四金(23)
113 7四と(73)
114 6五金(64)
115 7七桂打
116 同 歩成(76)
117 同 桂(89)
118 2六歩(25)
119 同 銀(27)
120 2五歩打
121 3七銀(26)
122 8二飛(85)
123 6五桂(77)
124 同 銀(54)
125 6四と(74)
126 2六桂打
127 6八飛(38)
128 6七歩打
129 7八飛(68)
130 3八歩打
131 4八角(39)
132 5七桂打
133 5九金(49)
134 7七歩打
135 5八飛(78)
136 6八金打
137 2六銀(37)
138 5八金(68)
139 2五銀(36)
140 3九歩成(38)
141 2四銀(25)
142 3八飛打
143 2七玉(28)
144 5九金(58)
145 2三金打
146 4一玉(32)
147 3七角(48)
148 8八飛成(82)
149 3六玉(27)
150 4八龍(88)
151 4七金打
152 3七飛成(38)
153 同 金(47)
154 6九角打
155 4七桂打
156 3八と(39)
157 8一飛打
158 5一金打
159 投了
まで158手で後手の勝ち
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
攻め続けるためには?
A 64歩 B 64銀 C 55歩
第2問
踏み込んでよいかどうか。
A 66角 B 66飛 C 44角
第3問
寄せ合いです。後手玉はまだ詰みません。
A 69銀 B 24歩 C 66桂
第4問
後手玉が詰まないように。
A 63同竜 B 61玉 C 41玉
今日の棋譜20201221
昭和30年2月、松田茂行(茂役)先生と第4期王将戦第4局です。
松田先生の先手で角換わりです。
腰掛銀を選びます。
松田先生の47金が早いです。
大山先生のほうは、何局も見た低く受ける争点を作らいない待機策です。
松田先生は4筋の位を取るのすが、攻めにくくなりそうです。
飛は6筋に回って後手の攻めをけん制し
金飛を引いて46角を打ちます。形は良いのですが、攻めにくいのですよね。
互いに銀の位置を繰り替えて
55歩同歩同角をねらえば、大山先生は四手角の位置に角を打ちます。相矢倉に似てきましたが、角の位置では先手の46角のほうが働いています。
大山先生が仕掛けて
桂を跳ねて銀を上がるというのは平凡なようですが、当時としては新しい指し方でしょう。75歩同歩55歩同歩75銀というような攻め筋があります。
松田先生の指し手が難しそうに見えるのですが、24歩同銀77桂、先手からぶつけるのはちょっと損です。
大山先生は桂を交換して53桂とは? 65桂78金75歩同歩55歩同歩75銀と攻めたら良さそう、ではなくて65桂を同銀同銀66歩を気にしたものか。これで65銀とぶつけていくつもりなのでしょう。
26桂が松田先生のねらいで、33金直との交換は得です。
78金32玉16歩、これは1歩手に入れて25歩13銀35歩同歩34歩をねらっています。ただし詰められた端を突くので手抜かれそう。
大山先生は65銀の攻め筋ではなく44歩、こちらがねらいでしたか。ただ44同歩45歩57角44金でも良さそうには見えませんが。松田先生は44歩を取らずに22歩の利かし、22同玉には15歩~14桂でしょうか。
45歩の角取りに64角?守りの24銀のほうを取るものでしょうに。
64同飛21歩成で2枚換えです。66角同銀同飛31角は先手が良さそう、という筋を読んでのことだったのでしょう。
けれど44角というのが取りに取りを重ねるようでも厳しそうでした。11と66角右同銀同角77銀同角成同金は、後手よしかと言えば難しそうでしたが。対して松田先生の55銀打はもったいなさそうです。受けるならば55歩や55桂ではいけなかったのでしょうか。
55同歩同銀というのは部分的に角と銀二枚の交換になる損な取引です。55同角ではなくて66歩のほうも厳しそう。
44銀同金22と 激しい寄せ合いになりました。22同玉は34桂同金55角ですが、それで先手よしかどうかも良くわかりません。
43玉55桂52玉
34桂同金43歩、細いようでも切れない攻めです。43同金は41角なので
33金上に24飛。24同歩は63銀同飛42歩成という攻め方です。
大山先生は67歩成(詰めろ)同金右(あえて同金左もあったか)66桂、詰めろが続きます。松田先生はどこかで63銀の攻め筋を決行したいのですが
28飛78桂成同飛
67飛成の時に63銀、63同竜42歩成同玉63桂成は勝ち筋でしょう。かわされたときに(桂を入手しているのですが)後手玉が詰むかどうか。
61玉83角51玉42歩成同玉54桂51玉、詰みはなくてここまで。
激しい攻め合いになりましたが、松田先生にはいくつか分岐点があります。大山先生の53桂~44歩というのが攻めの手ではないので、先手の勝ち筋もありそうなのですが。変化を研究すると面白そうです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1950/02/02
手合割:平手
先手:松田茂行8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 8四歩(83)
3 2五歩(26)
4 8五歩(84)
5 7六歩(77)
6 3二金(41)
7 7七角(88)
8 3四歩(33)
9 8八銀(79)
10 7七角成(22)
11 同 銀(88)
12 2二銀(31)
13 7八金(69)
14 3三銀(22)
15 3八銀(39)
16 6二銀(71)
17 4六歩(47)
18 6四歩(63)
19 4七銀(38)
20 6三銀(62)
21 3六歩(37)
22 7四歩(73)
23 6八玉(59)
24 7三桂(81)
25 3七桂(29)
26 4二玉(51)
27 5八金(49)
28 5二金(61)
29 5六銀(47)
30 1四歩(13)
31 4七金(58)
32 1五歩(14)
33 7九玉(68)
34 9四歩(93)
35 9六歩(97)
36 8一飛(82)
37 6六歩(67)
38 3一玉(42)
39 4五歩(46)
40 6一飛(81)
41 8八玉(79)
42 4二金(52)
43 6八飛(28)
44 2二玉(31)
45 4八金(47)
46 5四歩(53)
47 6九飛(68)
48 7二銀(63)
49 4六角打
50 6三銀(72)
51 2九飛(69)
52 5二銀(63)
53 6七銀(56)
54 5三銀(52)
55 5六歩(57)
56 8四角打
57 5八金(48)
58 6五歩(64)
59 同 歩(66)
60 同 桂(73)
61 6六銀(77)
62 6四銀(53)
63 2四歩(25)
64 同 銀(33)
65 7七桂(89)
66 同 桂成(65)
67 同 金(78)
68 5三桂打
69 2六桂打
70 3三金(32)
71 7八金(77)
72 3二玉(22)
73 1六歩(17)
74 4四歩(43)
75 2二歩打
76 4五歩(44)
77 6四角(46)
78 同 飛(61)
79 2一歩成(22)
80 4四角打
81 5五銀打
82 同 歩(54)
83 同 銀(66)
84 6六歩打
85 4四銀(55)
86 同 金(33)
87 2二と(21)
88 4三玉(32)
89 5五桂打
90 5二玉(43)
91 3四桂(26)
92 同 金(44)
93 4三歩打
94 3三金(42)
95 2四飛(29)
96 6七歩成(66)
97 同 金(58)
98 6六桂打
99 2八飛(24)
100 7八桂成(66)
101 同 飛(28)
102 6七飛成(64)
103 6三銀打
104 6一玉(52)
105 8三角打
106 5一玉(61)
107 4二歩成(43)
108 同 玉(51)
109 5四桂打
110 5一玉(42)
111 投了
まで110手で後手の勝ち
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
この17桂が甘い手でした。
A 55銀 B 86歩 C 95歩
第2問
この76角をとがめます。
A 54香打 B 65桂 C 76同角
第3問
怪しくかわします。
A 43歩 B 41玉 C 31玉
第4問
銀を打たせて後手玉の詰めろが消えました。
A 48同馬 B 27馬 C 47香
第5問
この受け方にはまた驚きます。
A 42歩 B 22玉 C 12銀引
第6問
合駒の変化がややこしいですが、先手玉が詰みます。
今日の棋譜20201220
昭和30年1月、花村元司先生と名人A級選抜勝継戦です。
花村先生の先手で相掛りです。
これはひねり飛車でしょうか。
と思ったら棒銀のようです。
34歩に36飛とするのがタテ歩取りで、実際には歩を取りません。
タテ歩棒銀と呼ばれるのですが、こんな早い時期に指されているとは。定跡を思い出すと、端歩を突きあわないで16銀とし、24歩ならば25歩~26飛と攻めていくものだったかと。だから後手は34歩を取らせて指すのだったと思います。この図で25歩と合わせても、取ってもらえないので攻めにくいです。
花村先生は2筋を攻められないので端から攻めます。
ここでどう攻めるのかと思ったら
14歩同歩13歩
13同桂14香12歩で一段落、
ではなかったですね。13同香成同歩45桂、これはうまくいったでしょう。
23金に53桂不成ではなくて97角、この方が良いのかなあ。
51香53桂成32玉、中央は破ったけれどこの先が難しいような。
46飛44歩は利かしとして、後の手順で分かりますが、この25歩ではなくて56飛~52香をねらうほうが良かったです。
25同歩に17桂がねらいの一手でしたが、大山先生は86歩
86同角同飛同飛53香、これで飛と角銀の交換で駒得です。後手有利になりました。
花村先生はゆっくりできないので25桂24歩33香
これには角で取られる方が攻めにくいということでしょうか、銀桂香と飛の交換では駒損が悪化します。
22歩に32銀打というのは大山先生らしい受け方ですが
21歩成同銀41飛
32玉61飛成同銀81飛成、二枚換えで差が詰まりました。
43角に花村先生の76角はちょっとおかしかったということになるのかもしれません。ここで65桂を打たれて
65同角同角61竜、これも二枚換えではありますが、攻撃目標になっていた61銀をさばかれたとも言えます。
19飛には29歩から
銀金を打ち付けて守ります。
しかし29同竜同銀47角成は詰めろ銀取りです。
58桂の受けに43角とはありがたい。
72竜42銀38銀、銀が助かって、形勢は逆転したかもしれません。
25馬に45歩は急所で、先手有利になったでしょう。
二枚飛車から44歩を取り込んで
攻め駒は3枚ですが、拠点があるので駒を取れそうです。
53桂成同銀63竜
44銀に54香、53歩と受けさせて
銀をはがせました。これで駒得です。
駒得になったら銀を打ってゆっくり攻めようと。
91香を取りに行けば優勢でしょう。
大山先生の26桂27銀15桂というのは変な手です。上部開拓して玉を上に逃げだそうというのですが
26銀同馬34桂、34同金は52竜~34銀で寄ります。
23銀に52馬同金65角、これで寄ったと思ったのですが、実は失敗でした。竜を切るのが危険で、34桂も打たずに予定通りの91竜~34香が確実でした。
54歩同角に41玉?22桂成というのが大山先生の怪しい受け方です。
19飛に23成桂で後手玉は詰めろ。部分的には受けなしなのですが
37馬には銀を使うしかありません。これで後手玉の詰めろが消えて
47香39歩48香成69玉、花村先生は詰めろを逃れましたが
23桂を取られて、後手玉への寄せがありません。とりあえずは79玉ですが
53歩21角成32銀、駒を埋められて
12馬21銀打、馬を逃げている余裕がなくて23馬
23同銀に44歩、45銀を使って攻めるくらいです。でも案外に受けにくいかも。
49成香43歩成同金44歩33金43金、ここで32金打33金同金で元に戻って、繰り返せば千日手で終わったでしょう。
千日手回避で62金
32玉51竜12銀引。ここで34香で先手勝ちのようでも、23玉33香成14玉を捕まえられないのです。
53竜48成香14歩86歩、先手玉も危なくなっています。58成香~39竜で詰みならば2手すきです。適当な受けもないので
13歩成同銀34銀
39飛成59香34銀13竜、詰めろで迫ります。
23桂に43歩成
43同玉23竜33金打21竜、これは詰めろではなさそうです。
58成香41竜42歩
52銀54玉42竜、後手玉は63銀不成65玉が詰まないか。
58成香同金59竜、ここで投了でした。69銀に88銀同玉87歩成以下詰みですし、途中64馬で王手竜取りという安全策もあります。
タテ歩棒銀が出現するのは、タテ歩取りひねり飛車がかなり流行した後だと思っていたのですが、こんな時期に源流がありました。
188手の長い将棋ですし、何度か逆転しています。大山先生に怪しい手があって、花村先生がだまされたというところでしょうか。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1955/01/31
手合割:平手
先手:花村元司8段
後手:大山名人
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 8四歩(83)
3 2五歩(26)
4 8五歩(84)
5 7八金(69)
6 3二金(41)
7 2四歩(25)
8 同 歩(23)
9 同 飛(28)
10 2三歩打
11 2六飛(24)
12 7二銀(71)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 3八銀(39)
16 1四歩(13)
17 6八銀(79)
18 4一玉(51)
19 1六歩(17)
20 7四歩(73)
21 2七銀(38)
22 3四歩(33)
23 3六飛(26)
24 3三金(32)
25 2六銀(27)
26 2四歩(23)
27 1五歩(16)
28 同 歩(14)
29 同 銀(26)
30 同 香(11)
31 同 香(19)
32 1三歩打
33 1四歩打
34 同 歩(13)
35 1三歩打
36 同 桂(21)
37 1四香(15)
38 1二歩打
39 1三香成(14)
40 同 歩(12)
41 4五桂打
42 2三金(33)
43 9七角(88)
44 5一香打
45 5三桂成(45)
46 3二玉(41)
47 4六飛(36)
48 4四歩(43)
49 2五歩打
50 同 歩(24)
51 1七桂(29)
52 8六歩(85)
53 同 角(97)
54 同 飛(82)
55 同 飛(46)
56 5三香(51)
57 2五桂(17)
58 2四歩打
59 3三香打
60 同 角(22)
61 同 桂成(25)
62 同 玉(32)
63 2二歩打
64 3二銀打
65 2一歩成(22)
66 同 銀(32)
67 4一飛打
68 3二玉(33)
69 6一飛成(41)
70 同 銀(72)
71 8一飛成(86)
72 4三角打
73 7六角打
74 6五桂打
75 同 角(76)
76 同 角(43)
77 6一龍(81)
78 1九飛打
79 2九歩打
80 同 飛成(19)
81 3八銀打
82 1九龍(29)
83 2九金打
84 同 龍(19)
85 同 銀(38)
86 4七角成(65)
87 5八桂打
88 4三角打
89 7二龍(61)
90 4二銀(31)
91 3八銀(29)
92 2五馬(47)
93 4五歩打
94 3五歩(34)
95 8二飛打
96 4一金打
97 4四歩(45)
98 5二角(43)
99 4五桂打
100 5一香打
101 5三桂成(45)
102 同 銀(42)
103 6三龍(72)
104 4四銀(53)
105 5四香打
106 5三歩打
107 同 香成(54)
108 同 銀(44)
109 同 龍(63)
110 4二歩打
111 4四歩打
112 3三金(23)
113 4五銀打
114 2二銀(21)
115 8一飛成(82)
116 2六桂打
117 2七銀(38)
118 1五桂打
119 2六銀(27)
120 同 馬(25)
121 3四桂打
122 2三銀(22)
123 5二龍(53)
124 同 金(41)
125 6五角打
126 5四歩打
127 同 角(65)
128 4一玉(32)
129 2二桂成(34)
130 1九飛打
131 2三成桂(22)
132 3七馬(26)
133 4八銀打
134 4七香打
135 3九歩打
136 4八香成(47)
137 6九玉(59)
138 2三金(33)
139 7九玉(69)
140 5三歩打
141 2一角成(54)
142 3二銀打
143 1二馬(21)
144 2一銀打
145 2三馬(12)
146 同 銀(32)
147 4三歩成(44)
148 同 歩(42)
149 4四歩打
150 4九成香(48)
151 4三歩成(44)
152 同 金(52)
153 4四歩打
154 3三金(43)
155 4三金打
156 3二金打
157 3三金(43)
158 同 金(32)
159 6二金打
160 3二玉(41)
161 5一龍(81)
162 1二銀(23)
163 5三龍(51)
164 4八成香(49)
165 1四歩打
166 8六歩打
167 1三歩成(14)
168 同 銀(12)
169 3四銀(45)
170 3九飛成(19)
171 5九香打
172 3四金(33)
173 1三龍(53)
174 2三桂打
175 4三歩成(44)
176 同 玉(32)
177 2三龍(13)
178 3三金打
179 2一龍(23)
180 5八成香(48)
181 4一龍(21)
182 4二歩打
183 5二銀打
184 5四玉(43)
185 4二龍(41)
186 6八成香(58)
187 同 金(78)
188 5九龍(39)
189 投了
まで188手で後手の勝ち
先手番塚田先生の手を考えます。
第1問
さばきをねらわれましたが、自然な手を読んでいきます。
A 44歩 B 44角 C 35同歩
第2問
後手からの35飛~37歩成をどうしますか。
A 22歩 B 47金 C 57銀左
第3問
37歩成をねらわれています。
A 38歩 B 27飛 C 79角
第4問
粘りを許しません。
A 75桂 B 83銀 C 84桂
第5問
塚田先生は逃しましたが、即詰みがあります。
今日の棋譜20201219
昭和30年1月、塚田正夫先生と名人九段五番勝負第5局です。
大山先生の振り飛車のようです。
大野流三間飛車になりました。
塚田先生は9筋の位を取ります。
ならば持久戦、当時ならば玉頭位取りが自然かと思うのですが、急戦です。この時代は45歩を突いて角を交換するというのがほとんど。
大野流は43金で受けるのもありますが、銀を64に出て55歩を突いて軽く受けるほうが特性を生かせるでしょう。
24歩同歩45歩の攻めに35歩、3筋を突き捨てて角交換から35飛とさばきたいのです。
44歩55歩、先手は桂を跳ねて(取られずに)攻めに使えれば十分です。
35歩36歩、これで桂を跳ねて
51角に57銀左、36飛46銀はぴったりした感じですから、先手が指しやすそうです。
ところでこの57銀左という形が最初に出てきたのはいつでしょうか。この場合は成り行きからの自然な指し手ですが、急戦を仕掛けるために57銀左というのは、この将棋から考え付いたのかもしれません。考えたのは加藤一二三先生でしょうか、プロ入りしたばかりです。
大山先生は33桂とぶつけて桂をさばきます。24飛35飛ならば後手有利か。
46銀に54桂
55銀35飛でさばききれるか。38歩くらいならばまずまずですが
79角の飛取りに、37歩成35角28と54銀では先手有利でしょう。46歩も54銀37歩成46角で同じようなものです。なので64の銀で55銀を取ったのですが
35角46銀
24角37歩成、先に駒損していますが、まあまあ指せそうな感じではあります。
37同銀57歩68金寄37銀成、これで飛3歩と銀銀の交換です。
塚田先生は51角成同金引に55角64角を入れて
64同角同歩22飛成、64歩の形にした方が寄せやすいと見ました。
つまり47成銀に86桂の筋ではなくて(73銀打などと受けられる)63角。大山先生としては58歩成同金寄同成銀同金46桂と攻めるのでは危ないと見たか
45角74角成63銀打。63同角成は66桂同歩63角と取り返せます。が、銀桂と馬を交換するので駒を損します。
塚田先生は83馬同玉75桂、一気に寄せる順を選びます。73玉63桂成同玉33飛53桂43歩成と進めば寄せ切れるでしょう。先手玉に詰めろもかからないというのが大きいです。
92玉63桂成で優勢のようですが
大山先生は前からのねらいで66桂同歩63角と粘ります。駒得なので長い戦いになればよいのですが。
塚田先生は83銀同玉75桂、同じ筋で攻め続けます。
92玉63桂成45角、怪しく粘られますが
72成桂同角74角、83桂には84銀くらいで良いでしょう。
83銀打を同角成同玉74銀
74同玉75飛83玉72飛成
72同金に74角で投了でした。84玉に72竜で必至。ですが74銀ならば84玉75角74玉72竜で詰んでいましたね。
塚田先生の快勝で、全日本選手権を制しました。
対振り飛車の急戦では、(舟囲いでも)金銀4枚で守って飛角桂で攻めが続くならば居飛車有利になりやすいです。なので昔から指されている45歩の急戦というのは優秀なのです。振り飛車に金まで使われるなどして、受け止められたときに課題がありますが、本譜のさばきあいのような展開は、居飛車党としては願ったりかなったりという感じでしょう。振り飛車党も同じことを思っているかもしれませんが。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1955/01/27
手合割:平手
先手:塚田正夫九段
後手:大山名人
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 5六歩(57)
10 5四歩(53)
11 6八玉(59)
12 5三銀(42)
13 7八玉(68)
14 3二飛(82)
15 9六歩(97)
16 6二玉(51)
17 9五歩(96)
18 7二玉(62)
19 5八金(49)
20 5二金(41)
21 6八銀(79)
22 8二玉(72)
23 3六歩(37)
24 7二銀(71)
25 4六歩(47)
26 7四歩(73)
27 3七桂(29)
28 6四銀(53)
29 2四歩(25)
30 同 歩(23)
31 4五歩(46)
32 3五歩(34)
33 4四歩(45)
34 5五歩(54)
35 3五歩(36)
36 3六歩打
37 4五桂(37)
38 5一角(33)
39 5七銀(68)
40 3三桂(21)
41 同 桂成(45)
42 同 飛(32)
43 4六銀(57)
44 5四桂打
45 5五銀(46)
46 3五飛(33)
47 7九角(88)
48 5五銀(64)
49 3五角(79)
50 4六銀(55)
51 2四角(35)
52 3七歩成(36)
53 同 銀(48)
54 5七歩打
55 6八金(58)
56 3七銀成(46)
57 5一角成(24)
58 同 金(52)
59 5五角打
60 6四角打
61 同 角(55)
62 同 歩(63)
63 2二飛成(28)
64 4七成銀(37)
65 6三角打
66 4五角打
67 7四角成(63)
68 6三銀打
69 8三馬(74)
70 同 玉(82)
71 7五桂打
72 9二玉(83)
73 6三桂成(75)
74 6六桂(54)
75 同 歩(67)
76 6三角(45)
77 8三銀打
78 同 玉(92)
79 7五桂打
80 9二玉(83)
81 6三桂成(75)
82 4五角打
83 7二成桂(63)
84 同 角(45)
85 7四角打
86 8三銀打
87 同 角成(74)
88 同 玉(92)
89 7四銀打
90 同 玉(83)
91 7五飛打
92 8三玉(74)
93 7二飛成(75)
94 同 金(61)
95 7四角打
96 投了
まで95手で先手の勝ち
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
まだ形勢は何とも言えませんが、総矢倉の形を生かすために。
A 37角 B 65歩 C 76歩
第2問
角を交換するかどうか。
A 64角 B 65歩 C 46銀
第3問
後手玉を寄せる手順です。まぎれの少ないものを選びます。
A 23香 B 13香 C 41桂成
今日の棋譜20201218
昭和30年1月、塚田正夫先生と名人九段五番勝負第4局です。
大山先生の先手で矢倉です。
雀刺しを採用します。現代の目で見ると、後手は棒銀に出て十分でしょう。
塚田先生は銀を引いて受けます。
早繰り銀で攻めようというのですが、壁銀を残したままというのは不安です。米長中原の相矢倉を見てきた世代としては、後手はしゃがみ矢倉をみながら(33桂21玉)玉を囲っておくものだろうと思います。
塚田先生の24歩は現代的です。
銀冠で端を強化しているというわけです。ただし争点に近づいてしまったと見れるかもしれません。
大山先生のほうから75歩を取って
65歩を突くのは、37角をねらっています。22玉ならば37角92飛66銀右84銀、うまくやったようでも95歩同歩同銀の攻めを誘発しているので、何とも言えないところです。
塚田先生の64歩は、先手の37角を意識しすぎたのではないでしょうか。64同歩とは取ってもらえず76歩
84銀64歩同角37角。37同角成とはしにくいです。
73銀でなんとかバランスを取りますが、銀を出られました。こうなると中央が薄くて
先手が指しやすくなっています。
中央を制圧されたけれど端を攻めてどうか。
2筋と9筋の攻め合いでは、2筋のほうが明らかに厳しく、後手不利です。
大山先生は香を取られるのでおかしな感じですが、25同桂に26歩でいいのかなあ?
45香を打たれるのも嫌な感じです。
それでも25歩と突く方が速いと。塚田先生は角を追われたときに31ではなくて42に引いておく方が良かったということなのでしょう。
攻め合いではあるのですが、2筋の傷は後手玉の真上です。大山先生は23桂ではなくて
25桂、89と69玉47香成で左右挟撃の形にされました。後手が銀を手に入れるのに1手かかるとして、28飛の横利きを止めるのが難しくて1手以上、あわせて4手すきくらいの形です。
33桂打22玉95香、これは23香をねらっています。
塚田先生は64角同銀同銀、銀を手に入れます。
41桂成に27歩は、飛を取って詰めろの2手すき。27歩では46桂のほうが詰めろで攻防でしたが、46同角同成香の形が何でもないから(3手すきくらい)だめなのですね。
23香同銀同歩成同金42角、詰めろ銀取りです。42同飛でも改善せず、明らかな寄せ合い負け、ということでここで投了です。
まだ矢倉の進化は始まったばかり、升田先生の雀刺しの登場で、端攻めの有効性がわかってきたというくらいの時代です。進化の足跡を見て、今の将棋と何が違うのか、作戦勝ちなのはどちらか、それがなぜなのか、というのを考えるのがおもしろいです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1955/01/16
手合割:平手
先手:大山名人
後手:塚田正夫九段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 7七銀(78)
6 6二銀(71)
7 2六歩(27)
8 4二銀(31)
9 4八銀(39)
10 3二金(41)
11 7八金(69)
12 4一玉(51)
13 6九玉(59)
14 9四歩(93)
15 9六歩(97)
16 3三銀(42)
17 1六歩(17)
18 5四歩(53)
19 5六歩(57)
20 1四歩(13)
21 3六歩(37)
22 8五歩(84)
23 5八金(49)
24 7四歩(73)
25 7九角(88)
26 3一角(22)
27 1七香(19)
28 4二角(31)
29 1八飛(28)
30 2二銀(33)
31 5七銀(48)
32 5三銀(62)
33 6八角(79)
34 6四銀(53)
35 6六歩(67)
36 2四歩(23)
37 2八飛(18)
38 7五歩(74)
39 5九角(68)
40 3三桂(21)
41 7九玉(69)
42 2三銀(22)
43 6七金(58)
44 3一玉(41)
45 7五歩(76)
46 同 銀(64)
47 6五歩(66)
48 6四歩(63)
49 7六歩打
50 8四銀(75)
51 6四歩(65)
52 同 角(42)
53 3七角(59)
54 7三銀(84)
55 4六銀(57)
56 2一玉(31)
57 5五歩(56)
58 同 歩(54)
59 同 銀(46)
60 3一角(64)
61 4六角(37)
62 9五歩(94)
63 同 歩(96)
64 9七歩打
65 2五歩(26)
66 同 桂(33)
67 2六歩打
68 1七桂成(25)
69 同 桂(29)
70 4五香打
71 6八角(46)
72 9五香(91)
73 2五歩(26)
74 9八歩成(97)
75 2四歩(25)
76 1二銀(23)
77 2五桂(17)
78 8九と(98)
79 6九玉(79)
80 4七香成(45)
81 3三桂打
82 2二玉(21)
83 9五香(99)
84 6四角(31)
85 同 銀(55)
86 同 銀(73)
87 4一桂成(33)
88 2七歩打
89 2三香打
90 同 銀(12)
91 同 歩成(24)
92 同 金(32)
93 4二角打
94 投了
まで93手で先手の勝ち