とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

忙しい日々

2010-10-27 22:47:51 | 日記
忙しい日々



 昨日あたりから急に冷え込んできて、我が家でも冬支度を始めた。この冷え込みの中、水害の後始末や突然の積雪と闘っているお方もいらっしゃるようである。とにかく最近の気象状況は異常としか言いようがない。
 そんな日に私はあれこれと仕事をしていた。現役時代よりも忙しい感じで、ありがたいことだと思った。そんなこんなで、このブログのの書き込みも大分失礼してしまった。申し訳ないと思っている。
 こんな日々に私を慰めてくれた催しがあった。ある著名な(文化勲章を受けた)お方の講演である。いや、そのお方の話はまたの機会に譲るとして、今回はその会で合唱した歌の話をしたいと思う。
中高年の集いなので、歌と言っても昔の童謡とか唱歌である。みんなで歌うと、急にはればれとした気持ちになる。懐メロはいい。心が洗われる。
 

 ♪ いつかきた丘 母さんと
   一緒にながめた あの島よ
   今日も一人で 見ていると
   優しい母さん 思われる

 この歌詞を読んで、ああ、あの歌だと思われるお方を私は尊敬する。私は初めてこの歌詞に接した気がしたのである。
 この歌詞は「みかんの花咲く丘」(加藤省吾 作詞)の3番である。私は2番までしか知らなかった。いや、忘れていたのかもしれない。だから、新鮮な感じがしたのである。いや、はっきり言うと、涙が滲んできた。母を思い出したのである。以前も書いたが、私は、バイクで忙しく働いて米や新聞の配達をして私たちを養ってくれた母は仏様のような気持ちがしている。
 先ほど忙しいなどと言ったが、その忙しさは例えようがなかった。目が不自由な父の代わりに身を酷使して、命がけで働いていた。私は、そういうことを忘れはしない。リュウマチが嵩じて亡くなったが、その病気も無理をしたからである。
 だから、私は、忙しいなどと甘えたことを言ってはいけない気がしている。ありがたいことだ。そう思って頑張っているのである。
 さて、そういう私は、母と一緒に宍道湖を眺めたことがあったか。丘の上からでなくてもいい、並んで眺めたことが。いや、ない。どう思い出してもない。しかし、この歌をみんなと一緒に歌っていると、なんだか、昔、そういうことをしたような気持ちになったのである。歌は実に不思議な力を持っている。