とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

馬酔木に寄せて

2011-01-23 14:47:10 | 日記
馬酔木に寄せて



 来し方や馬酔木咲く野の日のひかり    水原秋桜子
  

 春はまだか !! 今年はほんとに待ち遠しいですね。我が家の馬酔木は春の準備を着々と続けています。見習いたいと思いました。
 今世の中はすべての部面で曲がり角に立っています。日本は、いや、世界は、同様に大きく左か右に旋回しようとしている。それを食い止めようとしてもだめなんですね。世界的な規模で動いているからです。そんな中、政治的にも経済的にも自国の、自分の属する団体の利益誘導だけを必死に行なおうとしているお方たちがいることは確かです。こういう動きをとるお方は、将来のいずれの頃か分からないけれど、手痛い仕打ちを食らうでしょう。
 資源の奪い合いもそうです。限りがあるということを承知していても極限まで奪い合いをする。地球を食べつくすまでこの争いは続くでしょう。地球がだめになるということを知っていても進めようとする。だめになったらどうするの。人類は自然を征服するなんてできないのです。
 馬酔木はそういう人類の愚かさを目の当たりにして、何かを我々に示そうとしています。それは言葉で表せるものではないのです。蕾を作り花を咲かせる。ただそれだけです。それが宇宙の意志の表現だとは言いません。無償です。無為です。ただ咲こうとしているだけです。花無心に蝶を集む。蝶が来ようが、鳥が来ようが、人間が花を千切ってしまおうが、何も言いません。金剛不壊。これですね。花が美しいのは、超然としているからです。
 馬酔木の蕾を見ていて、私は、生きることはこういうことだと思いました。