「・・・況や悪人をや」
「だれです、そんなことを言うのは」
「万物すべて仏事をなすによって・・・、風水の利益を蒙る」
「風水の利益(りやく)?」
「はははっ、わしじゃ、わしじゃ」
「なんだ、六地像さんですか」
「なんだ、とはなんだ。お前も口が悪くなったのう」
「京子と出会って、昔のことを思い出していました」
「その京子だが、これからすごいことになる。・・・すごいこと。そうだ、お前にその姿を見せてやろう。」
地蔵さんが急にそう仰いました。すると、また京子の姿が現れました。京子の周りにさっきの渦のようなものがまた溢れてぐるぐる取り巻き始めました。
「京子 !! どこへ行くのだ !!」
叫んでも返事は返ってきません。渦といっしょに徐々に天空へと進んで行きます。
「お地蔵さん。京子も私を捨てて、空へ・・・」
「・・・況や悪人をや」
「止めてください。・・・京子は神になる・・・ ?」
「天空の彼方の白蛇の神。・・・すごい修行ぶりだったからのう」
「修行をしていた ?」
「そうじゃ、私は、白蛇の修行といものを初めて見た。火の中で身を焼いても悲鳴ひとつ上げなかった」
「私にさっき絡み付いて登ってきたときは ?」
「お別れを言いに来たのかも知れない」
「私を残してみんな何処かへ行ってしまう」
「はははっ、これからお前の出番が来る。ははっ、そうじゃ、・・・ゆっくり未来を見据えなさい」
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