お父さん!! 今度は水、水 !!
花りんが叫びました。どっと降り出した大雨は、辺り一面を湖のように変えてしまいました。
私に巻き付いている花りんは前より一層不安な表情になりました。
「あっ、妹だ !!」
「なに、イモウト・・・」
「私には分かる。生れずに死んだあの妹」
私は、過去の、あのときを、鮮明に思い出しました。二人目が出来たと聞いて、動転しました。
「こちらに近づいてくるわ。・・・おーい、お父さんだよ !! 早く、早く !!」
翼を懸命に動かして、近づいてきます。あの娘だ。私は、涙の目から涙が溢れ出ました。初めて見る娘の姿です。
イモウトは私たちの上空を何度か回り、急に下降し始めました。そして、電柱に止まると、にっこり微笑みました。すると、水が徐々に減り始めました。
「お父さんを許しておくれ。・・・ユルシテオクレ、ユルシテオクレ」
そう言うと、一層微笑みました。そして、また、大空へ飛び上がりました。
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