とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

あちこち「SYOWA」 29 誰か故郷を想わざる 

2016-07-22 00:50:03 | 日記
誰か故郷を想わざる 霧島昇


 昭和15年(1940年)に発表されたこの曲。作詞:西条八十 作曲:古賀政男の「誰(たれ)か故郷を想わざる」。昭和19年生まれのAが初めて完全に誇らしく歌った初めての曲です。3つか4つの頃と思われます。すると、戦後の昭和22~23年です。長らくヒットしていたことにAは驚いています。確か母の里だったと思います。

 ♪ ・・・たれか故郷をおもざわる・・・。

 得意げに歌っていると、Aの母親が「おもざわる」じゃなくて「おもわざるだよ」といつも訂正しました。それにしても不思議な言葉だと思っていました。誰が故郷を想わないことがあろうか、いや、誰も想う。という反語表現になっていることを知ったのは大分後のことです。

 ♪ひとりの姉が嫁ぐ夜に・・・。

 ここの部分を歌うときは、姉がいたら、姉が欲しいと真剣に思い、ジンとして涙が零れてきました。一人の年上の女性に憧れる気持ちは日増しに膨らんできました。母の実家にはまだ嫁いでいなかった母の妹がいました。随分Aと年が離れていましたが、憧れというか、密かな恋心を抱いていました。
 ある日、二人で縁側に座って、Aは庭で採った青梅を食べていました。すると、欠片が気管に詰まって急に息苦しくなりました。もがいていた私は咄嗟にその叔母の背中を強く叩きました。びっくりした叔母は私の背中をドンドンと平手で叩きました。その拍子に欠片が食道の方に入ってAはやっと息が出来るようになりました。

「危ないところだったね。ごめん、ごめん、早く気付かなくて」

 叔母はそう言いました。・・・憧れの叔母に命を助けて貰った。Aはその思い出を噛みしめながら今でも歌っています。


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