著作者:e for elizabeth
利自即利他。自他は時に従うて無窮なり。などといわれていますが、この世の中で一番難しくて厄介なものは人と人との関係だと思います。電信柱の私がこう言うのもおかしいですが、私がこうしてここに立っている理由の一つはそういうことにあります。
立っているだけであれば、風雪に晒されることはあっても、他に迷惑をかけることもありません。立っていることがむしろ人間世界に恩恵を、いや、こんな言葉はふさわしくありませんね、そうですね、ささやかな光をもたらすのです。人間だったとき、何か動き出すと他の人に迷惑をかけることが多かったという記憶があります。よかれかしと思ってしたことも相手の中にに不利益や不満のしこりを残したりします。言葉もそうですね。愛語は回天の力を起こすとか言われています。しかし、余計なお世話だよなんて思われたりしますね。
私には確たる信念があります。それは、自分がいるから他人がいる、という考えで人と接することです。お前は自己中だな、などと思わないでください。どんなに素晴らしく有名な人物がすぐ前に居ても、それを認識する自分がいなくては存在しないからです。
いや、いや、とんだところへ話が逸れてしまいました。・・・そうでした。あの女性、そうでした、あの女性は・・・。思い出しました。たしか、ずいぶん前のある春の日、菜の花畑で見かけたことがありました。一人だったのか、誰か家族と一緒だったのか分かりません。背の丈くらいの花の中に埋もれて何かを見ていました。ということは、まだ、子どものころだったのかも知れません。あっ、かわいい女の子だと遠くから見ていました。どこに住んでいるのか。どうしてあそこに佇んでいるのか。などと思っていました。
ですから、窓から寂しそうにぼんやり外を見ている光景は、私にとってもとってもジンと心の中に響いてきました。・・・もしかして病気に・・・。そうかも知れません。
私は、勝手にいろいろと不幸な物語を紡いで、できれば、何とかできないものかと思い始めました。
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